20 / 538
〜彼氏〜
冗談
しおりを挟む
翌朝…いつものように私が先に目覚める。
隣には…大きなイビキをかきながら眠る拓海。
普段、拓海は大きなイビキをかくことはなく、寝息をすーすーと静かに立てるくらいだけど、お酒を飲んだ翌日だけは、まあまあ大きなイビキをかく。
「ンガツ… …」
最初の頃は、この呼吸の後に、このまま息が止まってしまうんじゃないだろうかと思えるほどに、無呼吸…みたいな状態が続いて…一人、慌てたものだ。
しばらく横で見守り、また、スースーと息をし始めるのを確認して胸を撫で下ろす。
拓海のことは好きだ…。
ぶっきらぼうな物言い…だけど、本当は優しくて。普段は好きだとか、愛してるとか可愛いとか…ほとんど口にしないのに、肌を重ねるそういう行為の最中だけ…「好きだ…」とか、「可愛い…」などと、口走ることもあり、私にはそれで、十分だった。
でも…私には言えないことがある。もう少し…胸を触って…とか、すぐに挿入するんじゃなくて…もう少し…慣らすみたいに…優しく、前戯をしてほしい…とか…。
でも、そんなことを言えるはずもなく、今に至る。
好きだけど…セックスは少し不満…でも、そんな悩みは贅沢だし、今後も…拓海に言える可能性はゼロに近い。だから私は諦めていた。拓海にだって、私に言えないこともたくさんあるのかもしれないし、恋人同士にはきっと、こんな行き違いは、組み合わせの数以上に、星の数ほどあるんだから。
「んんっ…あ、おはよう…今、何時…?」
私が布団に入ったままぼんやり考えていると、
拓海が目を覚まして私に尋ねる。
「ん…8時40分ちょっと…かな」私が答えると、「そっか…時間経つの、はえーな…そろそろ起きるか…」拓海は半身を起こし、ぐぐっと、天井に向けて伸びをする。
「ん!わっ…」
拓海が再び布団に潜り込み、突然正面からぎゅっと私を抱き締める。抱擁は温かくて…落ち着く…。
「もっかい…する…?」真剣な顔で聞かれる。
…さすがに無理だ…時間も…ないし、朝だし…お風呂とか…時間を逆算しても…
…なんて、私が真剣に考えていると拓海が笑う。
「くっ…ははっ…おい、冗談だって…昨日いっぱいしたし…そもそも、もうあんま、時間ないしな…」
飛行機の時間は、確か午後の3時あたりだった。
「もう…変な冗談言わないでよ…私だけ…恥ずかしいじゃん…」
拓海は私の真面目な返しが…昔から好きだと言っていた。でも本当に、本気と冗談の区別がつきにくいというか、人に言われたことを真剣に受け止めてしまう…
だから、からかいやすくて、面白いとか、なんとか…
「ま、空港近くでランチでも食べて、バイバイだな」
「だね」そう答え、私たちは身支度を始めた。
隣には…大きなイビキをかきながら眠る拓海。
普段、拓海は大きなイビキをかくことはなく、寝息をすーすーと静かに立てるくらいだけど、お酒を飲んだ翌日だけは、まあまあ大きなイビキをかく。
「ンガツ… …」
最初の頃は、この呼吸の後に、このまま息が止まってしまうんじゃないだろうかと思えるほどに、無呼吸…みたいな状態が続いて…一人、慌てたものだ。
しばらく横で見守り、また、スースーと息をし始めるのを確認して胸を撫で下ろす。
拓海のことは好きだ…。
ぶっきらぼうな物言い…だけど、本当は優しくて。普段は好きだとか、愛してるとか可愛いとか…ほとんど口にしないのに、肌を重ねるそういう行為の最中だけ…「好きだ…」とか、「可愛い…」などと、口走ることもあり、私にはそれで、十分だった。
でも…私には言えないことがある。もう少し…胸を触って…とか、すぐに挿入するんじゃなくて…もう少し…慣らすみたいに…優しく、前戯をしてほしい…とか…。
でも、そんなことを言えるはずもなく、今に至る。
好きだけど…セックスは少し不満…でも、そんな悩みは贅沢だし、今後も…拓海に言える可能性はゼロに近い。だから私は諦めていた。拓海にだって、私に言えないこともたくさんあるのかもしれないし、恋人同士にはきっと、こんな行き違いは、組み合わせの数以上に、星の数ほどあるんだから。
「んんっ…あ、おはよう…今、何時…?」
私が布団に入ったままぼんやり考えていると、
拓海が目を覚まして私に尋ねる。
「ん…8時40分ちょっと…かな」私が答えると、「そっか…時間経つの、はえーな…そろそろ起きるか…」拓海は半身を起こし、ぐぐっと、天井に向けて伸びをする。
「ん!わっ…」
拓海が再び布団に潜り込み、突然正面からぎゅっと私を抱き締める。抱擁は温かくて…落ち着く…。
「もっかい…する…?」真剣な顔で聞かれる。
…さすがに無理だ…時間も…ないし、朝だし…お風呂とか…時間を逆算しても…
…なんて、私が真剣に考えていると拓海が笑う。
「くっ…ははっ…おい、冗談だって…昨日いっぱいしたし…そもそも、もうあんま、時間ないしな…」
飛行機の時間は、確か午後の3時あたりだった。
「もう…変な冗談言わないでよ…私だけ…恥ずかしいじゃん…」
拓海は私の真面目な返しが…昔から好きだと言っていた。でも本当に、本気と冗談の区別がつきにくいというか、人に言われたことを真剣に受け止めてしまう…
だから、からかいやすくて、面白いとか、なんとか…
「ま、空港近くでランチでも食べて、バイバイだな」
「だね」そう答え、私たちは身支度を始めた。
1
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる