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~二人~
ディナー
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船内でのディナー …
雑誌で見た時から…もうずっと前から憧れていた。
まだ20代…もう少しきちんと仕事ができるようになって…もっと大人になってからお金を貯めて個人的に行きたいと思っていた。
そこに、主任にチケットを譲ってもらったとはいえ杉崎さんと来られることになるとは…
しかも、ひっそりとではなく公然と…仮に職場の誰かに見られても堂々と経緯を説明できる…。
ズルい私はそんなことを、考えていた。
「わ…すごいね…」杉崎さんが一歩踏み入れて、感嘆の声をあげる。
美しくセッティングされたテーブル、照明と壁の素材による反射からか、キラキラとした内装…テーブルの中央に目立ち過ぎることなくシックに飾られた花々。
ホールの端の方には一台のグランドピアノがひっそりと佇んでいた。
そして、大きな窓からは空と海…
まるで、結婚披露宴の会場…のような内観だった…。
「うわあ…本当に、素敵ですね…」
杉崎さんの隣で、思わず私も声をあげる。
「お客様…どうぞこちらへ…」
席が指定されていたのかよくわからないが、私たちは、そのホールの中でも一番端に位置する、海が真横に間近に見える一番良い場所に案内された。
メニューの説明を終え、スタッフの人が去った途端、
「水無月さん、この席ラッキーだよね。多分一番…眺めがいい場所…なんじゃないかな…」
杉崎さんが小さな声で囁いて、周りをさっと見渡す。
杉崎さんも同じことを考えていたようだ。
私も嬉しくなる。
「はい…そう思います…食事も楽しみですね…!」
わたしは高鳴る気持ちを抑えながら返事をする。
やっと、正面から杉崎さんの顔を見る。
今日の彼はスーツではあるものの、あまり見慣れないネクタイをしていた…。
少しだけ光沢のあるシックなもの…いつも通り素敵で…直視ができない…。
杉崎さんはどんな格好をしていても、格好が良い…
浴衣姿もそうだったが、スウェットとかでもなんでも…着ているのが杉崎さんだというだけで、絵になる…。
私が風邪で訪問した際も、熱が出てぐったりとしているのに…驚くほどの色気を感じた。
「水無月さん…大丈夫…?ごめんね、今日は休みの日に、付き合ってもらって…予定、大丈夫だったかな…彼氏…とか…」突然、拓海の話を振られて驚く。
「あっ…、いえ、全然!拓海は先週来てますから…連続では来ること…ないです…ので…杉崎さんこそ、林さんは…大丈夫でしょうか…」思わず質問を返す私。
「ああ…うん、智花も先週来てるし…ね、大丈夫…」
ぎこちなく答える、わたしと杉崎さん…。
気付けば、食前酒と美しい見た目の前菜が運ばれていた。
「さ…とりあえず、いただこうか…、乾杯…!」
杉崎さんに促され、カチンと…小さくグラスを鳴らし合う。
私はドキドキしながらも、
ゆっくりとフォークを、手にした。
雑誌で見た時から…もうずっと前から憧れていた。
まだ20代…もう少しきちんと仕事ができるようになって…もっと大人になってからお金を貯めて個人的に行きたいと思っていた。
そこに、主任にチケットを譲ってもらったとはいえ杉崎さんと来られることになるとは…
しかも、ひっそりとではなく公然と…仮に職場の誰かに見られても堂々と経緯を説明できる…。
ズルい私はそんなことを、考えていた。
「わ…すごいね…」杉崎さんが一歩踏み入れて、感嘆の声をあげる。
美しくセッティングされたテーブル、照明と壁の素材による反射からか、キラキラとした内装…テーブルの中央に目立ち過ぎることなくシックに飾られた花々。
ホールの端の方には一台のグランドピアノがひっそりと佇んでいた。
そして、大きな窓からは空と海…
まるで、結婚披露宴の会場…のような内観だった…。
「うわあ…本当に、素敵ですね…」
杉崎さんの隣で、思わず私も声をあげる。
「お客様…どうぞこちらへ…」
席が指定されていたのかよくわからないが、私たちは、そのホールの中でも一番端に位置する、海が真横に間近に見える一番良い場所に案内された。
メニューの説明を終え、スタッフの人が去った途端、
「水無月さん、この席ラッキーだよね。多分一番…眺めがいい場所…なんじゃないかな…」
杉崎さんが小さな声で囁いて、周りをさっと見渡す。
杉崎さんも同じことを考えていたようだ。
私も嬉しくなる。
「はい…そう思います…食事も楽しみですね…!」
わたしは高鳴る気持ちを抑えながら返事をする。
やっと、正面から杉崎さんの顔を見る。
今日の彼はスーツではあるものの、あまり見慣れないネクタイをしていた…。
少しだけ光沢のあるシックなもの…いつも通り素敵で…直視ができない…。
杉崎さんはどんな格好をしていても、格好が良い…
浴衣姿もそうだったが、スウェットとかでもなんでも…着ているのが杉崎さんだというだけで、絵になる…。
私が風邪で訪問した際も、熱が出てぐったりとしているのに…驚くほどの色気を感じた。
「水無月さん…大丈夫…?ごめんね、今日は休みの日に、付き合ってもらって…予定、大丈夫だったかな…彼氏…とか…」突然、拓海の話を振られて驚く。
「あっ…、いえ、全然!拓海は先週来てますから…連続では来ること…ないです…ので…杉崎さんこそ、林さんは…大丈夫でしょうか…」思わず質問を返す私。
「ああ…うん、智花も先週来てるし…ね、大丈夫…」
ぎこちなく答える、わたしと杉崎さん…。
気付けば、食前酒と美しい見た目の前菜が運ばれていた。
「さ…とりあえず、いただこうか…、乾杯…!」
杉崎さんに促され、カチンと…小さくグラスを鳴らし合う。
私はドキドキしながらも、
ゆっくりとフォークを、手にした。
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