上 下
4 / 538
〜出会い〜

歓迎会

しおりを挟む
入所して間もなく、新入社員、転入社員等の合同歓迎会があった。

総勢3~40人ほどだろうか。
杉崎さんや石田さんとともに会社を出て、宴会場に時間より早く着いたものの、既に席についている人もチラホラ。
別の係の、まだ話したことがない人もいて、私は緊張を隠せない。

もともと大人数での飲み会が苦手な私にとっては一種のストレスだった。
大学の頃から、一応サークルみたいなものに入ってはいたが、飲み会は少人数のものだけに参加していたほど。

私はドキドキしながら、席の配置を決めるくじを引く。

できるなら、一番端っこの…目立たない席で…ひっそりと飲んだり食べたりしたい…。
本当は、こういう少し人見知りで根暗な性格は、広報部という部署には一番合ってないんだけど…。

私の切なる願いが通じてか、私は一番端のすみっこの席になった。
やった!!…思わず心の中でガッツポーズをする。

私はいそいそと、座敷の奥の一番端の、10番の席につく。
前が11番で…横が…9番…
どうか…話しやすい人…もしくは話したことがある人が座りますように…。

すると…「あ、水無月さん、隣だね…!いつもと同じ顔ぶれで悪いけど…よろしくね!」

…隣の9番の席に…杉崎さんがゆっくりと座った…。
杉崎さんの身体から、ふわりと…いい香りがする…なんだろう…心地いい…香り…

「…あ…お隣ですね!良かった~…なんだかすごく、ホッとしました…」私が思わず本音を告げると、

「え…?なんで…?」笑う杉崎さん。

「あ…いえ…ちょっと私、人見知りなところがあって…初対面の人とかだったら緊張してしまうので…ほんと、ドキドキしてました~良かった…杉崎さんで…」聞かれてもいないのに、自分の性格も暴露してしまう。

「なるほど~そっかそっか…それなら…良かった!かもね…?」ニコニコとこちらを見て笑いかけてくれる。

綺麗な横顔だな…また、私は思わず見とれそうになる。

…と、前に一人の女性が座る。

「お疲れ様です。失礼します~私、林って言います。よろしくね!」とその女性が私に明るく声をかけてくれる。

あ…この人は確か、隣のとなりの…隣…三つ向こうのデスクにいる女性だ…

「初めまして…水無月といいます。よろしくお願いします」私も返事をする。

前の席も…なんとなく気さくそうな人で、良かった。

    「皆さんお待たせしました~」


     歓迎会が始まった。



























しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

こんなとこじゃイヤ!

ura
恋愛 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:243

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,248pt お気に入り:91

【R18】お嬢様は“いけないコト”がしたい

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:505pt お気に入り:51

孤独なお針子が拾ったのは最強のペットでした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:449

伯爵令嬢は執事に狙われている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:449

女學生のお嬢さまはヤクザに溺愛され、困惑しています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:686

処理中です...