婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有

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第56話

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 私はラウザーから「話してやるといい」と言われていたこともあって、龍人についてゼロアに話す。

 昨日の夜、突然部屋に現れたことを説明してから、私は言う。

「ラウザーは私の魔力による攻撃を掻き消すほど強くて……私では、勝てません」

 ラウザーについて話していたけど、私は言えないこともあった。

 ゼロアを消そうとしていたこと。
 戦闘になれば、確実に勝つためラウザーがゼロアを人質にとると言っていたこと。

 それを知るとゼロアが自分のせいだと思ってしまうかもしれないから、私が弱いことにする。

 ラウザーは互角と言っていたけど、力の差があることにしていた。

 昨日の夜に起きた話を聞いて――ゼロアは、冷静に話す。

「幻獣の頂点で、シーラの魔法が効かなかった……本当に、そこまで力の差があるのか?」

「えっ……えっと、はい。私の魔法は掻き消されて、ラウザー様がそう言っていました」

 魔法が掻き消されたのは全力でやっていないからで、ラウザー自身は互角と言っていた。

 ゼロアもそこまでラウザーと私に力の差があると思っていないようで、真相に気づいてしまったかもしれない。

「そうか。それでも俺なら、龍人ラウザーが相手でも問題ないと思っている」

 私は今日の夜、龍人ラウザーが来ることもゼロアに話していない。

 ゼロアは自信に満ちているけれど……屋敷から去るしかないと、この時の私は考えていた。
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