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〜お互いの日常〜
配慮
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私と杉崎さんは、月に数回の頻度で、たまに食事をするようになった。
私から誘うことはなく、いつも杉崎さんの方から、週末あたりどう?などと声をかけてくれて、二人で食事に行くのがパターンになった。
そんなある日、私が仕事でミスをした。
そのミスは、広告代理店への発注内容に何度か変更があったにも関わらず、こちらからメールで送ったそのデータが変更箇所をきちんと反映していないという、そういう類のものだった。
代理店からの指摘で発覚した。
もともと私がデータを変更したものを石田さんのチェックを経て先方に送ることになっていたのだが、何度も変更があったせいで、石田さんが、私が送った最終版ではなく、その一つ前の変更後データを先方に送ってしまった…そういう内容。
すぐに石田さんと共に、先方とやり取りし内容の修正はできたものの、やはり後処理が大変で、主任にも注意を受けてしまい、私は数日間、そのミスを引きずり落ち込んでしまっていた。
そんな時、杉崎さんに誘われたのだ。
「突然だけど、今日の夜、ご飯とか、どう…?予定あったりするなら、また今度誘うから気にしないで」
私はその誘いを二つ返事でOKした。
気持ちが塞ぎ込んで、どうしようもなかった。
正直なところ、誰かに…杉崎さんに話を聞いて欲しかったのだ。
・・・・・・・・・・・・・
私と杉崎さんは、お互いの自宅が近いこともあって、最近は帰りの利便性も考え、職場近くだけではなく、近所の居酒屋に行くことも増えてきていた。
「かんぱーい!…っていうか、水無月さん最近元気ないよね…?あの件、まだ気にしてる…?」
杉崎さんが、ミスの件について触れてくる。
「はい…なんだか、落ち込んじゃって…」私はレモン酎ハイを一口飲んで、力なく答える。
「あれさ…ハッキリって水無月さん、全然悪くないよね。あれは、完全に石田さんの責任だよ。
だって水無月さんはちゃんとしたデータ送ってたんだから、それをきちんと最終的に確認して送るのは、あくまで石田さんの仕事であって、もう既に水無月さんの手は離れてるから」
…私も…本当はなんで私がミスを注意されなきゃいけないのかと、内心では思っていたのだ。
石田さんから軽く謝られはしたけど、外部的には私のミスみたいな形で…少し曖昧なまま、処理されてしまった…本当は納得がいっていない…それが本音だ。
「俺はわかってるし、石田さんにもさ、言っといたから…お前が管理者だから、きちんとみるべきだろ?って、間違って送ったのはそもそもおまえだろってさ…
…とか、カッコいいこと言いつつ、一応は年上の先輩だし、ゆるめにしか言えてないんだけど。
でも主任には、俺から状況報告はしてるから。主任も石田さんの性質、完全にわかってるから…
だからもう本当に、水無月さんは気にすること、1つもないよ。ね?…だから気持ち切り替えて、また頑張ろう」
杉崎さんが優しい言葉で…私の数日間のモヤモヤした気持ちを、軽くしてくれた。
それと同時に、私の知らないうちに…杉崎さんがそのように動いてくれていたことに、私の胸は熱くなった。
私から誘うことはなく、いつも杉崎さんの方から、週末あたりどう?などと声をかけてくれて、二人で食事に行くのがパターンになった。
そんなある日、私が仕事でミスをした。
そのミスは、広告代理店への発注内容に何度か変更があったにも関わらず、こちらからメールで送ったそのデータが変更箇所をきちんと反映していないという、そういう類のものだった。
代理店からの指摘で発覚した。
もともと私がデータを変更したものを石田さんのチェックを経て先方に送ることになっていたのだが、何度も変更があったせいで、石田さんが、私が送った最終版ではなく、その一つ前の変更後データを先方に送ってしまった…そういう内容。
すぐに石田さんと共に、先方とやり取りし内容の修正はできたものの、やはり後処理が大変で、主任にも注意を受けてしまい、私は数日間、そのミスを引きずり落ち込んでしまっていた。
そんな時、杉崎さんに誘われたのだ。
「突然だけど、今日の夜、ご飯とか、どう…?予定あったりするなら、また今度誘うから気にしないで」
私はその誘いを二つ返事でOKした。
気持ちが塞ぎ込んで、どうしようもなかった。
正直なところ、誰かに…杉崎さんに話を聞いて欲しかったのだ。
・・・・・・・・・・・・・
私と杉崎さんは、お互いの自宅が近いこともあって、最近は帰りの利便性も考え、職場近くだけではなく、近所の居酒屋に行くことも増えてきていた。
「かんぱーい!…っていうか、水無月さん最近元気ないよね…?あの件、まだ気にしてる…?」
杉崎さんが、ミスの件について触れてくる。
「はい…なんだか、落ち込んじゃって…」私はレモン酎ハイを一口飲んで、力なく答える。
「あれさ…ハッキリって水無月さん、全然悪くないよね。あれは、完全に石田さんの責任だよ。
だって水無月さんはちゃんとしたデータ送ってたんだから、それをきちんと最終的に確認して送るのは、あくまで石田さんの仕事であって、もう既に水無月さんの手は離れてるから」
…私も…本当はなんで私がミスを注意されなきゃいけないのかと、内心では思っていたのだ。
石田さんから軽く謝られはしたけど、外部的には私のミスみたいな形で…少し曖昧なまま、処理されてしまった…本当は納得がいっていない…それが本音だ。
「俺はわかってるし、石田さんにもさ、言っといたから…お前が管理者だから、きちんとみるべきだろ?って、間違って送ったのはそもそもおまえだろってさ…
…とか、カッコいいこと言いつつ、一応は年上の先輩だし、ゆるめにしか言えてないんだけど。
でも主任には、俺から状況報告はしてるから。主任も石田さんの性質、完全にわかってるから…
だからもう本当に、水無月さんは気にすること、1つもないよ。ね?…だから気持ち切り替えて、また頑張ろう」
杉崎さんが優しい言葉で…私の数日間のモヤモヤした気持ちを、軽くしてくれた。
それと同時に、私の知らないうちに…杉崎さんがそのように動いてくれていたことに、私の胸は熱くなった。
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