幼馴染が夫を奪った後に時間が戻ったので、婚約を破棄します

天宮有

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第60話

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 魔族の襲撃から、1週間が経っている。
 ジトアが私の屋敷にやって来て、応接室で対面していた。

 数日前とは違い、ジトアは不安そうにしている。
 ドラゴンを対処する準備はできていると言ったけど、何か問題が発生したのかもしれない。

「ルーミエ様に、話しておきたいことがあります」

「はい……ドラゴンの襲撃を対処する準備で、何かありましたか?」

 私が尋ねると、ジトアは少し思案して話す。

「いえ、準備は問題ないのですが……他に、気になることがあります」

「気になること、ですか」

「はい。メリタを調べていたのですが……メリタと関わっている商人が、何か企んでいるかもしれません」

 そう言って――ジトアが、詳しく話してくれる。
 メリタが所持している預言書は、魔力による文字で解読できなくなっていたようだ。
 それを解読した人が協力者になっているようで、ジトアは調べていたらしい。

「優れた魔法道具を所有している商人が、メリタの協力者ですか」

 預言書の存在を私は知っていたけど、詳しくは知らない。
 私達が問題を対処したことで、本来なら何もしていない人が行動するようだ。
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