香月探偵事務所

山本記代 (元:青瀬 理央)

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第一章 狂い始めた歯車

case03. 情報屋

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 ベルダの犯行によって犠牲者が出てから二日が経った。
我台から何も連絡が無い事から、恐らく捜査も滞っているのだろう。

いつ我台から連絡が来ても良いようにマオは心を構えているが、一方の守樹は何やらもの思いに耽っている様だった。

「守樹サン、ベルダの事考えてる?」

 守樹は応えず、ぼんやりと窓の外を眺めたままだ。

一体何を考えているのか、まだ出会って半年のマオにはその表情から思考を読み取ることは出来ず、返事を待つ他無い。

犯罪者ベルダの目的って、一体何なんだろうね?」

が分かれば、事件は起きない」

「……そうですね」

 守樹の言う通りだとマオは思った。

 しかし何故ベルダは十年も前の事件の犯人、カロスの模倣を今になって始めたのか、そして何故最初の被害者達は殺さずに傷害事件で抑えたのか、無い片腕が左右変わるのは何故なのか。

事務所に届いた守樹宛のカードは何を意味するのか。
守樹の前に現れたと言う片腕の少年――愛は一体何者なのか。

疑問ばかりが募るが、一つの考えがマオの頭に浮かんだ。

――この事件の犯人、ベルダはまるで……

「誰かの……気を惹きたいみたいだ……」

 しかし、そのとは誰なのか?
守樹がゆっくりと振り返り、マオと目が合う。

「守樹サン。もしかしてさ、守樹サンに手を振ってたっていう男の子……その子がカードの送り主なんじゃ?」

「そこまで決め付けるのは早過ぎるだろう……が、私もあの少年が何かしら鍵を握っていると踏んでいる」

「早過ぎるって……でも、明らかに不自然ですよ。絶対その子がベル――」

「マオ、探偵業において『思い込み』という概念は消し去らなければならない。何故ならは必ず致命的なミスに繋がるからだ。周りは勿論、自分の常識さえも疑え。

それができなければ真実は逃げてしまう。

が揃っていない現状で『絶対』は無いんだ。それで浮上させられた被疑者が無罪の時、その心情は人によっては私達が想像するよりも辛いものかもしれないんだ」

「……ハイ」

「だが、一つの可能性として今のお前の話しを仮定するなら……悪くない。寧ろ私もその可能性は考えている」

――どっちだよ。てか年下でズボラなコイツに偉そうに説教される俺って……。

「しかし、きっとこの事件は私にとって悪い方へ転がりそうだ」

「どういう意味?」

「我台から何の連絡も無いのがその証拠、と言っても良いかもしれんな……いや、も一つの仮定だ。お前は深く考えなくて良い、給料は必ず払う」

「それは当然お願いしますね」

 マオが守樹のこの言葉の意味を理解するのはもう少し時間が経ってからの事だが、今はまだ知る由もない。



 * * *



「――我台さん」

 ベルダの捜査本部の会議を終えた我台は、ロビーの自動販売機で購入した缶コーヒーをゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいた。

 浮かない表情の彼に声を掛けたのは最近部下になった七尾だ。
呼ばれてそちらを向いた我台だが、七尾の言葉は続かない。
その理由を、我台は良く分かっていた。

「……お前も何か飲むか?」

「いいえ」

 半分程残っていた缶コーヒーを一気に飲み干すと、ゴミ箱に向かってそれを放り投げ、その手をくたびれた茶色いスーツのポケットに仕舞う。

「まあ……しゃーねぇこったな」

 暢気に天井を見上げて何でもない様に言い放った我台に、七尾は怒りで顔を真っ赤に染めて声を荒らげた。

「『しょうがない』って! 良いんですか!? このままでは彼女がっ!」

「七尾」

 我台の声は決して大声ではなかったが、冷静過ぎるその声色は感情を爆発させた七尾を鎮めるには十分だった。
ポン、と我台の右手がすれ違いざまに七尾の肩を叩く。

だ」

――この新米は、少々熱過ぎる。

 自身の昔の姿を思い出し、少しだけ頬が緩んだ。

「……さて」

 外に出た我台は煙草を咥え、今にも雨が降り出しそうな重い色の空を見上げて一人呟く。

「どーしたもんかなぁ?」



 * * *



 バサバサと音を立て、本日何百枚……何千枚目かの書類が床に散り、マオが大きな溜め息を吐く。
この溜め息も今日は何度目だろうか?

――ファイルに挟むとかしとけよ。

「守樹サーン! これいつになったら終わるのー?」

「黙って探せ」

「探すけど、少しは整理しようよ……」

がお前の仕事だろう、給料泥棒め」

「ヒド」

「無駄口を叩くのは後にしろ」

「はーい。……ていうか守樹サン、もしかしてこれが我台さんの言ってた『プロファイリング』ってやつ?」

「そんな様なものだ」

「FBIとかがやってるやつだよね? なんかテンション上がるー!」

「口じゃなく手を動かせ、グズ」

 何故、今守樹とマオが資料庫をひっくり返しているのかというと、突然守樹が「直ぐにカロスについての全ての資料を探し出せ」と言い出したからだ。

しかし、膨大な数の資料を前に二人は悪戦苦闘していた。

不要になった資料を置きに来る時は、いつもその紙の束を前に「いつ見てもすげぇ」くらいにしか思わなかったが、いざこの中から一つの資料を探すとなると想像以上に骨が折れるもので、マオは心の中で悪態をつかずにはいられない。

――せめて年度分けくらいしとけよ。……って、それも俺の仕事かぁ。
 多過ぎる資料の山を見て早くも気持ちが落ち込むマオだった。

 パサ……と音を立て、頭の上から新聞の切り抜きがマオの足元に落ちた。
その見出しに目を奪われる。

《犠牲者二〇〇人超! 日本史上最悪の犯罪者サイコキラーカロス》

――胸糞悪い書き方しやがって。

「守樹サン! あったよ! 新聞だけど!」

 紙の束を脇に挟んだ守樹が、床に散らばった資料を避ける事無くその上を歩いてマオの元へ。
二人で新聞の記事を確認する。

「ああ、これだ」

「うん、でも他の資料はまだ……」

「ここにある。これで全部だ。事務所に戻るぞ」

「ハイ。ていうかさ、守樹サン、資料見付けてたなら言ってよ」

 マオの言葉は虚しく消えた。

 事務所に戻ると、舞子がサンドイッチを持って扉の前で待っていた。
その様子を見てマオが慌てて階段を駆け下りる。守樹は相変わらずマイペースだ。

「舞子さん! すみません! 昼食、俺が頼んだのにお待たせしてしまって! お店もお忙しいのに……」

 焦りながら扉を開けるマオとは逆に、舞子はクスクスと笑う。

「マオ君、そんなに焦らなくても大丈夫よ。今日は丁度店番も居るし、それに私も今上がってきたところだから。でも珍しいわね……資料庫に行くのに鍵を掛けるなんて。いつもは開けっ放しじゃない?」

「あ、はい。実は、守樹サンがちょっと不審な人物を見かけたらしくて。それで一応……」

「そうなの? 物騒ねぇ」

「それより舞子さん、店番って?」

 一瞬舞子はキョトンとした表情を浮かべたが、直ぐにまた笑顔を見せた。

「そっか、そういえばマオ君は知らないんだったね。私、四つ上の姉が居るのよ。普段は京都で仕事をしてるんだけど、たまに来てはこうして店を手伝ってくれるの」

「へぇ。舞子さんのお姉さん……」

――絶対美人だわ。

日奈子ひなこが来てるのか?」

 守樹の言葉で、マオは舞子の姉の名を知る。

舞子が短く返事をして答えると「事務所に来る様伝えてくれ」と舞子に頼み、舞子は二つ返事でせかせかと事務所を後にした。

 数分後、控え目に開けられた扉から現れたのは色白で小顔の、とても美しい女性、日奈子だった。
事務所の中を覗いた日奈子の肩から長い黒髪がはらりと流れる。
それすらも美しいとマオは思った。

――うーわー……すっげぇエロい……。

 微動だにせず日奈子に見惚れていたマオだが、守樹に足を踏まれ我に返る。

「いッ!」

 涙目で飛び上がるマオを横目に、守樹は日奈子を中へと招き入れる。

「守樹ちゃん、元気そうで何よりやわ。ああ、今日は。音原日奈子いいます。祇園で芸妓しとります。……そちらはんは?」

「あ、初めまして、妻渕マオです。守樹サンの助手です」

 少し首を傾げて笑う日奈子は艶っぽく、マオはその一つ一つの仕草に目を奪われる。

 しかし、マオの中に疑問が生まれる。

「あの、舞子さんのお姉さん……なんですよね?」

「せやった筈どす」

 悪戯っぽい言い方の日奈子だが、その容姿の所為かマオにはとてつもなく妖艶に見える。

「どうして、関西弁なんですか?」

「ウチと舞子は、血ィが繋がっておへんのどす。……いうのも、親が再婚同士で。ウチらはお互いの連れ子なんどす」

――だから全然似てねぇんだ……。

「ほんでもお義母かあはん……舞子の母は再婚して直ぐに往生しわはりました。舞子は暫く京都に居らはったんやけど、やっぱり居心地悪おりにくかってんやろなぁ、中学卒業と同時に生まれた街……東京へ戻り、それから高校は東京の学校へ進んで今へ至るんどす」

「舞子さんにそんな過去が……。あれ、でも守樹サンと舞子さんは幼馴染でしょ? 守樹サンは京都に居た事があるの?」

「いや、私は舞子の両親が離婚する前に、よく公園で遊んでいたんだ。……まだ残っているかわからんがな。特別仲が良かったわけでもないが、舞子と居るのが一番落ち着いたのを覚えている。

私は舞子が東京を離れても、公園に通い続けていたんだ。そして私が中学二年生、舞子が高校一年生の時そこで再会を果たした」

「そんなことが……。なんかドラマみたいだね」

「無駄話しはここまでだ。日奈子、カロスの模倣犯の事件は知っているな?」

――何故、日奈子さんにそんな話しを?

 疑問に思ったマオだが、話しは淡々と進む。

「へえ。ベルダ、言わはりましたなぁ?」

 妖しく笑った日奈子は、マオに「綺麗なのにどこか怖い」という印象を与えた。
日奈子と目が合ったマオは、本能的にギクリと身を強ばらせたが、話は進む。

「ああ。知ってる情報全て話せ」

「つい二、三日前の事件やさかい、にも大きな情報はあらしまへんえ。そうやなぁ……守樹ちゃん、はなんぼ程あるん?」



 日奈子は可笑しそうにクスクス笑う。

「相変わらずけったいな子やわぁ。……ほな、先ずはでええよ」

 守樹の眉間に皺が寄る。

「ええねん、大した情報量でもないさかい」

 守樹は立ち上がり、寝室にある鍵の掛かっていない金庫の中から一万円札を三枚取り出し、無造作にテーブルの上に置いた。

そこで初めて、マオは日奈子が『情報屋』である事に気付く。

「確かに。……ほな、先ず何から言うた方がええやろか? ああ、二日前にゃはったお客はんの話やけど

『恐らく被害者達は事件直後の事もあって記憶が錯乱状態にあるから、きっと犯人……ベルダは片腕なんかじゃない。もしくはどちらか一方が無いのを勘違いしたのだろう』

いう事で仮定して、今警察は捜査したはるらしいわ」

「そ、そんな!! 傷害事件の被害者の女性は十六人、その子供を合わせたら倍は居るんですよ!? その人たちが同じ証言をしているのにどうして!? それって、本当に正確な情報なんですか!?」

「煩い、落ち着け。日奈子、続きを」

「マオ君の言わはるのもようわかります。せやけどウチの裏の商いは事やさかい、の前で嘘は言いまへんえ。――ああそうや! これからは、ウチの……」

 鋭い光を宿した日奈子の目が二人を捉える。
美しく弧を描いた唇に、再び漠然とした恐怖を感じたマオは全身の毛が逆立つのがわかった。
そんなマオに気付く事は無く、日奈子は愉しそうに笑ってその先を話す。

「カロスには一人、子供が居らはったそうや」

 守樹とマオに衝撃が走る。
その様子を見て日奈子は益々笑う。

「あはは! そうそう、が見たかってん」

「カロスの子についての情報は無いのか?」

 守樹の質問に日奈子は答えず、代わりに人差し指を唇に当てた。
『一万円札一枚追加』という意味だろう。
守樹の指示で今度はマオが寝室に向かうと「十万だ」と言う守樹の声に驚き、手に汗を握りながら、先に並んでいた三枚の一万円札の隣に並べる。
一つ頷いた日奈子を確認した守樹が先を促す。

「正確な年齢はわかれへんけど、恐らく十代後半か二十代前半やろうっちゅう事になったはるらしいわ。

名前や性別、血液型も全て不明、母親……カロスの妻の情報は警察も掴めとらへんいう事やった。何せ身篭って直ぐ離婚しわはったらしいけど、こっちも詳細は不明どす。
結婚や離婚や言うても多分、事実婚やったんやろうねぇ。そうやなかったら直ぐに情報収集できるやろうし……。

――残ったカロスのDNAを採取してあっちこっち調べたはったみたいやけど、解決した事件やさかい、その調査も直ぐ打ち切りにしわはったらしいわ。そらそうや、見付けたところで何もしようがあらへん」

「それだけ分かれば充分だ」

 そして口を閉ざした日奈子に、これ以上の情報は得られないと判断した守樹は席を立った。
その様子をマオが横目で見たが直ぐに視線を日奈子に戻す。

「ありがとうございました」

 日奈子は愛想の良い笑顔を浮かべる。

「へえ。まいどおおきに」



 * * *



――京都 祇園

 日奈子の美しい髪を梳かすのは、今年で三十歳を迎える――伊鶴蘭吉いづるらんきち
職業は髪結い……現在は日奈子専属の髪結いだ。
糸目が特徴的な伊鶴は、人ににこやかな印象を与える。

「ふうん……それで結局に忠告はしたらへんかってんや。悪いやっちゃなぁ」

「ウチは情報屋。……聞かれた情報を売るのが仕事やさかい。それにかてアホやない。きっともう既に気付いてて、何かしら手打ってる筈やわ」

「そらそうや。妙な情湧かしとったら務まれへんな。……それより――ふじ

 髪を梳かしていた伊鶴の手からいつの間にか櫛は離れていて、その両手はするりと日奈子の首を撫で、頬を掠める。
ふわりと後ろから優しく抱き締められた日奈子は、うっとりと甘えるように首を傾げて伊鶴に体を預ける。

 傍から見れば親密に思える二人だが、決して恋人同士ではない。
しかし、互いに特別な感情を持っているのは確かだ。

源氏名そのなまえは二人の時は呼ばへん約束やろ?」

「ああ、せやったな。すまん、すまん」

 伊鶴はにこやかに謝るが、やはり仕事用に化粧を施した彼女を本名で呼ぶには少し違和感があった。

「ほんで、なんやの?」

「なんで今日は紅だけまだ引いてへんのや?」

「ああ、これ?」

 クスクスと笑った日奈子は、懐から二枚貝の殻を取り出すと、それを伊鶴に差し出した。
伊鶴は何も言わずにそれを受け取る。

「蘭吉はんに引いて貰お思て」

「髪結いの俺に?」

 言いながら紅を小指に少量掬うと、薄く形の良い日奈子の唇にそっと落とした。

色をさした日奈子の顔を見て、素直に美しいと伊鶴は思った。
笑顔の伊鶴はグッと顔を近付た。
その距離は互いの息が掛かる程近いが、気にも留めず伊鶴は口を開く。

「綺麗や」

 可笑しそうに日奈子は笑う。

「近過ぎて、見えてへんやろ?」

「見えてのおてもわかんねん。……ほな、仕事へ行こか」

 伊鶴は日奈子の耳にリップ音を立てながら軽い口付けをし、名残惜しそうに離れた。
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