【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~杉崎~

大人の分別

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彼女…水無月葉月は…俺より一回りも年齢が下の、若い女性。

彼女は、俺が高校の時に、保育園児…
大学の時にだって、まだ小学生の子供…ハッキリいって、この歳の差は…大きい…
そんな年の差のある彼女に手を出すなんて、もはや犯罪に近い。

そんな彼女に、思わず俺はキスをしてしまった…。

いや、思わずじゃない…俺はキスしたくて…したんだ…。
しかも軽いのじゃなくて…舌まで入れてしまった…最悪だ…理性が本能に完全に屈服した…。

彼女の唇は…口内は信じられないほど柔らかく、甘やかで…ずっと、舐め回していたくなるほどに官能的だった…
時折唇の隙間から漏れ出る、彼女の甘い小さな声に、何度俺は…反応しかけたか、わからない…。


本当は、ずっと前から…彼女のことを可愛いと思っていた…。

日に透けそうな色白な肌に…アーモンドのような形をした大きな茶色がかった目…その目を長い睫毛が囲っている。
鼻は決して高くはないが、鼻梁がすっとしていて、その下に薄くもなく厚くもない小さな唇がたたずむ。

ちょっと抱き締めたら折れそうな華奢な身体つき…
胸は…揺れるほど大きくはなさそうだけど…あるにはある…これは本当のところ、外からはよくわからない。
細い腰につながるヒップも…決して大きくはない小尻…。むしろその方が断然、可愛い…。

俺は出会った最初の頃から、彼女の全てに…目を奪われていた…。

でも…ひたすら、表面上は隠していた…とにかく、普通に…接していた。

それは当たり前のことだ…。
30代のいい年をしたおっさんが、20そこらの若い女性を変な目で見たり接したり…そんなのはダメに決まっている。

このご時世、セクハラ・パワハラ・モラハラ…だなんだと、社員の問題行動を罰する風潮が強いのは事実で、そこはもはや、仕事以前に、社会人として絶対に気をつけねばならない一般常識の部分だ。

実際に、セクハラまがいの疑いで、地方の支部へ飛ばされた同僚も何人かいる…そんなのは絶対にごめんだ。

でも…
彼女の声…仕草…仕事を教えた時の素直な反応…全てが…可愛くて仕方がないのだ…

なんでも、教えたくなる…

でも実際は彼女に甘えは微塵もなく、俺が一度教えたことを、二度聞いてくることはないのだけれど…。


いや…そんな仕事の話はどうでもいい…。

そもそも俺は、彼女よりも一回りも上の、分別のある大人なのだ…

彼女にはあんなに魅力的な男らしい…彼氏がいる…
俺が彼女を…どうこうできるわけもないし、絶対にしちゃいけない…最初から近付いてはいけない存在なのだ…。

俺にだって彼女がいる…遠距離ではあるが、まだつながっているんだ…

わかってる…もう、ここで終わりだ…

これ以上、彼女に近付いてはいけない…
何があっても…それが彼女のためであり、俺のためでもあるのだから…。

俺はそう自分に言い聞かせ、
      熱くなった身体と頭を冷やしに、足早に風呂に向かった…





























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