【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~二人~

船内へ

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やはり、拓海には外で会うなどして、きちんと別れを告げなければ…。



「…さん、水無月さん!…もう来てたんだ…早いね…お待たせ…」
少し後ろから声がした。

振り返るとそこに、優しく微笑む杉崎さんが立っていた。

「あ… こんばんは…はい、少し早く着き過ぎたので…散歩してました…!」

「…今日は風が適度にあって気持ちいいよね… さ…そろそろ行ってようか…」

「はい…!」

私は拓海とのことを頭の隅へ追いやり、杉崎さんの少し後ろを歩いた。

背が高くて…肩幅が広い…そしてやっぱり、腰の位置が高くて、お尻の形が綺麗で…脚が長い。
綺麗な黒髪が風で…少し揺れていて…それを手で押さえつつ、私を見て微笑む。瞳が…綺麗だ…。

「…どうかした…?」杉崎さんが不思議そうに私を見る。

「あ…いえ…今日、楽しみです…。」
さすがに、あなたの身体に見惚れていました…とは言えない…。

「…だね…!それにしても水無月さん…今日のファッション、…会社の時と全然…違うね…。」

「う…!はい… いえ、こんな時くらい…と、思って…しまって…恥ずかしいですが…」なんとか返事をする。
張り切っている…そんな風に、思われただろうか…やはり、いつもの格好が無難だったのかもしれない…。
私は咄嗟にそんな風に考えてしまっていた。

「いや…恥ずかしがらなくていいよ…よく、似合ってる…ほんとはちょっと、びっくりしたんだ…遠目で見て最初、水無月さんってわからなかったし…」

「あ…ありがと…ございま…」言いかけると、

「ほんと…今すぐ、脱がせてしまいたいくらいだよ…あんまり…可愛くて…」
杉崎さんが私の耳元にそっと、囁く。

「…えっ…!? なっ…はっ‼?…」
耳を疑う…、冗談だとはわかっていても…
杉崎さんがこんなことを言うなんて… キャラが違うような…そんな気がして…

「…ははっ…なんてね。冗談冗談…。…でも、ほんとに素敵だ… さ…、行こうか…」

杉崎さんが私の肩をそっと抱いて、前へ促す。

  「はい…」私はドキドキしながらも頷いて、ゆっくりと船内へ歩を進めた…。
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