【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~見えない境界~

堂々巡り

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ついに、明日は社員旅行。

私と杉崎さんにあんなことがあってから…二週間が経過した。

あの夜、公園で…私は杉崎さんに抱き締められ…あくまでお互いの認識ではあるが…二度目のキスをした。
しかも、軽いキスではなく、舌を絡められるディープなもの…で、私の身体は一気に熱を持った。

杉崎さんから執拗なキスをされた後に、ゆっくりと身体を離され…すぐさま手配したタクシーに乗せられ、まだ酔いが残る状態で自宅に戻った私は、お風呂に入る気力もなく、なんとか着替えと洗顔だけ済ませてベッドに入った…。

杉崎さんの熱を帯びた舌が私の口内を蹂躙するようにうごめき、私の舌をとらえ、舐めあげられ…息が止まるほどに唇を塞がれ…頭がくらくらした…。

隠しきれただろうか…
私は確実に…杉崎さんに欲情…していた…。
私が杉崎さんに与えられる激しいキスの合間にそっと目を開けた時…杉崎さんが燃えるような目で、私を見ていた…。
私は…どんな表情をしていたのだろう…。

その時の自分の顔を見ることなんてできるはずもないが、きっと…淫らでいやらしい顔をしていたに違いない…。

それほどに…杉崎さんのキスは…私を欲情させた…。
杉崎さんのキスが…私の身体に火をつけ、身体の奥底の女の部分が…びくんと震えた…そんな自覚があった…。
帰り際に気付いたが、実際に私のその部分は…いやらしいほどに濡れていて…。

仮にキスの場所が公園ではなく…私の部屋や…どこかのホテルの一室だったとしたら…

私は…どうなっていただろう。

杉崎さんがさらに先に進むような動きを…もし…もし仮に、私にみせていたとしたら…
絶対に、断り切れなかった…そんな気さえ、してしまう…。
むしろ、強引にベッドに押し倒されることに喜びを感じてしまったかもしれない…

私に拓海がいても…杉崎さんに、林さんという彼女がいることがわかっていても…。
あの夜もしも二人で…誰も知ることのない個室にいたとしたら、理性で欲望を抑えきれたとは…どうしても思えない…。

ああ…明日からの二日間、果たして普通に…彼と接することが、出来るだろうか…。
このニ週間の間、あの夜のことには不思議なほどに、お互いに一切触れずに、仕事上の関係を維持してきた…。
もちろん互いに普通に接してきたから、周りからも不自然には見えていないはずだ…。


明日からの二日間、なんとか旅行の幹事を成し遂げたら…
やはり何事もなかったかのようにこのまま時が過ぎていくのか…
それとも、…何かが、変わるだろうか…。
答えが…見つかるのだろうか…。

何度考えてみても、一人では…やはり堂々巡りだ…。
杉崎さんは今…一体、何を考えているのだろう…
それとも、無理矢理に、頭の隅に追いやった…?

もしくは酔いに任せて、
一回りも下の小娘に魔がさして手を出してしまったと…後悔しているかもしれない…。


私は一旦、悩む心を切り離して、
            たんたんと、荷物の準備を始めた。



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