強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有

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第32話

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オリドス視点

 俺はシンディが変わったとしても、酷い目に合わせたくて仕方なかった。
 様々な手段で貶めようとするが失敗して、逆に俺の評判が確実に落ちていく。

 部屋にルミスを呼びつけ、俺は叫ぶ。

「クソッ! シンディの奴……俺がやったと周囲に知らしめるなど! なんて奴だ!!」

 今まで俺の暴言や嫌がらせを平然と受け止めていたシンディとは、完全に別人となっている。

 魔法が使えるようになって自信がついたと言っていたが、確かにそこまで変われるほどの力があった。

 ルミスが恐怖しているのは、今まで俺に何も報告することができていないからだ。

「ルミスよ! 貴様の姉には弱点がないのか!?」

 ルミスに向かって叫ぶと、怯えた様子で返答する。

「は、はいっ! それは――」

「――貴様の評判も落ちていることは聞いている。シンディを消す以外に方法はないぞ!」

「はいっ! 弱点なのかはわかりませんけど……お姉様は、ヨハン様と親しいです」

「そんなことは俺でも知っている!」

「いえ! 最近お姉様はヨハン様を屋敷に呼ぶときがあるのですけど……今までと違い、明らかにヨハン様のことが好きな様子です!」

「……ほう」

 今までのシンディは、周囲を気遣って誰か1人を強く想うことがなかった。

 それは婚約者だった俺だからこそ知ることができて……今のシンディは、ヨハンを好きらしい。

「それならば――ヨハンを人質にして、シンディを追い詰めてやる!」

 シンディは強すぎてどんな策でも無意味だったが、ヨハンを捕らえれば問題ない。

 完璧だと考えていたのに――この選択が、最悪の事態を招くこととなっていた。
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