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第9話『小さなつまずき』伊織side
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入学から2週間。
高校生活にも少しずつ慣れてきたはずだった。
けれど、私に身体は、静かに悲鳴をあげていた。
朝の通学ラッシュ。
中学よりも少し遠くなった電車と、坂道の通学路。
それに、教室移動の多さ。
新しい時間割は、思った以上に身体にこたえていた。
「だいじょうぶ、まだ……いける」
そう自分に言い聞かせ得るのが、いつもの癖。
でも、その日は違った。
5時間目の現代文の途中、頭の奥がずきりと痛んだ。
視界がふわふわと揺れて、ペンを持つ手が止まる。
「伊織、大丈夫……?」
隣の席の凛が、すぐに気づいてくれた。
その声で、先生がこちらに気づく。
学校の内線で、「柏木です。生徒が体調を崩しました、今保健室に連れていきます」と保健室に連絡。
先生の声は落ち着いていたけれど、どこかに焦りもにじんでいた。
保健室。
ベッドに横たわる私の頬に、美羽がそっと手を当ててくれた。
「……言ったでしょ。無理しすぎちゃダメだって」
「でも、高校生になったんだよ……できるだけ、普通に通いたいって……」
言いかけて、私は涙が出そうになった。
情けない自分を見せたくなかった。でも、心のどこかで、本当は誰かに甘えたかった。
そのとき、凛がそっと扉を開けた。
「ちょっとだけ、顔見に来ただけ。……無理してたの、たぶん気づいてた。あたしさmすごい鈍いけど、友達の元気くらいは見てるよ。」
凛は手に飴玉をふたつ持っていた。
「はい。伊織と、美羽の分。」
「……ありがとう、凛」
「ま、恩着せがましくする気はないけどさ。元気になって、またバカな話してくれないとつまんないし。」
私はそっと笑った。
放課後、帰り道。
3人で並んで歩くいつもに風景。
ほんの少しずつ、心の距離が縮まっていく。
「無理しなくても、大丈夫だよ。伊織は伊織のペースでやればいいんだから」
美羽の声が、優しく風に溶けていった。
高校生活にも少しずつ慣れてきたはずだった。
けれど、私に身体は、静かに悲鳴をあげていた。
朝の通学ラッシュ。
中学よりも少し遠くなった電車と、坂道の通学路。
それに、教室移動の多さ。
新しい時間割は、思った以上に身体にこたえていた。
「だいじょうぶ、まだ……いける」
そう自分に言い聞かせ得るのが、いつもの癖。
でも、その日は違った。
5時間目の現代文の途中、頭の奥がずきりと痛んだ。
視界がふわふわと揺れて、ペンを持つ手が止まる。
「伊織、大丈夫……?」
隣の席の凛が、すぐに気づいてくれた。
その声で、先生がこちらに気づく。
学校の内線で、「柏木です。生徒が体調を崩しました、今保健室に連れていきます」と保健室に連絡。
先生の声は落ち着いていたけれど、どこかに焦りもにじんでいた。
保健室。
ベッドに横たわる私の頬に、美羽がそっと手を当ててくれた。
「……言ったでしょ。無理しすぎちゃダメだって」
「でも、高校生になったんだよ……できるだけ、普通に通いたいって……」
言いかけて、私は涙が出そうになった。
情けない自分を見せたくなかった。でも、心のどこかで、本当は誰かに甘えたかった。
そのとき、凛がそっと扉を開けた。
「ちょっとだけ、顔見に来ただけ。……無理してたの、たぶん気づいてた。あたしさmすごい鈍いけど、友達の元気くらいは見てるよ。」
凛は手に飴玉をふたつ持っていた。
「はい。伊織と、美羽の分。」
「……ありがとう、凛」
「ま、恩着せがましくする気はないけどさ。元気になって、またバカな話してくれないとつまんないし。」
私はそっと笑った。
放課後、帰り道。
3人で並んで歩くいつもに風景。
ほんの少しずつ、心の距離が縮まっていく。
「無理しなくても、大丈夫だよ。伊織は伊織のペースでやればいいんだから」
美羽の声が、優しく風に溶けていった。
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