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第6話
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私はマルクスとギルドマスターに、隣国まで来た事情を説明する。
話し終えて――唖然としているマルクス達が、私は気になっていた。
「聞きたいことがあるのだが、新しい調合魔法使いが来るまで、エミリーは1人でポーションを作っていたのかい?」
ギルドマスターの質問に、私は頷く。
「はい」
「家族がエミリーを酷使していたと言っていたが、ポーションは1日何個ぐらい作っていたんだ?」
困惑しながらギルドマスターが尋ねて、私は返答する。
家を出るまでは毎日ポーションを作り続けていたから、すぐに作れる個数が言えた。
「1日10個作ると、魔力が尽きてしまいます」
魔力は限界まで減ると苦しくなるから、普段は体力回復ポーションと魔力強化ポーションを各2個、魔力回復ポーションは3個作っていた。
ポーションは材料さえあればすぐ調合魔法で作れるけど、毎日計7個のポーションを作ると何も考えられなくなってしまう。
質問に答えるとギルドマスターは驚き、マルクスが尋ねる。
「エミリーは、ポーションを作って失敗したことはないのか?」
「えっ? それは……はい。ありません」
失敗するという考えがなかったから、マルクスの質問に戸惑ってしまう。
私の反応を眺めて、マルクスとギルドマスターは目を合わせていた。
そこからギルドマスターの発言に、私は驚くこととなる。
「魔力に関係するポーションは、作ることが困難とされている。作りやすい体力回復ポーションも、普通なら3割成功すればいい方だ」
「……えっ?」
「魔力回復、魔力強化ポーションは100回やって1回成功するかどうかだ。それも、優秀な調合魔法使いでなければ成功することはない」
2人の発言が信じられないのは、私は1度もポーション作りを失敗したことがないからだ。
マルクスとギルドマスターからすれば、私は信じられない存在だと思う。
信じてもらうためには、実際に見せた方がよさそうだ。
「今日の私は魔力が全快です。材料があるのでしたらこの場で魔力回復、もしくは魔力強化ポーションを作ってみせます」
冒険者ギルドなら、材料があるかもしれない。
そう考えた私は――この場でポーションを作り、2人を納得させようとしていた。
話し終えて――唖然としているマルクス達が、私は気になっていた。
「聞きたいことがあるのだが、新しい調合魔法使いが来るまで、エミリーは1人でポーションを作っていたのかい?」
ギルドマスターの質問に、私は頷く。
「はい」
「家族がエミリーを酷使していたと言っていたが、ポーションは1日何個ぐらい作っていたんだ?」
困惑しながらギルドマスターが尋ねて、私は返答する。
家を出るまでは毎日ポーションを作り続けていたから、すぐに作れる個数が言えた。
「1日10個作ると、魔力が尽きてしまいます」
魔力は限界まで減ると苦しくなるから、普段は体力回復ポーションと魔力強化ポーションを各2個、魔力回復ポーションは3個作っていた。
ポーションは材料さえあればすぐ調合魔法で作れるけど、毎日計7個のポーションを作ると何も考えられなくなってしまう。
質問に答えるとギルドマスターは驚き、マルクスが尋ねる。
「エミリーは、ポーションを作って失敗したことはないのか?」
「えっ? それは……はい。ありません」
失敗するという考えがなかったから、マルクスの質問に戸惑ってしまう。
私の反応を眺めて、マルクスとギルドマスターは目を合わせていた。
そこからギルドマスターの発言に、私は驚くこととなる。
「魔力に関係するポーションは、作ることが困難とされている。作りやすい体力回復ポーションも、普通なら3割成功すればいい方だ」
「……えっ?」
「魔力回復、魔力強化ポーションは100回やって1回成功するかどうかだ。それも、優秀な調合魔法使いでなければ成功することはない」
2人の発言が信じられないのは、私は1度もポーション作りを失敗したことがないからだ。
マルクスとギルドマスターからすれば、私は信じられない存在だと思う。
信じてもらうためには、実際に見せた方がよさそうだ。
「今日の私は魔力が全快です。材料があるのでしたらこの場で魔力回復、もしくは魔力強化ポーションを作ってみせます」
冒険者ギルドなら、材料があるかもしれない。
そう考えた私は――この場でポーションを作り、2人を納得させようとしていた。
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