健全純愛研究

ななみん

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fast promise

先生と私の秘密

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ピンポーン…

水曜日の14時、港区高輪のタワーマンション。
私服に着替えた私は今日もインターホンをならす。

オートロックの自動ドアが開きエレベーターに乗るときには先生からったIcガードをかざす。
まったく。凄い場所にきてしまった。
私は最初に比べればスムーズに手順を踏んで目的の部屋へと足を進めた。

部屋の主は鳴海あきと、大人気ミステリー小説家。
そして私と彼の出会いはもう忘れることはできないだろう。

そもそも私相手にあんな行動をするなんて予想外過ぎるし、少なくともちさなが今まで接してきた大人とは明らかに違った。

もちろんあの夜他人である鳴海あきとの手を患わせたというのもあるが、多分こうして彼に従い部屋を訪れているのは今の私にとって心ばかしの命綱の意味もあった。

彼に必要とされなければきっと空っぽの私はまた闇に身をなげるとおもう。

「先生、今日は何かいいことでもあったんですか?」

私は小説家鳴海あきとを先生と呼ぶ。

コーヒーを入れたマグカップ二つ持ってただ広いダイニングキッチンから先生の座るソファーまでいく。
「ああ?そんなことはないが」

私が先生と呼ぶ相手はそう素っ気なく答えた。

目の前に座るまで暫くの間があいて。

「しかし、君にはそう見えるか」

と言った。

「そうですね。とても。なんというか今日はいつもより歓迎されてるか感じがします」

「具体的には?」

「具体的、ですか。えと、まず3回程度のインターホンで扉を開けてくれたこと、コーヒーは自分で淹れたけど珍しくお茶菓子が用意されてるところ、とか。まるで私のことを客人みたいにあつかってもらえてるきがして」

そう自分の感じたことを言ってみた。

テーブルのお皿に並べられた洋菓子は恐らく銀座辺りの有名店のものだろう。丁度小腹がすいていたのでとても美味しそうだ。

「ああ、これはさっき清田がつれてきた雑誌編集が置いてきたんだ」 

"清田"というのは先生担当編集のこと。

運良くまだ鉢合わせたことはないが書かせば当たるが遅筆の鳴海暁斗大先生と2タッグで数々のヒット作を世に出してきたというB1編集者。

前回尋ねたときすこぶる期限の悪かった先生に理由を尋ねたところ清田さんの訪問が元凶だったことを思いだし私は少し身構える。

「それにコーヒーに関しては私のより君が淹れたほうがおいしいからね。」

そんな心配をよそに先生は何口つけたマグカップに角砂糖を一気に5つほど入れながら先生はそういう。

「それはまぁ、否定はしませんけど」

先生は大の甘党でコーヒー好きだ。

コーヒーの味なんて関係ないんじゃないかと思うくらい甘くするくせにどうやら拘りはあるらしく。
一通りの本格的な豆や道具は揃えてあるのだ。

私が淹れた方が美味しいと言ってくれるのでどちらかと言えば客人に近い私がコーヒーを入れるかかりになったのである。

先生は変わり者だ。

「そうですか。」

「ああ、、」

それで二人の会話は途切れてしまう。先生のリズミカルにノートパソコンのキーボードを叩くおとが高層マンション2LDKのだだっ広いリビングに響く。

今日でここを訪れるのは5回目。作家鳴海あきとの正面に座り質問に受け答えするだけお菓子食べ放題。そして、私のシェルター。

仕事に集中してるのかしばらく沈黙が続きお菓子をつまむのに飽きた私は先生を上目遣いで見つめる。

「、、、せんせい」

私はテーブルにほおずえをついて、パソコンに向かう先生に甘えたような声をかける。

声に反応してこちらをみるとあからさまに目を反らした。

「そのいい方やめてくれないか。仕事に集中できなくなる」

「普通に言ってるだけですよ。ならなんて呼びますか?」

「・・・」
「アッキー?」
「それもだめだ」
「じゃあ鳴海あきと大先生」

先生はそれに眉毛をピクリとさせる。先生が眉をピクリとさせるのはイラッと来たときのクセだ。

ちなみに清田さんの事を話してるときはずっとピクピクさせていた。

「ふざけて言っただけですよ?」

「そんなのわかってる」

そんな先生がすごくかわいくて。口許がほころんでしまう。

そんな姿に気付いたのか。

「はぁー」

とあからさまなため息を先生はついた。

「今日は私の敗けだよ。」

「私達なにか争っていたんですか?」

「争っているもなにも大人をからかうのはなさい」

「...じゃあからかわないかわりに、今日は先生の話を聞かせてください。」
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