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第11話
しおりを挟むヴァン視点
時間は、俺の悪事が暴かれる前まで遡る。
俺は部屋にエイダを呼び、今後の行動について話していた。
エイダはサフィラを従わせることで、自分の方が優秀と証明するつもりだ。
何をするのか聞いていなかったが、俺はエイダから杖を見せられる。
「ただの杖にしか見えないが、これでサフィラが従うのか?」
「はい。常に所持していると、1日経てば杖の所有者である私に従うようになる魔法道具です」
そんな魔法道具は初耳で、とてつもない性能だと思う。
どうやらサフィラの杖と同じ形に加工したようで、すり替えれば問題ないようだ。
「そんな魔法道具を、エイダはどこで入手したんだ?」
「サフィラ様を従えた後でルレック領の魔石を渡すことを約束したら、商人が譲ってくれました」
エイダとしては、サフィラより優秀と証明できればいいらしい。
支払う報酬は膨大だが、平民になるよりはマシだろう。
「それなら問題ないだろう。後はサフィラの杖とこの杖を変えるだけだ!」
俺はサフィラの計画を聞き、賛同する。
杖をすり替えることができそうなら、替えれば全てが巧くいくだろう。
この時の俺は、エイダを婚約者にして正解だと考えている。
それなのに――俺達が決行するより早く、サフィラは仕掛けようとしていた。
時間は、俺の悪事が暴かれる前まで遡る。
俺は部屋にエイダを呼び、今後の行動について話していた。
エイダはサフィラを従わせることで、自分の方が優秀と証明するつもりだ。
何をするのか聞いていなかったが、俺はエイダから杖を見せられる。
「ただの杖にしか見えないが、これでサフィラが従うのか?」
「はい。常に所持していると、1日経てば杖の所有者である私に従うようになる魔法道具です」
そんな魔法道具は初耳で、とてつもない性能だと思う。
どうやらサフィラの杖と同じ形に加工したようで、すり替えれば問題ないようだ。
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俺はサフィラの計画を聞き、賛同する。
杖をすり替えることができそうなら、替えれば全てが巧くいくだろう。
この時の俺は、エイダを婚約者にして正解だと考えている。
それなのに――俺達が決行するより早く、サフィラは仕掛けようとしていた。
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