【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜杉崎〜

制御

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「あ…水無月さん…あの店…」信号でちょうど車を停止し、隣の彼女に声を掛ける。

見ると…彼女はすやすやと…眠っていた…。

昼の食事の際も、彼女は冷たい食前酒を美味しそうに飲んでいた。
その後は運転があるために酒が飲めない俺に合わせてか、彼女は一切酒は飲まずにいたが…それにしても、彼女の無防備なこと…。

行きの車と…帰りの車でスヤスヤと…彼氏でもない男の前で眠るなんて、
    …なんて無防備なんだ…

まるで、小さな子供のようで…可愛い…そう、思ってしまう自分が確かにいた。

彼女は…気付いただろうか…

俺が…行きの車で…車内で…スヤスヤと眠る彼女に思わずキスをしたこと…に…。

もちろんなんとか理性で…

前にした時のように口内に舌まで入れたりはせず…なんとか表面だけに抑えて…彼女の唇を塞いだ…けど…

本当は…激しく彼女の唇を貪りたい衝動に駆られた…
その自分の中に生まれたヤバい感情をなんとか抑えながら…彼女の髪に触れ…優しく撫でながら…唇を押しつけた…。

「んっ…」と可愛い声をあげ…彼女が身じろぐように動いた瞬間に咄嗟に唇を離し…すぐに車外に出た。 中を見るとまだ、彼女は眠っているようでホッとした…。

俺は一体…何をした…

彼女を一体、どうしたいんだ…
ひと回りも年若い彼女に対し…俺は一体…

信号が青に変わり、戸惑いながらも、俺は車を発進させる。

「っん…」また、彼女が…色っぽくて可愛い声を出しながら車のシートで身じろぎ…俺を誘う…。

キス…またキス…したい…俺の本能が俺に訴えかける。

いや…だめだダメだ…俺は一体、…何、考えてんだ…

彼女には、彼氏がいる。
俺にだって、彼女がいるんだ…

俺は彼女を見ないようにして、アクセルを踏む。

本当は…旅行の下見なんて、どうでも良かった…
特に下見の必要なんて、なかったんだ…。

各課で違うかもしれないが、例年、パンフレットで見て詳細を電話で確認し、適当に予算内でプランを探し、正式に予約する。

いざ蓋を開けて、多少良くないところがあったとしても、たかが社員旅行…そんなもの、ご愛嬌だ…
幹事はすでに仕事をしているんだから…それでいいはずだ…誰にも文句は言われない…そんな性質のイベント…

それが普通だ…なのに、

俺は…ただただ彼女と一緒にドライブがしたかった…

楽しく食事をし、風呂をゆっくりと楽しみ、観光しながら、彼女と話していたかった…その誰にも邪魔されない時間を、彼女とゆっくりと持ちたかった…

だた、それだけ… それだけ、なんだが…

俺はバカか…

この年になって、中坊でもあるまいし…彼女と擬似デートでもしたかったのか…と、自分に尋ねたくなる。

信号で止まり、もう一度横目で彼女を見る。

色白の肌…長いまつ毛が…吐息と共に揺れている…

シートベルトで押さえつけられたために少しだけ主張してくる、かわいい小さな胸の膨らみ…

小さなと言ったら、彼女は顔を真っ赤にして、怒るだろうか…

ああ…触れたい… 頬に…唇に…彼女の身体に…


ハッとする。
信号が青に変わり、再びアクセルを踏む。

このままではヤバイ…制御できない…

俺は、旅館でのあの場面を思い出しそうになっていた…








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