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〜彼氏〜

居酒屋

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「7時に予約していた水無月です。」
入ってすぐに、受付の店員さんに伝える。

新しいお店のせいもあってか、土日も結構混んでいるようだったので、拓海が来るとわかった1週間前から事前に二人席を予約していた。

半個室のような部屋が右側にいくつも並んでいて…その一番奥の席に通された。

メニューを渡される。居酒屋と言っても、あくまで洋風。メニューには、若者向けの洋風おつまみも、たくさん掲載されていた。

「あー…!うまそう!!なんか、めっちゃ腹へったわ…」拓海はそう言って、正面にいる私に少し顔を寄せて小さな声でつぶやく。「葉月…運動して…腹減ったな…俺、肉食べたい…肉系、色々頼んでいいか…?」

運動…さっきの行為のことだよね…。周りにはもちろん聞こえていないし、仮に聞かれてもなんとも思われないキーワードだけど…なんとなく恨めしげに拓海を見る。

私の視線を感じながらも全く悪びれずにメニューを楽しそうに見続ける拓海。
実は着いていきなり、拓海にあんな風に強引に抱かれるとは思っていなかった。

3月までは違う大学に在籍してはいたけど、もともと家が近かったこともあり、頻繁に会えてはいたから…セックスも…拓海に求められれば普通にしていた。

大体週に2~3回、拓海は一人暮らしの私の家に遊びにきて、週末は泊まることも多かった。
だから…セックスの頻度は少なくなかったように思う。週に1回は、少なくともしていたかもしれない…もちろん、私が生理アレの時はのぞいて…。

だから最後にした3月末からすると…二ヶ月ちょっと…ご無沙汰していたことになる。
だから、男である拓海が…会っていきなりあんな風になったことは、ある意味仕方がないのかもしれない。

でも、私は…どうなんだろう…

拓海に会って嬉しいとは思ったけど…今すぐ抱かれたい…などという情熱的な感情はなかった。むしろかなり冷静…

この感情の違いが男女の差なのか…それとももしかして、私の性欲が女として極端に少ないとか、私がドライ過ぎるからなのか…とか、それはよくかわらない。

「…何?どした…?あ!おまえ、もしかして、さっきの…俺とのやーらしいこと、思い出したりしちゃってたのか?…葉月の…スケベ。」

言われて、慌てる。
当たらずとも遠からず…  かも、しれない…。

「ち…違うっ!ほら、早く!注文しよ、すみませ~ん…」店員さんを呼ぶ。

とりあえず楽しもう。
   久々の、拓海とのデートなんだから…

私は気を取り直して、メニューに視線を落とした。



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