463 / 538
~戸惑い~
ホテルへ
しおりを挟む
「水無月さん…お酒、飲み過ぎてない…?大丈夫?今日は朝から晩まで、ほんとお疲れだったね…」
ホテルへ向かうタクシーの中で、杉崎さんが優しく私を気遣ってくれる。
「いえ、とんでもないです…杉崎さんこそ…お疲れ様でした。でも、凄いです杉崎さん…あんなに皆さんと打ち解けて…私なんて全然、駄目でした…」
「いやいや、表面上のことで、本当のところそうでもないんだけど、そう見えたなら良かったよ…でもやっぱりさすがに疲れたな…いつもと環境が違うし、初対面の人ばかりで…ずっと気が張っててね…」
「え… ?そうなんですか…でも、さすがです…そんな風には見えませんでした…最初から最後までスマートに会話されてて、すごいなって思って…」
これは私の本心…
プライベートな質問をされても、全く動じずに答えていた杉崎さんがすごく、大人に見えた…。
「スマートって…面と向かって言われると、なんだか恥ずかしいな…全然普通だよ、水無月さん。」
杉崎さんがふわりと私に笑いかけ、その綺麗な表情に、たまらずに視線を逸らす…。
「そう、ですか…とにかく私は、すごく勉強になりました、今回の出張…杉崎さんとご一緒できて、本当に良かったです。」
「… … そう、…?ありがとう… ああ…今日はこれで任務終了かと思うと、途端に眠くなってきたな…」
杉崎さんが口に手を当てて…ふわわわっと、欠伸をする様子を見て、なぜだか胸の中がほっこりしてしまう。
正直に言うと、いつになく無防備な杉崎さんの様子が、可愛いと思ってしまった。
でももちろん、可愛いなどと本人に伝えたりはできない。
ただただ、自分の中だけで、杉崎さんに対して温めている、感情に過ぎない…
私は杉崎さんに答えるように言葉を続ける。
「…そうですね…実は私も今すごく、眠くって…全てが終わって本当にホッとしました…」
ふと…彼の優しい眼が…まだこちらを見つめているのに気付き、ドキリとして、再び視線を前に戻す。
ホテルはもうすぐだろうか…
空港からすぐに会社へ向かったため、ホテルの場所をもわからず、ぼうっとナビを見つめる。
数分後、タクシーは目的地、ホテルのエントランスに到着した。
「お客さん、着きましたよ?どうぞ~」
パタンと、ドアが開く。
「ありがとうございます、ではこれで…」
杉崎さんが支払いを済ませ、一緒にホテルの前に降り立って初めて、私の中に、静かに緊張が走る…。
不意に、あのホテルに…杉崎さんと二人で行った夜のことを、思い出しそうになった。
でも今日はあの時とは全く、違う…
こそこそと、誰かから隠れる必要など一切なく、仕事として堂々と、二人でホテルに泊まることができる状況だ…。
何も、緊張することはない…。
そんな私の内心に気付くはずもなく、杉崎さんが私を静かに見下ろす。
「…さ…行こうか、水無月さん…」彼の、低い声…
意識する方がおかしいのに、なかなか緊張を抑えることができない…。
「はい… 」とだけ、なんとか返事をし、
私はボストンバッグを胸に抱え、
杉崎さんの後に続いた…。
ホテルへ向かうタクシーの中で、杉崎さんが優しく私を気遣ってくれる。
「いえ、とんでもないです…杉崎さんこそ…お疲れ様でした。でも、凄いです杉崎さん…あんなに皆さんと打ち解けて…私なんて全然、駄目でした…」
「いやいや、表面上のことで、本当のところそうでもないんだけど、そう見えたなら良かったよ…でもやっぱりさすがに疲れたな…いつもと環境が違うし、初対面の人ばかりで…ずっと気が張っててね…」
「え… ?そうなんですか…でも、さすがです…そんな風には見えませんでした…最初から最後までスマートに会話されてて、すごいなって思って…」
これは私の本心…
プライベートな質問をされても、全く動じずに答えていた杉崎さんがすごく、大人に見えた…。
「スマートって…面と向かって言われると、なんだか恥ずかしいな…全然普通だよ、水無月さん。」
杉崎さんがふわりと私に笑いかけ、その綺麗な表情に、たまらずに視線を逸らす…。
「そう、ですか…とにかく私は、すごく勉強になりました、今回の出張…杉崎さんとご一緒できて、本当に良かったです。」
「… … そう、…?ありがとう… ああ…今日はこれで任務終了かと思うと、途端に眠くなってきたな…」
杉崎さんが口に手を当てて…ふわわわっと、欠伸をする様子を見て、なぜだか胸の中がほっこりしてしまう。
正直に言うと、いつになく無防備な杉崎さんの様子が、可愛いと思ってしまった。
でももちろん、可愛いなどと本人に伝えたりはできない。
ただただ、自分の中だけで、杉崎さんに対して温めている、感情に過ぎない…
私は杉崎さんに答えるように言葉を続ける。
「…そうですね…実は私も今すごく、眠くって…全てが終わって本当にホッとしました…」
ふと…彼の優しい眼が…まだこちらを見つめているのに気付き、ドキリとして、再び視線を前に戻す。
ホテルはもうすぐだろうか…
空港からすぐに会社へ向かったため、ホテルの場所をもわからず、ぼうっとナビを見つめる。
数分後、タクシーは目的地、ホテルのエントランスに到着した。
「お客さん、着きましたよ?どうぞ~」
パタンと、ドアが開く。
「ありがとうございます、ではこれで…」
杉崎さんが支払いを済ませ、一緒にホテルの前に降り立って初めて、私の中に、静かに緊張が走る…。
不意に、あのホテルに…杉崎さんと二人で行った夜のことを、思い出しそうになった。
でも今日はあの時とは全く、違う…
こそこそと、誰かから隠れる必要など一切なく、仕事として堂々と、二人でホテルに泊まることができる状況だ…。
何も、緊張することはない…。
そんな私の内心に気付くはずもなく、杉崎さんが私を静かに見下ろす。
「…さ…行こうか、水無月さん…」彼の、低い声…
意識する方がおかしいのに、なかなか緊張を抑えることができない…。
「はい… 」とだけ、なんとか返事をし、
私はボストンバッグを胸に抱え、
杉崎さんの後に続いた…。
0
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる