代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです

天宮有

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第7話

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 私が提案すると、ギルドマスターがすぐに材料を持って来てくれる。
 テーブルには、魔力回復、魔力強化ポーションの調合に使う材料が全て揃っていた。

 どちらも青薬草と聖水が必要で、そこまで貴重ではない物だ。
 材料があることに安堵していると、マルクスが話す。

「エミリーはポーションを作らせてくるアリード家が嫌でここまで来たのに、作って大丈夫なのか?」

「はい。1日7個も作るとかなり疲れてしまいますけど、1日4個ぐらいは作りたいと思っていました」

 魔力は使いすぎると魔力量が増えないけど、適度に使えば休むと増えるらしい。
 今まで調合魔法を使い続けてきたから、私は1日の適正な使用回数がわかってしまう。

「それでは魔力回復ポーションと、魔力強化ポーションを作ります」

 私が宣言すると、ギルドマスターが息を呑む。
 そして――作り慣れた魔力回復と魔力強化ポーションを、調合魔法で作成した。

 私が調合魔法を使うと、用意されていた小瓶の中に魔力の光が入り、材料が液体に変化していく。
 問題なく成功したようで、私は安堵していた。

 テーブルの上には材料が消えて、魔力回復ポーションと魔力強化ポーションがある。
 各2個で計4個のポーションを確認した2人は、私を眺めて驚いていた。

「完璧だ……とんでもないな」

「ザライン国では代わりはいると言われたと話していたが、エミリーの代わりになれる者など存在しない」

 思案している様子で、マルクスの呟きに私は話す。

「そう言ってくださるのは嬉しいですけど……雇われた調合魔法使いの人は、私と同じことができました」

 アリード侯爵家が雇った調合魔法使いの人は、私より多くのポーションが作れた。
 失敗したことがなかったから、私は代わりがいると言われてしまう。

 そのことを伝えると、マルクスが話す。

「それが、代わりはいると思い込んだ理由か……同じことができたのは、エミリーの力によるものだろう」

「そうだな。ザライン国の王子とアリード家は、愚かなことをしたものだ」

 マルクスの発言に、ギルドマスターも納得していた。
 そして私は、元婚約者と元家族が知らない真相を知ることとなる。
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