【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~杉崎~

仮面

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俺は智花と肩を並べて歩きながらハッとする…。

拓海に俺と水無月さんのことを暴露する…?

俺は一瞬のこととはいえ、何を考えてしまったのだろう…そんなこと、…出来るはずもない。

もし俺が突発的にそんなことをしてしまえば、拓海は当然のことながら、激怒するだろう…。

そうなれば、まだ付き合っている立場の彼女がどんな目に合うか…想像もできない。

それにしても…あの男の発言…。

『…久々に運動をしたから腹が減った…』

食べ物を注文する前に、奴が口走っていた言葉が…気にかかった…。

奴がそう話した途端、
水無月さんの表情が少し…曇った…。

俺の気のせいだろうか…。

曇ったというより、拓海の発言に動揺したというか、少し、慌てたような素振り…
店員が来たため、水無月さんはすぐに普通の態度に戻ったが…

もしかすると、拓海のいう運動というのは…

考えたくもないが、まさか…

     そういうこと…なのだろうか。

運動をして疲れた、汗をかいた、腹が減った…。

もちろん、

これらは日常的に飛び交う普通の会話ではあるが、
拓海が、わざわざあのタイミングでそのような発言をしたことに、一種の違和感を覚えた。

まるで…運動とは何か…聞いてくれと言わんばかりに…俺に、聞かせるように…。

聞けば、なんと答えるつもりだったのか。

たとえば久々に会って、二人でジム…  

それはさすがにないだろう、普通に、考えにくい…

つまりは、男女の営み…

会話の中で、拓海は今日の昼にこちらに到着したと言っていたが、まさか今日、既に…

つまり、真っ昼間から…
彼女…水無月さんに会ってからすぐに、
彼女を…抱いた…セックスした…とでもいうのか…

二人の淫らな行為の姿が、ほんの一瞬だけ、頭の中によぎり…

俺は…なんともいえないような嫌な気持ちになった。
正直に言って、不快…

   そうとしかいえない感情…

      胸の中が、ざわつく…

彼女は今週、拓海に話をするつもりだと…確かそんな風に話していたが、今日の奴の様子からみても、おそらくまだ、彼女は拓海に話をする機会を逃していて… 

普通に…そのままの流れで…拒否すらできず、
おそらく拓海に、強引に押し倒されたのかもしれない…

彼女なら、あり得る…
もともと優しくて、流されやすい性格なのだから…

だとしても…

   俺は、たまらない気持ちになった…。


拓海に無理矢理、組み伏せられた彼女が目に浮かぶ。
 
泣いたかもしれない…
 嫌だと言いながらも、拓海の攻めに喘いで…
  快楽を追ったかもしれない…

もう…無理だ…

 
       待てない… 

彼女が奴と綺麗に別れるまで…
    待とうと、思っていたのに…

彼女が欲しい…

  もういっそ、
  
  彼女の全てを、奪い去ってしまいたい…

俺は…紳士の仮面をいつまで…

  彼女の前で、つけていられるだろうか…

   
    俺は静かに、拳を握りしめた 

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