無能だと言われ続けた聖女は、自らを封印することにしました

天宮有

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第54話

マリウス視点

 俺と父上の陛下は、目の前の光景に唖然とするしかない。

 鍛え抜かれた俺よりも強い兵士が、成す術もなく一瞬で昏睡して倒れている。
 扉の陰から2人の男が現れて――1人は兵士長ジェノスで、もう1人は謎の美青年だ。

 黒く鋭い瞳、銀色の長い髪をした長身の青年で、禍々しい赤色の角が2本生えている。
 それなのに賢者が身に纏う立派なローブを着ていて……ジェノスは、その男に従うかのように隣にいた。

「な、何をしているジェノス!? その侵入者を排除しろ!!」

「無理ですよ。この国は守る価値ないですし、戦うかは話を聞いてからにします」

「なっっ……!?」

 ジェノスの発言を聞き、俺と陛下は唖然とするしかない。
 そして角が生えた美青年は、余裕そうな表情を浮かべて告げる。

「そういうことだ……俺の名はカオス。今よりこの国の支配者となる」

 そう言って――堂々と侵入してきたカオスと名乗る青年が、手を前に突き出す。
 すぐに光の板が発生したかと思えば、それが様々な場面を映し、俺と陛下は唖然とするしかない。

 移されていたのは城の外と内部で……兵士達が倒れている姿が映されていた。
 自らの力を示したカオスが、俺と陛下に告げる。
 
「俺に殺意を向けた者は命を奪ったが、敵意程度なら許している……全て俺のモノとなるからだ」

 クーデターに備えて、城の警備は万全にしていた。
 兵士長ジェノスも動かさなかったというのに一瞬で全滅し、ジェノスも戦意を失っている。
 
 俺達はカオスの話を聞いて、全ての元凶だと理解する。
 そして――ここから俺は、破滅の道を辿ることとなっていた。

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