【完結 R18】ほかに相手がいるのに

もえこ

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~新しい朝~

動揺

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杉崎さんの大きな手が、私の手の、上に…乗ってしまっている…

ただ、それだけのことなのに…
ドクドクと、心臓が早くなる…温かな、人肌の感触… 

「あっ… の、すみませ…」
 
すぐに離そうと手を上げようとした瞬間、
杉崎さんの綺麗な…手が、長い指が、私の指に絡むかのような…そんな、動きを見せる。

  …  
な、に… なに…  杉崎さん、どうしたの…? 

私は、動揺する…

「あ… の、っ… …」
思わず、杉崎さんの顔を見つめる…

「… … …」
杉崎さんは無言のまま…私を見つめる…
綺麗な目… 杉崎さんの視線が、私に絡みつく… 

もう無理… 私はすぐに視線を杉崎さんから逸らして、メニューを見つめる。

「…あ…の… どっ…どれに、しますか…どれも美味しそうです…すぎ、さきさん… 」声が震える…

「…ん… そう、だね…俺は、Cセットにしようかな… 」

「は… はい、わた、…私は… Aにしようかな…って…ドリンクはオレンジジュースに、します…」

「ん… じゃ…ベル、鳴らすね…?」

そう言って、やっと…  

そっと… 杉崎さんの手が、私の手の上から離れた…。

途端に、手を引っ込める、私… 

「お待たせいたしました。ご注文をお伺いします。」
店員がテーブルの傍に来て、にこやかな笑顔をこちらに向ける。

「えっと、Aセットと… … …それと … 」
私とは対照的に…ごく普通の表情で、オーダーをする杉崎さん。

私は杉崎さんからは見えない膝の上で… たまらずに、自分の手を握り締めた…。






 





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