64 / 91
第六章
また元のルカに逆戻り*
しおりを挟む
ちょうどその頃、ユリウスは駆けつけたコーバスからドリカの話を聞いていた。王宮に勤めているというコーバスの遠い親戚であるドリカが、何用でモント領へ来たのか。理由はわからないが、一週間ほどフルン家に滞在する予定だという。
何もないとは思うが気をつけろよとコーバスは告げ、帰っていった。エミーとドリカは市場に出かける話をしていたという。念のため、市場までルカを迎えに行こう。ユリウスが腰を上げた直後に、ルカとリサが帰宅した。
ほっとしたのも束の間、ボブが後頭をかきながらユリウスを呼びに来た。
「モント辺境伯。ちょっと馬車のところまで来ていただけませんか? ルカが馬車を降りようとしなくて。母がなだめてるんですが、どうしてか動こうとしないんです」
馬車が屋敷前に着いても、ルカが降りようとせず困っているという。ユリウスはすぐに馬車へ向かった。
ボブが扉を開くと、馬車の中では、ルカがリサの服を握りしめ、リサにしがみついていた。リサが、「ずっとこんな様子ですの」と困ったようにユリウスに助けを求めた。
「何かあったのか?」
「市場でエミーの姿を見かけたんです。そうしたら突然ルカが隠れて、そのあとはずっとこんな様子で」
「エミーだと?」
ユリウスははっとした。ルカが隠れたかった相手は、恐らくエミーではなく、一緒にいたドリカの方だろう。ルカは王宮でドリカと顔を合わせたことがあるのかもしれない。しかも、ルカがこんなに怯えるということは、ルカとドリカとの間に何かあったのだろう。
ユリウスの声に、ルカはそろりと顔を上げた。目が、はじめに出逢った頃のような怯えた目に戻っている。近頃はくるくるとよく動く目で、様々なことを吸収しようと輝いていたのに一気に逆戻りしている。
「おかえり、ルカ。おいで」
ユリウスが手を差し出すと、ルカはリサからそろりと離れ、ユリウスの腕に飛び込んできた。その細い体が震えている。
「リサ、何か身を覆うものはないか?」
「はい、ひざ掛けでよろしいでしょうか」
「ああ、貸してくれ」
ユリウスはリサからひざ掛けを受け取るとルカの頭からかけてやり、顔を肩に押し付け隠してやった。
「これなら外からは見えない。馬車を出てもいいな?」
「うん」
ルカが頷いたのを確認し、ユリウスはルカを抱いたまま馬車を出ると大股で歩いてすぐに屋敷に入った。出迎えたカレルに片手をあげて合図し、そのままユリウスの部屋までルカを連れて行った。
ベッドにおろし、ひざ掛けをとり、ルカの顔をのぞき込むと、ルカは腕を伸ばしてユリウスを求めた。
ユリウスは膝にルカを抱き上げ、壊さない程度に少し力を入れて抱きしめた。
「ルカ。ドリカを知っているのか?」
そう聞くと、ルカは驚いたように目を開いた。
「ユリウスこそどうして」
「さっきコーバスから聞いたんだ」
ユリウスは、コーバスの屋敷に一週間ほどドリカが滞在すること、ドリカとフルン家の関係などをルカに説明した。
「そのドリカという者は、王宮では何をしている者なのだ?」
「わからない。でも……」
ルカは夜伽の前にドリカから準備を施されたことを語った。オーラフ宰相に短鞭で打たれ、そのあとドリカに短鞭で脅されながら夜伽の部屋まで連れて行かれたという。
道理でルカが恐がるわけだ。
「大丈夫だ、ルカ。カレルをはじめ、屋敷の者たちには警戒するよう徹底させる。ドリカがモント領にいる間は屋敷を出るな」
「うん、わかった」
ルカが頷くと、いつの間にかベッド脇に登ってきたポポがキキっと鳴いた。黒目がちな瞳が、心配そうにルカを見上げているように見えた。
「ポポも心配しているようだぞ」
ルカがいつもやるように、指で頭をつついてやると、ポポはするりと逃げ出し、ルカの膝の上に乗った。
「俺に触られるのはお気に召さないらしい」
「そんなことこないよ。ね、ポポ」
「キュキュ」
ルカが頭を撫でると、ポポは嬉しそうにルカの指に擦り寄る。やっぱりポポは、ルカがいいようだ。
ポポを触っていると少し落ち着いたらしい。ルカの体の強張りがようやく解けた。ルカは腰を浮かすと腕を伸ばしてユリウスの首に腕を回し、唇を寄せてきた。ポポが見越したようにルカの上から飛び降りる。ユリウスはルカを横抱きにしてベッドに沈め、下唇をついばみ、求めるように開いたルカの中へ舌を入れた。
おずおずと差し出されたルカの舌に絡め、歯列をなぞり丹念に中を探る。
「……んっ、……あっ」
ルカの喉から愛らしい声が漏れ、ユリウスは顔を上げた。
「ルカ、抱いてもいいか?」
怖い思いをしたすぐあとだ。ルカが求めたのはなだめる軽いキスだったのかもしれない。歯止めがきかなくなる前にお伺いをたてた。ルカは、ユリウスの首に腕を回すと「うん」と頷いた。
「ユリウスとしたい。もっと近くでユリウスを感じたい」
「……ルカ」
ユリウスは、ワンピースの胸元のボタンを外すと腰の辺りまで引き下げ、ルカの小ぶりな胸に触れ、シュミーズの上から突起を指で刺激した。
「……あっ…」
ルカは身をよじって反応し、キスを求めるようにユリウスの頬を両手で挟む。ユリウスはそれに応じながら、ルカのワンピースを最後まで抜き取ると、残っていたシュミーズとショーツも取り去った。外気に触れたルカの肌がざわりと粟立ったが、ユリウスが陰部に指で触れるとすぐにルカの体は熱くなった。
「……ユリウス、気持ちい……」
うわ言のようなルカの言葉に、内股に手をかけ、ルカの足を大きく開かせると、溢れ出した愛液が大腿を伝った。ユリウスはそれを指ですくい取り、ひだを割りぬめる指を滑らせ中へと挿し込んだ。
「あっ……」
ルカの体が衝撃にびくりと震える。もう何度か交わったが、最初に指を挿れるとき、ルカの体はいつも一瞬強張る。それでもしばらく浅いところを弄り、キスを繰り返すとまた愛液が溢れ出す。
十分にほぐれたところで更に奥へと指を進めると、その刺激だけでルカの体が達し、ルカはびくびくと身を震わせた。
「ああああっ」
かわいい声をあげながら達したルカの中から指を抜くと、ユリウスはトラウザーズを寛げ、猛るものをあてがうと一気にルカの中へと押し込んだ。
達したあとの余韻で蕩けていたルカは、新たな侵入者にびくりと体を震わせた。
「あ、……ユリウ、ス」
まだユリウスの大きすぎるものを受け入れる行為は、ルカには辛いのだろう。はぁはぁと浅く呼吸を繰り返しながら、ルカはユリウスに押し付けられた腰の重みに耐えようと必死な様子だ。
自然とルカの体が逃げをうつが、ユリウスはそんなルカの腰をとらえると更に奥へと進めた。ここで手加減して長引かせるよりも、一気に進めたほうがルカの負担も少ない。
「あっ……」
ルカは下半身を縫い留められ、苦しそうな顔をする。その顔にさえ、ユリウスはぞくりと欲情し、小さな胸の頂きを口に含むと舌で転がし、ゆるゆると腰を動かした。
「んっ……、んっ……」
動きに合わせ、ルカの喉からおさえきれない声が漏れる。同時になめらかなルカの白い肌を堪能し、挿れながら陰部の突起を指で転がした。
「ユリウス、……はぁ、あっ、それ、だめ……」
「これか?」
腰を動かしながら尚も陰部の突起をつつくと、ルカの体がびくびくと達した。その刺激でまた愛液が溢れ出し、中が少し緩む。
「だめって言ったのに」
恨めしげなルカの眦にキスを落とし、ユリウスは抽挿を激しくした。
「うっ、……あっ。……んっ」
ルカの声にぞくぞくし、膝を抱え、ぐりぐりと奥に押し付けた。もうだめとルカは何度も喘いだが、ユリウスは容赦なく腰を打ち付けた。ユリウスが奥に欲を放つ頃にはルカはへとへとで声も枯れ、息も絶え絶えだった。精を放つとその刺激にもルカの体はしなり、最後まで注ぎ込んで抜くと、ぱたりとルカの腕が敷布に落ちた。
荒い息のまま、ルカは気を失っている。額に張り付いた黒髪を払い、ユリウスは裸のルカを抱き上げた。
ポポが、やっぱり心配したような面持ちでこちらを見上げる。
おい、やりすぎじゃないか。
そう怒っているようにも見える。
「いいんだ。わざとだ。これくらいせんと、今日は眠れんだろうからな」
強い不安を感じた時、ルカが眠れないことをユリウスは知っている。今日もきっと眠れぬ夜を過ごし、何度も不安に襲われることは目に見えていた。
そういうことなら仕方ないか。
ポポがそう言うようにキュルルと鳴く。
「妙に人くさいシマリスだな、おまえは」
ユリウスは思わずポポにそう話しかけ、浴室に向かった。
***
フルン家の遠い親戚であるドリカは、王宮の希少種奴隷を取りまとめる女官だった。希少種達の仕事の割り振りはもちろん、新しい希少種の仕入れ、必要なくなった希少種の下げ渡しなど、仕事は多岐に渡る。中でも最も重要な仕事は、王の夜伽にあがる希少種の選定としつけだ。
まだ寒さの残る早春、ドリカはオーラフ宰相直々にある仕事を任された。
王宮裏の林に住む希少種を、王の夜伽にあげるために準備を施し、しつける仕事だ。それもその日のうちに。
普通は王の夜伽にあげるため、選定した希少種には一月ほどの調教が施される。それをその日のうちにとは。
王宮裏に住む希少種がいるといううわさは、もちろんドリカは知っていた。知ってはいたが、王家に絡む何事かがあるようで、誰も口にはしない。触れてはならない領域として誰もが認識していた。
時間がなく難しい仕事だが、数いる女官の中で、そんな大役を任されたドリカは、浮足立った。今の女官長は高齢で、そろそろ次期女官長指名が行われるのではと、うわさされていたタイミングだ。
上手くこの仕事をこなし、オーラフ宰相の眼鏡に適えば、その席も夢ではない。
山のものもと海のものとも知れぬ林の希少種相手だが、いつものようにやればいい。ぬかりなく。
そんな思惑の元、はじめて見た林の希少種は珍しいことに女だった。ボロをまとい、やせ細ってはいたが、眼光だけはしっかりとしており、反抗的な目でドリカを睨みつけてきた。
けれどそういう態度の希少種は少なくない。普段ならその反抗的な態度を、一月ほどかけてじっくりと挫いていくのだが。
浴場でわざと苦しい思いをさせ、反抗することが得策ではないと短時間で教え込んだ。最後の仕上げでは大人しく台に横たわった林の希少種。洗い上げると驚くほど白い肌に、ほとんど平らな胸。くっきりと縁取られた瞳が印象的で、数多く見てきた希少種の中でも一級品の希少種だった。
半日という短い準備時間ではあるが、幸いなことに女の希少種だ。男の希少種ならば、伽のための準備が必要だが、女ならばそのまま差し出せば良い。
ライニール王は、普段は慣らした男の希少種を抱いておられるが、たまには不慣れな生娘ゆえの楽しみも味合われたいだろう。そう思ってドリカはあえて伽のための準備は施さなかった。
伽用の衣装を着付ける間も希少種は大人しかった。はじめの反抗的な態度が、すぐになりをひそめ、ドリカは内心ほっとした。こうなればもう伽は成功したようなものだ。この細さでは伽のとき暴れても、ライニール王にはかなわないだろうし、それもまた王にとってはスパイスとなる。
けれど、林の希少種は部屋に閉じ込めたとたん、また騒ぎ出した。扉の前で、どのようにしつけてやろうかとドリカが思考を巡らせていたところへ、短鞭を手にオーラフ宰相がやって来た。
宰相の手を煩わせるなんて、とんでもございませんとドリカは言ったが、オーラフ宰相は「月一顔をあわせるからこいつの性分は知っている。生半可なことでは大人しくはならん」と言って、部屋へ入っていった。
その後、部屋の中からは短鞭が空を切る音が続いた。
しばらくして出てきたオーラフ宰相は、衣装を着替えさせろと言ってドリカに後を任せた。
希少種はひどい有様だった。床に這いつくばった希少種の白い衣装は血に濡れていた。衣装を剥ぎ取り、裂けた背中や大腿を包帯で巻いた。これではせっかくの白い肌が台無しだ。
だが、宰相の短鞭の効果は絶大で、ドリカが置かれたままの短鞭に、目をやるだけで希少種は怯えた。
そうやって抵抗を封じ、無事に夜伽の寝室へと連れて行ったのだが。
寝室の窓が開いていたとは、誰が予想できよう。
閉め忘れた侍女は、はじめは打ち首だと言われていたが、王弟エメレンスの嘆願により取り下げられた。
そしてドリカも責任を追及された。
寝室の窓など、ドリカの管轄外にも関わらず、だ。けれどそれも含めての伽の準備役だったと言われればどうしようもない。女官長まであと一歩の地位までのぼりつめていたドリカは三階級落とされ、当然次期女官長の夢もついえた。
全ては逃げ出したあの希少種のせいで。
それから程なくしてドリカは暇を出された。事実上の解雇だ。失意のうちに親類を頼り、各地を転々とし、モント領内のフルン家に立ち寄ったのは、偶然だった。
エミーという娘は、訪れたドリカをかつてのように先生として歓迎してくれた。
兄のコーバスは、昔からいけ好かない者だが、この際コーバスのことはどうでもよい。
エミーは傷心のなかにいた。
詳しく話を聞くうち、エミーの口からモント領主の奴隷だという希少種の話が出てきた。名はルカという。心臓が止まるかと思った。あの林の希少種の名は、忘れもしない同じルカだ。
王宮騎士団が必死になって探しているが、未だ見つかっていない。もしもそんなルカを、ドリカがとらえることができたなら。
ドリカはエミーにモント領主の屋敷へと案内してもらい、屋敷にいるという希少種を見ようと試みた。
が、屋敷の警戒は厳しく、入り込む余地はない。エミーを使って客人として中に入ろうともしたが、出てきた執事に追い返された。
そんな時、金色の髪に黒い瞳を持つ男がドリカを訪ねてきた。
何もないとは思うが気をつけろよとコーバスは告げ、帰っていった。エミーとドリカは市場に出かける話をしていたという。念のため、市場までルカを迎えに行こう。ユリウスが腰を上げた直後に、ルカとリサが帰宅した。
ほっとしたのも束の間、ボブが後頭をかきながらユリウスを呼びに来た。
「モント辺境伯。ちょっと馬車のところまで来ていただけませんか? ルカが馬車を降りようとしなくて。母がなだめてるんですが、どうしてか動こうとしないんです」
馬車が屋敷前に着いても、ルカが降りようとせず困っているという。ユリウスはすぐに馬車へ向かった。
ボブが扉を開くと、馬車の中では、ルカがリサの服を握りしめ、リサにしがみついていた。リサが、「ずっとこんな様子ですの」と困ったようにユリウスに助けを求めた。
「何かあったのか?」
「市場でエミーの姿を見かけたんです。そうしたら突然ルカが隠れて、そのあとはずっとこんな様子で」
「エミーだと?」
ユリウスははっとした。ルカが隠れたかった相手は、恐らくエミーではなく、一緒にいたドリカの方だろう。ルカは王宮でドリカと顔を合わせたことがあるのかもしれない。しかも、ルカがこんなに怯えるということは、ルカとドリカとの間に何かあったのだろう。
ユリウスの声に、ルカはそろりと顔を上げた。目が、はじめに出逢った頃のような怯えた目に戻っている。近頃はくるくるとよく動く目で、様々なことを吸収しようと輝いていたのに一気に逆戻りしている。
「おかえり、ルカ。おいで」
ユリウスが手を差し出すと、ルカはリサからそろりと離れ、ユリウスの腕に飛び込んできた。その細い体が震えている。
「リサ、何か身を覆うものはないか?」
「はい、ひざ掛けでよろしいでしょうか」
「ああ、貸してくれ」
ユリウスはリサからひざ掛けを受け取るとルカの頭からかけてやり、顔を肩に押し付け隠してやった。
「これなら外からは見えない。馬車を出てもいいな?」
「うん」
ルカが頷いたのを確認し、ユリウスはルカを抱いたまま馬車を出ると大股で歩いてすぐに屋敷に入った。出迎えたカレルに片手をあげて合図し、そのままユリウスの部屋までルカを連れて行った。
ベッドにおろし、ひざ掛けをとり、ルカの顔をのぞき込むと、ルカは腕を伸ばしてユリウスを求めた。
ユリウスは膝にルカを抱き上げ、壊さない程度に少し力を入れて抱きしめた。
「ルカ。ドリカを知っているのか?」
そう聞くと、ルカは驚いたように目を開いた。
「ユリウスこそどうして」
「さっきコーバスから聞いたんだ」
ユリウスは、コーバスの屋敷に一週間ほどドリカが滞在すること、ドリカとフルン家の関係などをルカに説明した。
「そのドリカという者は、王宮では何をしている者なのだ?」
「わからない。でも……」
ルカは夜伽の前にドリカから準備を施されたことを語った。オーラフ宰相に短鞭で打たれ、そのあとドリカに短鞭で脅されながら夜伽の部屋まで連れて行かれたという。
道理でルカが恐がるわけだ。
「大丈夫だ、ルカ。カレルをはじめ、屋敷の者たちには警戒するよう徹底させる。ドリカがモント領にいる間は屋敷を出るな」
「うん、わかった」
ルカが頷くと、いつの間にかベッド脇に登ってきたポポがキキっと鳴いた。黒目がちな瞳が、心配そうにルカを見上げているように見えた。
「ポポも心配しているようだぞ」
ルカがいつもやるように、指で頭をつついてやると、ポポはするりと逃げ出し、ルカの膝の上に乗った。
「俺に触られるのはお気に召さないらしい」
「そんなことこないよ。ね、ポポ」
「キュキュ」
ルカが頭を撫でると、ポポは嬉しそうにルカの指に擦り寄る。やっぱりポポは、ルカがいいようだ。
ポポを触っていると少し落ち着いたらしい。ルカの体の強張りがようやく解けた。ルカは腰を浮かすと腕を伸ばしてユリウスの首に腕を回し、唇を寄せてきた。ポポが見越したようにルカの上から飛び降りる。ユリウスはルカを横抱きにしてベッドに沈め、下唇をついばみ、求めるように開いたルカの中へ舌を入れた。
おずおずと差し出されたルカの舌に絡め、歯列をなぞり丹念に中を探る。
「……んっ、……あっ」
ルカの喉から愛らしい声が漏れ、ユリウスは顔を上げた。
「ルカ、抱いてもいいか?」
怖い思いをしたすぐあとだ。ルカが求めたのはなだめる軽いキスだったのかもしれない。歯止めがきかなくなる前にお伺いをたてた。ルカは、ユリウスの首に腕を回すと「うん」と頷いた。
「ユリウスとしたい。もっと近くでユリウスを感じたい」
「……ルカ」
ユリウスは、ワンピースの胸元のボタンを外すと腰の辺りまで引き下げ、ルカの小ぶりな胸に触れ、シュミーズの上から突起を指で刺激した。
「……あっ…」
ルカは身をよじって反応し、キスを求めるようにユリウスの頬を両手で挟む。ユリウスはそれに応じながら、ルカのワンピースを最後まで抜き取ると、残っていたシュミーズとショーツも取り去った。外気に触れたルカの肌がざわりと粟立ったが、ユリウスが陰部に指で触れるとすぐにルカの体は熱くなった。
「……ユリウス、気持ちい……」
うわ言のようなルカの言葉に、内股に手をかけ、ルカの足を大きく開かせると、溢れ出した愛液が大腿を伝った。ユリウスはそれを指ですくい取り、ひだを割りぬめる指を滑らせ中へと挿し込んだ。
「あっ……」
ルカの体が衝撃にびくりと震える。もう何度か交わったが、最初に指を挿れるとき、ルカの体はいつも一瞬強張る。それでもしばらく浅いところを弄り、キスを繰り返すとまた愛液が溢れ出す。
十分にほぐれたところで更に奥へと指を進めると、その刺激だけでルカの体が達し、ルカはびくびくと身を震わせた。
「ああああっ」
かわいい声をあげながら達したルカの中から指を抜くと、ユリウスはトラウザーズを寛げ、猛るものをあてがうと一気にルカの中へと押し込んだ。
達したあとの余韻で蕩けていたルカは、新たな侵入者にびくりと体を震わせた。
「あ、……ユリウ、ス」
まだユリウスの大きすぎるものを受け入れる行為は、ルカには辛いのだろう。はぁはぁと浅く呼吸を繰り返しながら、ルカはユリウスに押し付けられた腰の重みに耐えようと必死な様子だ。
自然とルカの体が逃げをうつが、ユリウスはそんなルカの腰をとらえると更に奥へと進めた。ここで手加減して長引かせるよりも、一気に進めたほうがルカの負担も少ない。
「あっ……」
ルカは下半身を縫い留められ、苦しそうな顔をする。その顔にさえ、ユリウスはぞくりと欲情し、小さな胸の頂きを口に含むと舌で転がし、ゆるゆると腰を動かした。
「んっ……、んっ……」
動きに合わせ、ルカの喉からおさえきれない声が漏れる。同時になめらかなルカの白い肌を堪能し、挿れながら陰部の突起を指で転がした。
「ユリウス、……はぁ、あっ、それ、だめ……」
「これか?」
腰を動かしながら尚も陰部の突起をつつくと、ルカの体がびくびくと達した。その刺激でまた愛液が溢れ出し、中が少し緩む。
「だめって言ったのに」
恨めしげなルカの眦にキスを落とし、ユリウスは抽挿を激しくした。
「うっ、……あっ。……んっ」
ルカの声にぞくぞくし、膝を抱え、ぐりぐりと奥に押し付けた。もうだめとルカは何度も喘いだが、ユリウスは容赦なく腰を打ち付けた。ユリウスが奥に欲を放つ頃にはルカはへとへとで声も枯れ、息も絶え絶えだった。精を放つとその刺激にもルカの体はしなり、最後まで注ぎ込んで抜くと、ぱたりとルカの腕が敷布に落ちた。
荒い息のまま、ルカは気を失っている。額に張り付いた黒髪を払い、ユリウスは裸のルカを抱き上げた。
ポポが、やっぱり心配したような面持ちでこちらを見上げる。
おい、やりすぎじゃないか。
そう怒っているようにも見える。
「いいんだ。わざとだ。これくらいせんと、今日は眠れんだろうからな」
強い不安を感じた時、ルカが眠れないことをユリウスは知っている。今日もきっと眠れぬ夜を過ごし、何度も不安に襲われることは目に見えていた。
そういうことなら仕方ないか。
ポポがそう言うようにキュルルと鳴く。
「妙に人くさいシマリスだな、おまえは」
ユリウスは思わずポポにそう話しかけ、浴室に向かった。
***
フルン家の遠い親戚であるドリカは、王宮の希少種奴隷を取りまとめる女官だった。希少種達の仕事の割り振りはもちろん、新しい希少種の仕入れ、必要なくなった希少種の下げ渡しなど、仕事は多岐に渡る。中でも最も重要な仕事は、王の夜伽にあがる希少種の選定としつけだ。
まだ寒さの残る早春、ドリカはオーラフ宰相直々にある仕事を任された。
王宮裏の林に住む希少種を、王の夜伽にあげるために準備を施し、しつける仕事だ。それもその日のうちに。
普通は王の夜伽にあげるため、選定した希少種には一月ほどの調教が施される。それをその日のうちにとは。
王宮裏に住む希少種がいるといううわさは、もちろんドリカは知っていた。知ってはいたが、王家に絡む何事かがあるようで、誰も口にはしない。触れてはならない領域として誰もが認識していた。
時間がなく難しい仕事だが、数いる女官の中で、そんな大役を任されたドリカは、浮足立った。今の女官長は高齢で、そろそろ次期女官長指名が行われるのではと、うわさされていたタイミングだ。
上手くこの仕事をこなし、オーラフ宰相の眼鏡に適えば、その席も夢ではない。
山のものもと海のものとも知れぬ林の希少種相手だが、いつものようにやればいい。ぬかりなく。
そんな思惑の元、はじめて見た林の希少種は珍しいことに女だった。ボロをまとい、やせ細ってはいたが、眼光だけはしっかりとしており、反抗的な目でドリカを睨みつけてきた。
けれどそういう態度の希少種は少なくない。普段ならその反抗的な態度を、一月ほどかけてじっくりと挫いていくのだが。
浴場でわざと苦しい思いをさせ、反抗することが得策ではないと短時間で教え込んだ。最後の仕上げでは大人しく台に横たわった林の希少種。洗い上げると驚くほど白い肌に、ほとんど平らな胸。くっきりと縁取られた瞳が印象的で、数多く見てきた希少種の中でも一級品の希少種だった。
半日という短い準備時間ではあるが、幸いなことに女の希少種だ。男の希少種ならば、伽のための準備が必要だが、女ならばそのまま差し出せば良い。
ライニール王は、普段は慣らした男の希少種を抱いておられるが、たまには不慣れな生娘ゆえの楽しみも味合われたいだろう。そう思ってドリカはあえて伽のための準備は施さなかった。
伽用の衣装を着付ける間も希少種は大人しかった。はじめの反抗的な態度が、すぐになりをひそめ、ドリカは内心ほっとした。こうなればもう伽は成功したようなものだ。この細さでは伽のとき暴れても、ライニール王にはかなわないだろうし、それもまた王にとってはスパイスとなる。
けれど、林の希少種は部屋に閉じ込めたとたん、また騒ぎ出した。扉の前で、どのようにしつけてやろうかとドリカが思考を巡らせていたところへ、短鞭を手にオーラフ宰相がやって来た。
宰相の手を煩わせるなんて、とんでもございませんとドリカは言ったが、オーラフ宰相は「月一顔をあわせるからこいつの性分は知っている。生半可なことでは大人しくはならん」と言って、部屋へ入っていった。
その後、部屋の中からは短鞭が空を切る音が続いた。
しばらくして出てきたオーラフ宰相は、衣装を着替えさせろと言ってドリカに後を任せた。
希少種はひどい有様だった。床に這いつくばった希少種の白い衣装は血に濡れていた。衣装を剥ぎ取り、裂けた背中や大腿を包帯で巻いた。これではせっかくの白い肌が台無しだ。
だが、宰相の短鞭の効果は絶大で、ドリカが置かれたままの短鞭に、目をやるだけで希少種は怯えた。
そうやって抵抗を封じ、無事に夜伽の寝室へと連れて行ったのだが。
寝室の窓が開いていたとは、誰が予想できよう。
閉め忘れた侍女は、はじめは打ち首だと言われていたが、王弟エメレンスの嘆願により取り下げられた。
そしてドリカも責任を追及された。
寝室の窓など、ドリカの管轄外にも関わらず、だ。けれどそれも含めての伽の準備役だったと言われればどうしようもない。女官長まであと一歩の地位までのぼりつめていたドリカは三階級落とされ、当然次期女官長の夢もついえた。
全ては逃げ出したあの希少種のせいで。
それから程なくしてドリカは暇を出された。事実上の解雇だ。失意のうちに親類を頼り、各地を転々とし、モント領内のフルン家に立ち寄ったのは、偶然だった。
エミーという娘は、訪れたドリカをかつてのように先生として歓迎してくれた。
兄のコーバスは、昔からいけ好かない者だが、この際コーバスのことはどうでもよい。
エミーは傷心のなかにいた。
詳しく話を聞くうち、エミーの口からモント領主の奴隷だという希少種の話が出てきた。名はルカという。心臓が止まるかと思った。あの林の希少種の名は、忘れもしない同じルカだ。
王宮騎士団が必死になって探しているが、未だ見つかっていない。もしもそんなルカを、ドリカがとらえることができたなら。
ドリカはエミーにモント領主の屋敷へと案内してもらい、屋敷にいるという希少種を見ようと試みた。
が、屋敷の警戒は厳しく、入り込む余地はない。エミーを使って客人として中に入ろうともしたが、出てきた執事に追い返された。
そんな時、金色の髪に黒い瞳を持つ男がドリカを訪ねてきた。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる