新しい聖女が優秀なら、いらない聖女の私は消えて竜人と暮らします

天宮有

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第8話

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 私がラグード国から消えて、2週間が経っていた。

 山地の屋敷で暮らす生活には慣れたけど、気になることがある。
 部屋にはヨハンがいてくれるから、私は尋ねることにした。

「ルジオ国に来てから私は何もしていませんけど、良いのでしょうか?」

「傍にいてくれるだけで私は幸せだが、シンシアは何もしていないことが不安なのだろうか?」

「ヨハンと一緒にいられるのは嬉しいのですが……今まで聖女として働き続けてきたから、何もしていないことが気になってしまうようです」

 この2週間は屋敷の魔法道具を使ったり、竜と触れ合い楽しんでいたけど……聖なる魔法が使えるから、人々の役に立ちたい。
 本心を話すと、ヨハンは思案してから言う。

「ルジオ国は平和で、爪や鱗を提供したから何もしなくて構わないと言われているが、ハワードに相談してみよう」

「そうですね」

「王都を観光できるし、私が護衛として傍にいるから安全だ」

 賢者ハワードは城で暮らしているようで、何かあれば城に来て欲しいと聞いている。
 私達が住んでいる屋敷の感想も聞きたいと話していたから、一度会っておきたかった。

 今日の行動を決めて、私は2週間の出来事を思い出す。

「山地でも様々な魔法道具により生活に困らず、快適に暮らせています……この屋敷や魔法道具の価格はどれほどなのでしょうか?」

「詳しくは聞いていないが、私が提供した爪や鱗なら余裕で支払えているようだ」

「そ、そうですか」

 竜族の凄さに、私は驚くしかない。
 そんな私の反応を目にして、ヨハンは嬉しそうだ。

 今の生活は楽しくて、これからヨハンと一緒に王都へ向かう。
 そこで私は、ラグード国の現状を聞くことになる。
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