【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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〜戸惑いの日々〜

色香

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「すみません、お邪魔します…」

玄関で靴を揃えて部屋にあがる。

うちより全然広い…そして室内が綺麗…それが第一印象だった…。

「すごい…綺麗にされてますね…男性の部屋なのに、整ってる…」
思わず口から出た本音。
拓海の部屋とは全然違う… いわゆる男性的な…乱雑な部屋の印象が、皆無だ…。

「いやいや…全然。あ…そこに座っててくれるかな…?今、珈琲入れるからさ…」

杉崎さんが私をソファーに促す。私に珈琲を…?違う違う…
病んでいる杉崎さんにそんなことをしてもらいに来たわけじゃない…

「いえ!珈琲はともかくも、杉崎さん…とりあえず寝ててください…」
キッチン、使わせてください…と言っても、レトルトのおかゆだから、あっためるだけですけど…とりあえず、まず食事の準備をしますから…。」そう言うと、

「うん…わかった…ごめんね!じゃあ俺、ちょっと横になってるね…甘えちゃってごめん…」
申し訳なさそうな杉崎さんの声…

「いえ、全然…私も実は自宅用に買ってきたものがあるので、こちらでご一緒するかもです、すみません…とにかくしばらく寝ててください…。あ、卵とかってありますか??」

レトルトのおかゆが…運悪くプレーンのモノしか残っていなかったのだ…卵を入れると少しは栄養がつくかもしれない…

「あるある、冷蔵庫のものやキッチン道具、適当に使って…ありがとう、助かる…」
そう言って杉崎さんは微笑みながらゆっくりと目を閉じる…。まだ、熱があるのだろうか…


コトコトコトコト… 

お鍋にお粥をうつして、最後に卵を割り入れる…野菜室に小葱もあったので少し切って鰹節も一緒に散らす…いい香り…出来上がりをお椀に移す。

杉崎さんのお宅に寄った後、家で食べるつもりで自分用に買ってきたお弁当も食卓に運ぶ。

「杉崎さ…、あ…」

スースーと…寝息を立てて眠る杉崎さん… メガネもマスクも外していて、
素のままに目を閉じて眠る、杉崎さんの顔を目にする…

一日ぐったりしていたであろう状況でも、やはり綺麗な顔に変わりはなく…むしろ…いつもよりもさらにセクシーな気がした…

思わず、ゴクリとのどを鳴らす私…

… もう一度…この、綺麗な唇に キス、… したい…


そんな衝動が、身体の中を駆け巡る…


駄目だ…熱でぐったりしている相手に…何を考えているんだ…私ってば…
これじゃあまるで、女性の隙を狙う…男性、みたいだ…

でも…杉崎さんの、この顔は…この…色香は、反則だ…
絶対、反則…色っぽ過ぎ…ああ…したいしたいしたい…キス…少しだけ…今、眠っているし、ちょっとだけなら…

私はゆっくりと杉崎さんに近付く…。

















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