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第66話

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 龍人ラウザーが、この場から去ろうとしている。

 翼を広げて空を飛ぶ前に、ラウザーが私を眺めて言う。

「最後にこれだけは言わせてほしい――オレはシーラのことを知り、妻にしたいと想っていただけなんだ」

「それでも、私はゼロア様の方が遥かに好きです」

 私は断言すると、隣でゼロアが少し顔を赤くして頷く。

 その姿を眺めて、ラウザーは微笑みを浮かべる。

「ああ。お前達を見て、オレでは敵わない確信した――帰ることにしよう」

 そう言って――ラウザーは空を飛んで、姿を消していた。

 龍人ラウザーはスミスとレヴォクに利用されていただけで、強い者と番になるのも龍としては自然のことのようだ。

 ドラゴンもレヴォクが魔法道具で呼んだからこそ来ただけで、悪いのは全てスミスとレヴォクだ。

 スミスは龍人を利用しようとして失敗して消滅して――レヴォクは明日、処刑を言い渡されていた。
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