代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです

天宮有

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第5話

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 私はテーブルに魔力回復ポーションを3個置くと、ギルドマスターとマルクスが驚いていた。

 そしてギルドマスターは、マルクスを眺めて話す。

「こ、これは……魔力回復ポーションだろ?」

「ああ。エミリーはどうして、3個も持っているんだ……?」

 ギルドマスターも鑑定魔法が使えるようで、マルクスと確認し合っている。

「私の持っている魔力回復ポーションは3個だけですけど、これで足りますか?」

「なにを言っている!?」

「……テーブルにある金貨が、魔力回復ポーション1個分の金額になる。エミリーは何者なんだ?」

 ギルドマスターが驚いていると、隣にいたマルクスが説明して尋ねる。

 私が勘違いしていたようだけど、ポーションの価値に驚くしかない。

「1個の金額、ですか……」

 アリード侯爵家にいた時、家族はポーションの価値を教えてくれなかった。

 私の作ったポーションの価値に驚いていると、ギルドマスターが私に尋ねる。

「エミリー、君は「魔力回復ポーションは」と言ったが……他にも、なにかポーションを持っているのか?」

「はい。小瓶で持ち運びしやすいので、他にも幾つか持ち歩いています」

 私はそう言って鞄から体力回復用のポーション4個、魔力強化ポーション4個をテーブルに並べる。

 2人は鑑定魔法で調べたようで、驚愕しながらマルクスが呟く。

「これはどれも凄い効力だ。売れば数ヶ月は生活できるだろう」

 それは言い過ぎな気がしたけど、平民だとそうなるのかもしれない。

 マルクスの発言について考えていると、ギルドマスターが私を眺めて尋ねる。 

「……エミリーは、アリード家の令嬢なのか?」

「えっ!? えっと……」

 もう家を捨てたから、私は返答に悩んでしまう。

「アリード家?」

 マルクスは知らないようで、ギルドマスターに尋ねる。

「隣のザライン国の貴族で、強力なポーションが有名だ」

「なるほど……確かにエミリーは、お嬢様って感じだな」

「そ、そうですか」

 マルクスの発言に、私は照れてしまう。

 アリード侯爵家のことを知っているのなら、事情を話せば納得してくれそうな気がする。

 そう考えた私は――家を捨てたことを、マルクス達に話そうとしていた。
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