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内腿の山百合ーー薄緑の花弁に隠された,蜜の旋律を歌う二人だけの練習曲
第13話:二人の匂い,二色のシーツ
朝の光が,カーテンの隙間から差し込む。
意識がゆっくりと浮上してくる。
けれど,いつもと違う。
鼻腔をくすぐるのは,私の匂いではなく,もっと重くて温かい,先輩の香りだった。
(……大輝先輩)
寝返りを打つ。
けれど,そこにあるはずの「熱」がなかった。
一瞬,昨夜のすべてが夢だったのではないかという,心細い錯覚が胸をかすめる。
「……っ」
慌てて身を起こそうとして,内腿に走った鈍い痛みに息を呑んだ。
昨夜の「衝撃」が,肉体の記憶として刻まれている。
ーー夢なんかじゃない。
ふと視線を上げると,窓際の小さな椅子に,高校のジャージ姿のままの大輝先輩が座っていた。
彼はまだ少し眠たげな目で,手元のスマホをいじっていたが,私の動きに気づくと,顔を上げて柔らかく目を細めた。
「……おはよう。……起こしちゃったかな」
「……あ,いえ。……先輩,いつ起きたんですか?」
「さっきだよ。……陽菜さんの寝顔が,あまりにも幸せそうだったから,起こさないようにと思って」
そう言って笑う彼の瞳は,いつもの穏やかで誠実な先輩のものだ。
けれどその姿を見た瞬間,昨夜の記憶が鮮明な色彩を持って脳内にフラッシュバックした。
ーー『陽菜をっ,壊して……!』
(……っ!)
あまりの恥ずかしさに,私は思わず枕を掴んで顔を埋め,ベッドの上で音もなくのたうち回った。
あんな言葉を,大輝先輩に。
あんなに必死に彼の背中に爪を立てて……!
「あぁ……っ!」
「陽菜さん? どうしたの,急に……」
心配そうにベッドに近寄ってくる気配。
シーツが沈み込み,彼の大きな手が私の頭にそっと置かれる。
羞恥心が限界を超えて,私は枕に顔を埋めたまま,籠もった声で叫んだ。
「……忘れてください……っ! 昨日の,……全部,忘れてください……!」
すると大輝先輩は,私の頭を優しく撫でながら,少し困ったように,でもどこか嬉しそうに囁いた。
「……無理だよ。……あんなに可愛かった陽菜さんを,忘れるなんて」
(……かわいい!?)
私はますます枕を強く抱きしめた。
その言葉にさらに顔を熱くしていると,先輩は少し間を置いて,付け加えた。
「……あ,あと。勝手にお手洗い,使わせてもらいました。……ごめんね,寝てる間に」
そのあまりに丁寧な日常の「報告」に,私は枕から片目だけを出して彼を見た。
(……今さら,そんな……)
私の肉体の最深部まで知っているはずの彼が,お手洗いを使うことに遠慮を見せる。
そのアンバランスさが,なんだか可笑しくて,私の強張っていた肩の力がふっと抜けた。
「……いいですよ。……私の部屋なんですから,そんなこと言わなくても」
「……そう? でも,陽菜さんの部屋だし」
どこまでも誠実で,清潔感のある大輝先輩。
「……先輩」
「ん?」
「……お腹,空きました」
私は恥ずかしさを飲み込んで,わざと甘えるような声を落とした。
「……食べに,行く?」
大輝先輩は優しく微笑みながら答えてくれた。
一瞬,戸惑った。
昨夜の熱がまだ身体のあちこちに残っている気がして,外の世界に出るのが少し怖かった。
でも,今回は鎖骨にキスマークはない……。
「はい。……行きましょう」
そう答えたものの,まずはこの寝起きの身体を整えなければならない。
私はベッドから這い出し,トイレのドアを閉めた。
鍵を閉め,狭い個室で座ったになった瞬間,昨夜から私の中に溜まっていた熱の余韻が,重力に従ってゆっくり,ゆっくりととほどけていくのを感じた。
(……あ。……先輩,すぐそこにいるのに)
壁一枚隔てた向こう側では,大輝先輩が椅子に座ってスマホをいじりながら,私が出てくるのを待っている。
その気配を背中に感じながら行う,朝一番のーー。
昨日までなら無機質な日常だったこの動作が,彼に身体を開いた後では,ひどく生々しい「自分への確認」に変わっていた。
(……やっぱり,少しヒリつく)
トイレットペーパーを当てた時の,粘膜のわずかな違和感。
一晩経って,微かに乾き始めた「しるし」が,指先を通して昨夜の衝撃を鮮明に呼び起こす。
けれど,それは単に不快なだけでなく,私が「女の子」という殻を脱ぎ捨てて,取り返しのつかないほど彼に書き換えられたことを証明する,誇らしさ,さえある痛みだった。
彼に余計な想像をさせないよう,いつもより慎重にレバーを引き,静かに水を流す。
この個室の静寂だけが,今の私の本当の姿を知っているような気がした。
……………………………………………………………………………………
洗面台で手を洗い,顔を洗う。
冷たい水が肌を引き締める。
鏡の中の自分は,心なしか昨日よりも少しだけ瞳が深く,大人びて見えた。
冷たい水で肌を引き締めて顔をあげると,ふと,鏡の横にある棚に手を伸ばした。
また,彼が泊まる日が来るかもしれないと,念のために買っておいた二枚刃の安価なカミソリ。
それをそっと手前に置き,私は扉を開けた。
「……先輩,もしよければ,それ使ってください」
「……ん?……ありがとう。」
しばらくして,扉の向こうからシャリ,シャリ……と,肌を撫でるような微かな音が聞こえてくる。
(……あ,剃ってるんだ)
昨夜,私の耳元で聞こえたあの熱い吐息とは対照的な,規則正しく清潔な音。
その音が,私の生活空間に彼という「男性」が確かに存在していることを,改めて突きつけてくる。
やがて水音がして,先輩が部屋に戻ってきた。
洗いたての石鹸の香りと共に,彼の顎のラインはいつもよりも滑らかで,清潔な状態に整えられていた。
「……ありがとう。助かったよ」
「……いえ。いつか,使うかなって思って」
「……あはは,陽菜さんは,準備が良いね」
「……あ。じゃあ,着替えましょうか」
私は恥ずかしさを誤魔化すように言った。
私たちは自然と背中を向け合い,着替えを始める。
昨夜,あれほどまでに全てを晒け出し,お互いの隅々まで見せ合ったはずなのに,朝の光の中では,下着姿になることさえもどかしく,ひどく冒涜的なことのように感じられてしまう。
ワンピースを手に取る寸前,私は振り返るようにして,ちらっと彼の後ろ姿を見た。
私よりも太い腕,広い肩幅,そして逞しい背中ーー。
そして,その白い肌の上に,数箇所の赤い爪痕が見えた。
(……あ……私の,つめあと)
前回,私がつけられたキスマークと比べれば,それはなんてことのない小さな傷かもしれない。
けれど今回は,私が彼に「しるし」をつける側に回ったのだ。
(……私が,やったんだ)
胸の奥に,炭酸が弾けるような謎の優越感がこみ上げてきた。
けれど,それと同時に,自分の剥き出しの情熱を突きつけられたような気がして,急に正視するのが恥ずかしくなった。
私は逃げるようにして,もう一度ワンピースの中に身体を滑り込ませた。
再び先輩を見ると,彼はすでに着替えを終えていた。
昨日と同じズボンに,リュックから取り出したばかりの水色の清潔感のあるTシャツ。
「……あの,先輩。……閉めてもらえますか?」
昨夜,あれほど隅々まで晒け出したはずなのに,この数センチの布を合わせてもらうだけで,顔が熱くなる。
大輝先輩が私の背後に回り,大きな手が不器用にファスナーを引き上げる。
その指先が微かに震えているのを感じて,私は恥ずかしさを誤魔化すように口を開いた。
「着替えも,持ち歩いてたんですね」
私がいたずらっぽく茶化すと,先輩は「……まあ,課題で徹夜することもあるからね」と,苦しい言い訳をしながら照れくさそうに笑った。
彼は脱いだばかりのジャージのズボンを手に取ると,少し躊躇うような仕草を見せた。
「このジャージ,陽菜さんの家に置いておいてもいいかな……。」
その言葉は,今日という日の終わりではなく,次の約束を告げる静かな宣言だった。
私は胸の奥が熱くなるのを感じながら,「……はい」と短く頷いた。
彼は満足そうに微笑むと,そのジャージを丁寧に畳んで,ベッドの脇に置いた。
その几帳面な手つきが,いかにも育ちの良い彼らしくて,私の独占欲をかすかに疼かせた。
着替えを終え,最後に鏡の前で,入念に化粧水と日焼け止めを塗る。
「……先輩も,日焼け止め使います?」
「いいの? 使ったことないんだけど」
戸惑いながらも私の手からボトルを受け取る彼。
「少しずつ伸ばしてくださいね」と教えながら,ぎこちなく日焼け止めを塗る彼がの姿を見ているのが,なんだかひどく幸福だった。
「……あの,先輩。リュックサック,置いていっていいですからね」
私の口から不意にこぼれたのは,またここへ帰ってきてほしい,できればもう一度……という,剥き出しの期待を込めた言葉だった。
「……うん。じゃあ,甘えようかな」
大輝先輩は私の意図をすべて汲み取ったのか,それともただ純粋に好意を受け取っただけなのかはわからない。
けれど,彼のその穏やかな微笑みが,私の不安を優しく拭い去ってくれた。
……………………………………………………………………………………
マンションを出て,私たちは学習院横の静かな坂道を下り始める。
まだ熱気を帯びる前の朝の風が,並んで歩く私たちの間を通り抜けていく。
驚くほど静かな坂に,私たちの足音だけが規則正しく響く。
坂を下るたび,私の身体の奥に刻まれた「重い痛み」が,小さな警鐘のように響く。
ーー服の下に隠された彼の背中の爪痕も,私の「痛み」も,この眩しい朝の光の中では,まるで最初からなかったことのように。
「……陽菜さん。……その,歩くの……痛くない? 大丈夫?」
あまりにも率直な問いかけに,私は心臓が跳ね上がるのを感じた。
「……もう。……そういうこと,外で聞かないでください……っ」
顔を伏せる私に,大輝先輩は申し訳なさそうに眉を下げて,でも離れるどころか,そっと私の右手を包み込んだ。
……………………………………………………………………………………
運ばれてきた厚切りのトーストとコーヒー。
明るい光の下で見つめ合うと,昨夜の出来事が嘘のように思えるけれど,時折目が合うたびに,先輩の瞳の奥に昨夜の「熱」の欠片が見える。
私は慌ててトーストを口に運んだ。
「学園祭,二人で歌いませんか。……もちろん,他の人に声かけてもいいし……」
先輩の声は耳に届いているはずなのに,私の脳はそれを言葉としてうまく処理してくれない。
視線は,テーブルの下でわずかに動く先輩の脚や,カップを持つ長い指に吸い寄せられてしまう。
(……正直,話が入ってこない)
昨夜,あの指が私の肌をどうなぞり,その脚が,どのように私と触れたかーー。
そんな記憶ばかりがトーストの熱と一緒に喉を焼く。
この後のことばかり考えていた。
この後どこかいく? それとも,このまま……。
「……陽菜さん? 聞いてる?」
「あ,はい! すみません……。あの,上田に持って帰るお土産を,買いに行きたいなって思って」
焦って出したその提案は,彼を「私の日常」に引き込むための,無意識の抵抗だったのかもしれない。
……………………………………………………………………………………
私たちは目白まで戻り,駅近くのお菓子屋さんで,上品な詰め合わせを選んだ。
「僕の分も入れておいたから」と,彼はいつの間にか自分の財布から代金を支払ってくれていた。
お菓子を選んでいる時も,彼が私の分まで財布を出してくれている横顔を見ている時も。
ふとした拍子に内腿の内側がズキンと熱を持ち,そのたびに私は「昨夜の彼」を強制的に思い出させられた。
お土産の袋を下げて,私たちは再び私の部屋へと戻った。
ドアを開けた瞬間ーー。
(……あ)
鼻腔を突いたのは,私の匂いでもなく,先輩だけの匂いでもない。
昨夜の熱情と,今朝の日焼け止めと,二人の吐息が混じり合った,この世でここだけにしかない「二人の匂い」だった。
冷房を切った部屋は少し蒸し暑く,それが余計に昨夜の残り香を濃く感じさせる。
私は買ってきたお土産を白い家具の上に置き,振り返った。
内心では,期待していた。
この「二人の匂い」に包まれて,もう一度,彼と溶け合えることを。
けれど,大輝先輩は部屋の真ん中で立ち止まったまま,申し訳なさそうに時計を見た。
「……陽菜さん。ごめん。……もう少ししたら,帰ろうかな」
その言葉に,私の心臓が小さく音を立てて軋んだ。
昨夜の「男」から,実家暮らしの「行儀の良い息子」へと戻らなければならない現実。
「……もう少し,ですか?」
わざと明るく聞くと,彼は「……ごめんね」と苦笑いして,私をそっと抱き寄せた。
昨日の夜は私を壊すほどに求めていたその腕は,今はもう「お行儀の良い息子」の温度に戻っていた。
私の知らない,彼が二十余年守り続けてきた平穏な日常ーー。
そこに私は,まだ入り込む隙間さえないのだと思い知らされる。
彼の胸板の厚さを感じながら,私は「帰りたくない」という言葉を飲み込んで,彼のシャツの背中を,爪を立てないように優しく握り締めた。
「……陽菜さん。荷造りとか,何か手伝えることはある? 部屋の掃除とか」
大輝先輩が離れ際,ひどく自然にそう尋ねた。
その申し出は,彼にとっては純粋な善意であり,年上の恋人としての誠実さなのだろう。
「いいですよ,そんな。……先輩だって疲れてるのに」
「ううん。……シーツ,代えようか。……少し,汚しちゃったし」
その言葉に,私の心臓が跳ねた。
ーーシーツの汚れ。
それを自ら片付けようとする彼の「行儀の良さ」は,あまりにも潔癖で,まるで昨夜の熱情を証拠隠滅するかのようにさえ聞こえた。
「……じゃあ,お洗濯……お願いします」
私が甘えるように言うと,大輝先輩は「了解」と短く笑って,手際よくシーツを洗濯機に放り込んだ。
ガタゴトと音を立てて回り始めた洗濯機。
脱水が終わるまでの四十分余り。
それは,私たちは夫婦のような,あるいは兄妹のような,穏やかな時間を過ごした。
明日からの帰省に備えた,部屋の片付け。
時折,スマホから流れる,合唱曲の柔らかな旋律。
「……これ,手伝ってくれる?」
淡いグレーの,少し大人びたシーツ。
二人でベッドの両端に立ち,息を合わせて布を広げる。
四隅を整え,シワを伸ばすために手を滑らせる。
そのたびに指先が触れ合いそうになって,私は昨夜の熱を思い出しては,不意に視線を逸らした。
ずっと前からこうして暮らしてきたような,完成された時間ーー。
やがて,その平穏を破るように,脱水が終わったことを告げる電子音が響く。
「よし,干そうか」
大輝先輩がシーツを抱え,ベランダへ続く窓を開けた。
真夏の眩しい光が部屋に流れ込む。
私たちは大きなシーツの両端を持って,息を合わせて「せーの」でパンパンと皺を伸ばした。
シーツ越しに透ける彼のシルエット。布が風に膨らむたび,洗剤の清潔な香りが弾けて,私たちの肌に残っていた生々しい熱を,優しく,でも残酷に上書きしていく。
シーツの向こう側から顔を出した先輩が,眩しそうに目を細めて笑う。
その顔は,どこまでも爽やかで,誠実な「サークルの先輩」そのものだった。
(……ずっと,こうしていたい)
干し終えた真っ白なシーツが,風に揺れて大きな壁を作る。
その陰で,彼は私の額にそっとキスをして,「じゃあ,行くね」と告げた。
リュックを背負い,玄関へ向かう彼の後ろ姿を追う。
その足取りは,「私の彼」から「お行儀の良い息子」のそれへと,一歩ごとに切り替わっていく。
「……また,明日。駅でお見送り,させてくれる?」
玄関で靴を履き終えた彼が,ふり返って私を見た。
その瞳はどこまでも穏やかで,私への慈しみに満ちている。
ーー明日も会える。
その約束は,本来なら何よりも心強いはずのものだった。
けれど,今の私にはそれが,この後に訪れる猛烈な孤独を和らげるための,残酷な麻酔のように思えてしまった。
「……はい。」
私は胸の奥に広がる言いようのない寂しさ。
それを飲み込んで,精一杯の笑顔で頷いた。
彼は満足そうに微笑むと,「また連絡するね。バイバイ」と短く告げて,ドアの向こうへと消えていった。
パタン。
ドアが閉まる,乾いた音。
それが,静まり返った部屋に冷たく響く。
さっきまで二人で笑いながら干していたはずなのにーー。
窓の外では,真っ白なシーツが太陽の光を反射して,無機質に揺れている。
それが光を遮るせいで,部屋の中は変に薄暗く,まるで世界から切り離されたような静寂に包まれた。
私は立っているのが心細くなり,その場にスッと腰を下ろした。
ーー冷たい床。
そこには,彼が「また来るから」と言って丁寧に畳んでおいた,紺色のジャージのズボンが置かれている。
私はそれをひったくるように掴むと,逃げるようにベッドへと這い上がった。
けれど,今,私の下に敷かれているのは,彼がいない,何の匂いもしない,ただの無機質な色の布だった。
洗練されたそのグレーが,窓の外で揺れる潔癖な『白』と対照的に,色彩を失った私の空虚さを残酷に際立たせている。
「……っ,だい,き……せんぱい……」
私はジャージのズボンに顔を埋めた。
ベランダから漂ってくるの洗剤の香りが,鼻腔の奥に残る「昨夜の男」の匂いを消そうとする。
それが怖くて,私はより深く,より強く,彼が置いていった布地に顔を押し当てた。
意識がゆっくりと浮上してくる。
けれど,いつもと違う。
鼻腔をくすぐるのは,私の匂いではなく,もっと重くて温かい,先輩の香りだった。
(……大輝先輩)
寝返りを打つ。
けれど,そこにあるはずの「熱」がなかった。
一瞬,昨夜のすべてが夢だったのではないかという,心細い錯覚が胸をかすめる。
「……っ」
慌てて身を起こそうとして,内腿に走った鈍い痛みに息を呑んだ。
昨夜の「衝撃」が,肉体の記憶として刻まれている。
ーー夢なんかじゃない。
ふと視線を上げると,窓際の小さな椅子に,高校のジャージ姿のままの大輝先輩が座っていた。
彼はまだ少し眠たげな目で,手元のスマホをいじっていたが,私の動きに気づくと,顔を上げて柔らかく目を細めた。
「……おはよう。……起こしちゃったかな」
「……あ,いえ。……先輩,いつ起きたんですか?」
「さっきだよ。……陽菜さんの寝顔が,あまりにも幸せそうだったから,起こさないようにと思って」
そう言って笑う彼の瞳は,いつもの穏やかで誠実な先輩のものだ。
けれどその姿を見た瞬間,昨夜の記憶が鮮明な色彩を持って脳内にフラッシュバックした。
ーー『陽菜をっ,壊して……!』
(……っ!)
あまりの恥ずかしさに,私は思わず枕を掴んで顔を埋め,ベッドの上で音もなくのたうち回った。
あんな言葉を,大輝先輩に。
あんなに必死に彼の背中に爪を立てて……!
「あぁ……っ!」
「陽菜さん? どうしたの,急に……」
心配そうにベッドに近寄ってくる気配。
シーツが沈み込み,彼の大きな手が私の頭にそっと置かれる。
羞恥心が限界を超えて,私は枕に顔を埋めたまま,籠もった声で叫んだ。
「……忘れてください……っ! 昨日の,……全部,忘れてください……!」
すると大輝先輩は,私の頭を優しく撫でながら,少し困ったように,でもどこか嬉しそうに囁いた。
「……無理だよ。……あんなに可愛かった陽菜さんを,忘れるなんて」
(……かわいい!?)
私はますます枕を強く抱きしめた。
その言葉にさらに顔を熱くしていると,先輩は少し間を置いて,付け加えた。
「……あ,あと。勝手にお手洗い,使わせてもらいました。……ごめんね,寝てる間に」
そのあまりに丁寧な日常の「報告」に,私は枕から片目だけを出して彼を見た。
(……今さら,そんな……)
私の肉体の最深部まで知っているはずの彼が,お手洗いを使うことに遠慮を見せる。
そのアンバランスさが,なんだか可笑しくて,私の強張っていた肩の力がふっと抜けた。
「……いいですよ。……私の部屋なんですから,そんなこと言わなくても」
「……そう? でも,陽菜さんの部屋だし」
どこまでも誠実で,清潔感のある大輝先輩。
「……先輩」
「ん?」
「……お腹,空きました」
私は恥ずかしさを飲み込んで,わざと甘えるような声を落とした。
「……食べに,行く?」
大輝先輩は優しく微笑みながら答えてくれた。
一瞬,戸惑った。
昨夜の熱がまだ身体のあちこちに残っている気がして,外の世界に出るのが少し怖かった。
でも,今回は鎖骨にキスマークはない……。
「はい。……行きましょう」
そう答えたものの,まずはこの寝起きの身体を整えなければならない。
私はベッドから這い出し,トイレのドアを閉めた。
鍵を閉め,狭い個室で座ったになった瞬間,昨夜から私の中に溜まっていた熱の余韻が,重力に従ってゆっくり,ゆっくりととほどけていくのを感じた。
(……あ。……先輩,すぐそこにいるのに)
壁一枚隔てた向こう側では,大輝先輩が椅子に座ってスマホをいじりながら,私が出てくるのを待っている。
その気配を背中に感じながら行う,朝一番のーー。
昨日までなら無機質な日常だったこの動作が,彼に身体を開いた後では,ひどく生々しい「自分への確認」に変わっていた。
(……やっぱり,少しヒリつく)
トイレットペーパーを当てた時の,粘膜のわずかな違和感。
一晩経って,微かに乾き始めた「しるし」が,指先を通して昨夜の衝撃を鮮明に呼び起こす。
けれど,それは単に不快なだけでなく,私が「女の子」という殻を脱ぎ捨てて,取り返しのつかないほど彼に書き換えられたことを証明する,誇らしさ,さえある痛みだった。
彼に余計な想像をさせないよう,いつもより慎重にレバーを引き,静かに水を流す。
この個室の静寂だけが,今の私の本当の姿を知っているような気がした。
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洗面台で手を洗い,顔を洗う。
冷たい水が肌を引き締める。
鏡の中の自分は,心なしか昨日よりも少しだけ瞳が深く,大人びて見えた。
冷たい水で肌を引き締めて顔をあげると,ふと,鏡の横にある棚に手を伸ばした。
また,彼が泊まる日が来るかもしれないと,念のために買っておいた二枚刃の安価なカミソリ。
それをそっと手前に置き,私は扉を開けた。
「……先輩,もしよければ,それ使ってください」
「……ん?……ありがとう。」
しばらくして,扉の向こうからシャリ,シャリ……と,肌を撫でるような微かな音が聞こえてくる。
(……あ,剃ってるんだ)
昨夜,私の耳元で聞こえたあの熱い吐息とは対照的な,規則正しく清潔な音。
その音が,私の生活空間に彼という「男性」が確かに存在していることを,改めて突きつけてくる。
やがて水音がして,先輩が部屋に戻ってきた。
洗いたての石鹸の香りと共に,彼の顎のラインはいつもよりも滑らかで,清潔な状態に整えられていた。
「……ありがとう。助かったよ」
「……いえ。いつか,使うかなって思って」
「……あはは,陽菜さんは,準備が良いね」
「……あ。じゃあ,着替えましょうか」
私は恥ずかしさを誤魔化すように言った。
私たちは自然と背中を向け合い,着替えを始める。
昨夜,あれほどまでに全てを晒け出し,お互いの隅々まで見せ合ったはずなのに,朝の光の中では,下着姿になることさえもどかしく,ひどく冒涜的なことのように感じられてしまう。
ワンピースを手に取る寸前,私は振り返るようにして,ちらっと彼の後ろ姿を見た。
私よりも太い腕,広い肩幅,そして逞しい背中ーー。
そして,その白い肌の上に,数箇所の赤い爪痕が見えた。
(……あ……私の,つめあと)
前回,私がつけられたキスマークと比べれば,それはなんてことのない小さな傷かもしれない。
けれど今回は,私が彼に「しるし」をつける側に回ったのだ。
(……私が,やったんだ)
胸の奥に,炭酸が弾けるような謎の優越感がこみ上げてきた。
けれど,それと同時に,自分の剥き出しの情熱を突きつけられたような気がして,急に正視するのが恥ずかしくなった。
私は逃げるようにして,もう一度ワンピースの中に身体を滑り込ませた。
再び先輩を見ると,彼はすでに着替えを終えていた。
昨日と同じズボンに,リュックから取り出したばかりの水色の清潔感のあるTシャツ。
「……あの,先輩。……閉めてもらえますか?」
昨夜,あれほど隅々まで晒け出したはずなのに,この数センチの布を合わせてもらうだけで,顔が熱くなる。
大輝先輩が私の背後に回り,大きな手が不器用にファスナーを引き上げる。
その指先が微かに震えているのを感じて,私は恥ずかしさを誤魔化すように口を開いた。
「着替えも,持ち歩いてたんですね」
私がいたずらっぽく茶化すと,先輩は「……まあ,課題で徹夜することもあるからね」と,苦しい言い訳をしながら照れくさそうに笑った。
彼は脱いだばかりのジャージのズボンを手に取ると,少し躊躇うような仕草を見せた。
「このジャージ,陽菜さんの家に置いておいてもいいかな……。」
その言葉は,今日という日の終わりではなく,次の約束を告げる静かな宣言だった。
私は胸の奥が熱くなるのを感じながら,「……はい」と短く頷いた。
彼は満足そうに微笑むと,そのジャージを丁寧に畳んで,ベッドの脇に置いた。
その几帳面な手つきが,いかにも育ちの良い彼らしくて,私の独占欲をかすかに疼かせた。
着替えを終え,最後に鏡の前で,入念に化粧水と日焼け止めを塗る。
「……先輩も,日焼け止め使います?」
「いいの? 使ったことないんだけど」
戸惑いながらも私の手からボトルを受け取る彼。
「少しずつ伸ばしてくださいね」と教えながら,ぎこちなく日焼け止めを塗る彼がの姿を見ているのが,なんだかひどく幸福だった。
「……あの,先輩。リュックサック,置いていっていいですからね」
私の口から不意にこぼれたのは,またここへ帰ってきてほしい,できればもう一度……という,剥き出しの期待を込めた言葉だった。
「……うん。じゃあ,甘えようかな」
大輝先輩は私の意図をすべて汲み取ったのか,それともただ純粋に好意を受け取っただけなのかはわからない。
けれど,彼のその穏やかな微笑みが,私の不安を優しく拭い去ってくれた。
……………………………………………………………………………………
マンションを出て,私たちは学習院横の静かな坂道を下り始める。
まだ熱気を帯びる前の朝の風が,並んで歩く私たちの間を通り抜けていく。
驚くほど静かな坂に,私たちの足音だけが規則正しく響く。
坂を下るたび,私の身体の奥に刻まれた「重い痛み」が,小さな警鐘のように響く。
ーー服の下に隠された彼の背中の爪痕も,私の「痛み」も,この眩しい朝の光の中では,まるで最初からなかったことのように。
「……陽菜さん。……その,歩くの……痛くない? 大丈夫?」
あまりにも率直な問いかけに,私は心臓が跳ね上がるのを感じた。
「……もう。……そういうこと,外で聞かないでください……っ」
顔を伏せる私に,大輝先輩は申し訳なさそうに眉を下げて,でも離れるどころか,そっと私の右手を包み込んだ。
……………………………………………………………………………………
運ばれてきた厚切りのトーストとコーヒー。
明るい光の下で見つめ合うと,昨夜の出来事が嘘のように思えるけれど,時折目が合うたびに,先輩の瞳の奥に昨夜の「熱」の欠片が見える。
私は慌ててトーストを口に運んだ。
「学園祭,二人で歌いませんか。……もちろん,他の人に声かけてもいいし……」
先輩の声は耳に届いているはずなのに,私の脳はそれを言葉としてうまく処理してくれない。
視線は,テーブルの下でわずかに動く先輩の脚や,カップを持つ長い指に吸い寄せられてしまう。
(……正直,話が入ってこない)
昨夜,あの指が私の肌をどうなぞり,その脚が,どのように私と触れたかーー。
そんな記憶ばかりがトーストの熱と一緒に喉を焼く。
この後のことばかり考えていた。
この後どこかいく? それとも,このまま……。
「……陽菜さん? 聞いてる?」
「あ,はい! すみません……。あの,上田に持って帰るお土産を,買いに行きたいなって思って」
焦って出したその提案は,彼を「私の日常」に引き込むための,無意識の抵抗だったのかもしれない。
……………………………………………………………………………………
私たちは目白まで戻り,駅近くのお菓子屋さんで,上品な詰め合わせを選んだ。
「僕の分も入れておいたから」と,彼はいつの間にか自分の財布から代金を支払ってくれていた。
お菓子を選んでいる時も,彼が私の分まで財布を出してくれている横顔を見ている時も。
ふとした拍子に内腿の内側がズキンと熱を持ち,そのたびに私は「昨夜の彼」を強制的に思い出させられた。
お土産の袋を下げて,私たちは再び私の部屋へと戻った。
ドアを開けた瞬間ーー。
(……あ)
鼻腔を突いたのは,私の匂いでもなく,先輩だけの匂いでもない。
昨夜の熱情と,今朝の日焼け止めと,二人の吐息が混じり合った,この世でここだけにしかない「二人の匂い」だった。
冷房を切った部屋は少し蒸し暑く,それが余計に昨夜の残り香を濃く感じさせる。
私は買ってきたお土産を白い家具の上に置き,振り返った。
内心では,期待していた。
この「二人の匂い」に包まれて,もう一度,彼と溶け合えることを。
けれど,大輝先輩は部屋の真ん中で立ち止まったまま,申し訳なさそうに時計を見た。
「……陽菜さん。ごめん。……もう少ししたら,帰ろうかな」
その言葉に,私の心臓が小さく音を立てて軋んだ。
昨夜の「男」から,実家暮らしの「行儀の良い息子」へと戻らなければならない現実。
「……もう少し,ですか?」
わざと明るく聞くと,彼は「……ごめんね」と苦笑いして,私をそっと抱き寄せた。
昨日の夜は私を壊すほどに求めていたその腕は,今はもう「お行儀の良い息子」の温度に戻っていた。
私の知らない,彼が二十余年守り続けてきた平穏な日常ーー。
そこに私は,まだ入り込む隙間さえないのだと思い知らされる。
彼の胸板の厚さを感じながら,私は「帰りたくない」という言葉を飲み込んで,彼のシャツの背中を,爪を立てないように優しく握り締めた。
「……陽菜さん。荷造りとか,何か手伝えることはある? 部屋の掃除とか」
大輝先輩が離れ際,ひどく自然にそう尋ねた。
その申し出は,彼にとっては純粋な善意であり,年上の恋人としての誠実さなのだろう。
「いいですよ,そんな。……先輩だって疲れてるのに」
「ううん。……シーツ,代えようか。……少し,汚しちゃったし」
その言葉に,私の心臓が跳ねた。
ーーシーツの汚れ。
それを自ら片付けようとする彼の「行儀の良さ」は,あまりにも潔癖で,まるで昨夜の熱情を証拠隠滅するかのようにさえ聞こえた。
「……じゃあ,お洗濯……お願いします」
私が甘えるように言うと,大輝先輩は「了解」と短く笑って,手際よくシーツを洗濯機に放り込んだ。
ガタゴトと音を立てて回り始めた洗濯機。
脱水が終わるまでの四十分余り。
それは,私たちは夫婦のような,あるいは兄妹のような,穏やかな時間を過ごした。
明日からの帰省に備えた,部屋の片付け。
時折,スマホから流れる,合唱曲の柔らかな旋律。
「……これ,手伝ってくれる?」
淡いグレーの,少し大人びたシーツ。
二人でベッドの両端に立ち,息を合わせて布を広げる。
四隅を整え,シワを伸ばすために手を滑らせる。
そのたびに指先が触れ合いそうになって,私は昨夜の熱を思い出しては,不意に視線を逸らした。
ずっと前からこうして暮らしてきたような,完成された時間ーー。
やがて,その平穏を破るように,脱水が終わったことを告げる電子音が響く。
「よし,干そうか」
大輝先輩がシーツを抱え,ベランダへ続く窓を開けた。
真夏の眩しい光が部屋に流れ込む。
私たちは大きなシーツの両端を持って,息を合わせて「せーの」でパンパンと皺を伸ばした。
シーツ越しに透ける彼のシルエット。布が風に膨らむたび,洗剤の清潔な香りが弾けて,私たちの肌に残っていた生々しい熱を,優しく,でも残酷に上書きしていく。
シーツの向こう側から顔を出した先輩が,眩しそうに目を細めて笑う。
その顔は,どこまでも爽やかで,誠実な「サークルの先輩」そのものだった。
(……ずっと,こうしていたい)
干し終えた真っ白なシーツが,風に揺れて大きな壁を作る。
その陰で,彼は私の額にそっとキスをして,「じゃあ,行くね」と告げた。
リュックを背負い,玄関へ向かう彼の後ろ姿を追う。
その足取りは,「私の彼」から「お行儀の良い息子」のそれへと,一歩ごとに切り替わっていく。
「……また,明日。駅でお見送り,させてくれる?」
玄関で靴を履き終えた彼が,ふり返って私を見た。
その瞳はどこまでも穏やかで,私への慈しみに満ちている。
ーー明日も会える。
その約束は,本来なら何よりも心強いはずのものだった。
けれど,今の私にはそれが,この後に訪れる猛烈な孤独を和らげるための,残酷な麻酔のように思えてしまった。
「……はい。」
私は胸の奥に広がる言いようのない寂しさ。
それを飲み込んで,精一杯の笑顔で頷いた。
彼は満足そうに微笑むと,「また連絡するね。バイバイ」と短く告げて,ドアの向こうへと消えていった。
パタン。
ドアが閉まる,乾いた音。
それが,静まり返った部屋に冷たく響く。
さっきまで二人で笑いながら干していたはずなのにーー。
窓の外では,真っ白なシーツが太陽の光を反射して,無機質に揺れている。
それが光を遮るせいで,部屋の中は変に薄暗く,まるで世界から切り離されたような静寂に包まれた。
私は立っているのが心細くなり,その場にスッと腰を下ろした。
ーー冷たい床。
そこには,彼が「また来るから」と言って丁寧に畳んでおいた,紺色のジャージのズボンが置かれている。
私はそれをひったくるように掴むと,逃げるようにベッドへと這い上がった。
けれど,今,私の下に敷かれているのは,彼がいない,何の匂いもしない,ただの無機質な色の布だった。
洗練されたそのグレーが,窓の外で揺れる潔癖な『白』と対照的に,色彩を失った私の空虚さを残酷に際立たせている。
「……っ,だい,き……せんぱい……」
私はジャージのズボンに顔を埋めた。
ベランダから漂ってくるの洗剤の香りが,鼻腔の奥に残る「昨夜の男」の匂いを消そうとする。
それが怖くて,私はより深く,より強く,彼が置いていった布地に顔を押し当てた。
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