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第6話 傲慢ゆえに
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少し冷静になって考えれば、あんな金さえ払えば簡単に抱けて、誰にでもすぐに股を開く頭も貞操観念もゆるゆるなゴミ女のどこに惹かれたというのか。
今更ながらに狐につままれたとしか言いようがないとフランクは吐き捨てる。
己が権力に任せてあの女をひっとらえさせて土下座させたのちに絞首刑に処してやろうかとも考えたが、金の無駄なのでやめた。
どうせあんな男に媚びを売るしかない売女など、最後にはその辺で野垂れ死ぬか有力者の男の顰蹙を買って娼婦切り捨ては罪にすらないことをいいことに殺されてお仕舞いだろう。
もし貴族のツテでその手の情報が流れてきたら女の無惨な遺骸にこれでもかと小水を引っ掛けてやるのも面白そうだな、とほくそ笑みながらフランクは久々にまともに領地の視察に出向いた。
別に心を入れ替えて真面目になったつもりはない。ただこれまでは娼館通いに使っていた暇を持て余し、やることもないからたまには本来の仕事くらいしてやろうと考えたわけだ。
領地の安定、繁栄具合はまずまず。
元々森林資源も豊富な田舎の土地だし、別になにをしなくても困ることはなかった、はず。
「――おお、これはこれはローラン伯爵。自ら領地の視察ですかな?」
「ん? ああ、まあな。こんな辺鄙な場所でも一応は確認しておかないといけないからな」
年老いたジジイが話しかけてくるが面倒なので適当にあしらう。
「左様ですか。いやはやここの領主さまは将来のことをよくお考えでいらっしゃる。特にローラン伯爵の奥方にはたいそうよくしていただいて……」
「イザベラが? ははは、あいつはなにもしてないだろう。屋敷ではいつも暇そうにして困ったやつだよ本当に」
「なにをおっしゃいますか。日々多忙なローラン伯爵の代わりにイザベラ様には我らの陳情にも真摯に対応していただき、なんと感謝を申し上げればよいのやら……。ですが、それも聡明なローラン伯爵のご指示の下でしょう?」
確かにイザベラが勝手に仕事を手伝っていたことは把握しているが、おおかた自分の手に負えないと投げ出していると思っていた。
なのにこのジジイの口振りではきちんと、むしろそれ以上の成果を叩き出しているように聞こえた。
「――は、ははは、その通りだ。あくまで妻は僕の明確な命令通りに動いて結果を出しているに過ぎないよ。確かに有能な女とはいえ、机上の空論では成果を出すことはできないからね。やはり現場を知らないと」
「おお、おお、やはりそうでしたか。いやはや、わしらのこの地を治めるのがローラン伯爵でよかった。あなた様にお任せしていれば間違いはありますまい」
「ははは、ああそうだ、大船にのったつもりで任せておけ!」
などと調子にのるフランク。
果たしてその余裕がいったいいつまで続くのか、おおよそ見当がつかなかった。
今更ながらに狐につままれたとしか言いようがないとフランクは吐き捨てる。
己が権力に任せてあの女をひっとらえさせて土下座させたのちに絞首刑に処してやろうかとも考えたが、金の無駄なのでやめた。
どうせあんな男に媚びを売るしかない売女など、最後にはその辺で野垂れ死ぬか有力者の男の顰蹙を買って娼婦切り捨ては罪にすらないことをいいことに殺されてお仕舞いだろう。
もし貴族のツテでその手の情報が流れてきたら女の無惨な遺骸にこれでもかと小水を引っ掛けてやるのも面白そうだな、とほくそ笑みながらフランクは久々にまともに領地の視察に出向いた。
別に心を入れ替えて真面目になったつもりはない。ただこれまでは娼館通いに使っていた暇を持て余し、やることもないからたまには本来の仕事くらいしてやろうと考えたわけだ。
領地の安定、繁栄具合はまずまず。
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「――おお、これはこれはローラン伯爵。自ら領地の視察ですかな?」
「ん? ああ、まあな。こんな辺鄙な場所でも一応は確認しておかないといけないからな」
年老いたジジイが話しかけてくるが面倒なので適当にあしらう。
「左様ですか。いやはやここの領主さまは将来のことをよくお考えでいらっしゃる。特にローラン伯爵の奥方にはたいそうよくしていただいて……」
「イザベラが? ははは、あいつはなにもしてないだろう。屋敷ではいつも暇そうにして困ったやつだよ本当に」
「なにをおっしゃいますか。日々多忙なローラン伯爵の代わりにイザベラ様には我らの陳情にも真摯に対応していただき、なんと感謝を申し上げればよいのやら……。ですが、それも聡明なローラン伯爵のご指示の下でしょう?」
確かにイザベラが勝手に仕事を手伝っていたことは把握しているが、おおかた自分の手に負えないと投げ出していると思っていた。
なのにこのジジイの口振りではきちんと、むしろそれ以上の成果を叩き出しているように聞こえた。
「――は、ははは、その通りだ。あくまで妻は僕の明確な命令通りに動いて結果を出しているに過ぎないよ。確かに有能な女とはいえ、机上の空論では成果を出すことはできないからね。やはり現場を知らないと」
「おお、おお、やはりそうでしたか。いやはや、わしらのこの地を治めるのがローラン伯爵でよかった。あなた様にお任せしていれば間違いはありますまい」
「ははは、ああそうだ、大船にのったつもりで任せておけ!」
などと調子にのるフランク。
果たしてその余裕がいったいいつまで続くのか、おおよそ見当がつかなかった。
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