私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

天宮有

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第30話

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 ジークと一緒に、冒険者の人がやって来ている。

 屋敷に案内して……ジークとテーブル越しに対面すると、隣に座る冒険者の美青年が話す。

「アミリアさんと聖獣のリオウですね……僕はヨハン。ジークに頼まれて来ました」

 糸目で長身の美青年はヨハンと名乗り、 礼儀正しくて優しい雰囲気がある。

「ヨハンさん。私のことはアミリアと呼んでください」

「そうですか。それでも僕はアミリアさんと呼ばせてもらいます。冒険者は野蛮だと呼ばれていますけど、僕は普通の冒険者とではないと周囲に思われたいのです」

 それならヨハンの自由にすればいいけど、隣にいたジークが尋ねる。

「ヨハン、俺のことは呼び捨てだろ」

「野蛮な冒険者は呼び捨てでいいでしょう」

「そうか……アミリア、こいつは周囲に凄い奴だと思われたい奴なんだ」

 ヨハンはジークと仲がよさそうだけど、少し変わっている気がした。

 ジークの発言を聞いて、ヨハンが肩をすくめている。

「僕は僕が凄いと思っています。周囲に同じよう凄いと思われたいのは当然でしょう」

 微笑みながらそんなことを言うヨハンを眺めていると、ジークが説明してくれる。

「ヨハンは対人と対集団に対抗する能力が高い……今回の件だが、ヨハンは大地の主を装った人間の仕業だと考えているようだ」

「……そうなの?」

 私はジークの発言に、驚いている。
 今まで特殊なモンスターだと思っていた出来事は、人為的に起こされていたようだ。
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