婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

第３話

　婚約破棄を言い渡されて、私は体型を変化させる魔法を解く。

　魔法で太っていることは誰にも知られたくなかったから、私は寝ている時も魔法を使っていた。

　誰もいないことを確認して、部屋で偶に魔法を解いて確認していたけど……弱々しくは見えないはず。

　魔法を解いたことで体が急激に痩せていき、身軽になったことで楽になる。
　
　その瞬間――パーティ会場が一気に騒がしくなっていた。

　バハムスが婚約破棄を宣言して注目されていたこともあり、会場の人達は私を見て驚いている。

　その中でも、私の正面にいるバハムスは特に驚愕して叫ぶ。

「なぁぁぁっっ――っ！？　なんだその美しい見た目は！？　貴様が本当にルーミエだというのか！？」

　バハムスが私の容姿を褒めたのは始めてだけど、不快だった。

　何度も暴言を吐かれたことで、バハムスが私に何か言うだけで嫌になってしまう。

「先ほども言いました。バハムス様の命令で、私は醜くなっていたのです」

「馬鹿な！？　魔力を使い常に体型を変化させていたのに、問題なく授業で魔法を使っていたというのか！？」

　魔法を使っている状態で別の魔法を使うと、別の魔法は性能が悪くなってしまうことをバハムスの発言で思い出す。

　私は魔法学園の成績は普通ぐらいだったから、バハムスは私の発言が嘘だと思っていたようだ。

　信じていなかった理由がわかって、私は頷く。

「はい。明日から、私は本当の実力を発揮することができそうです」

「本当の実力だと……ふん、偶然作成することができた魔法で、よくそんな発言ができたものだ！」

　取り乱していたバハムスは、私の発言を聞き激昂して叫ぶ。

　ただ太るだけの魔法だから、そこまで魔力を使っていないとバハムスは考えたようだ。

「私の発言が真実なのは、明日になればわかることです」

「嘘に決まっている！　明日貴様は後悔するだろう！！」

　パーティ会場の人達は魔法を解いた私の見た目に驚き、バハムスを非難していた。

　それによって焦っているバハムスは、私の発言をとにかく否定したいようだ。