466 / 538
~二人きり~
悪い男
しおりを挟む
「ああ…、なるほど…それ、ちょっと言いたいこと、わかるな…なるほどね~そんなことを、あの時君は考えていたんだね…ははは…これで君の微笑みの謎が、解けたよ…」
杉崎さんが笑う。
「ふふ…そんな展開、何度観たかなって、思ってしまって…現実はやっぱり、きちんと二人分、予約できちゃってますし…でも、恥ずかしいです…一人で勝手に妄想って…」
「いや、そんなことは…その展開、確かにあるあるだからね… でも…さ…」
「はい…?」廊下をゆっくりとした歩調で進みながら、私たちは小声で、話を続ける。
「それって、美味しい展開、だよね…その男にとって。」
「え…? 」一瞬、耳を疑った…
美味しい展開…
そんな言葉が、杉崎さんの口から出てくるとは想像していなかった。
「だってさ…その女性のことを好きな男にとっては、その状況って美味しい以外の、なんでもないよね…好きな女性と、運悪く…いや、運良く…同じ部屋に泊れるなんて、さ…羨まし過ぎ…」
「そ…そう、ですね、確かに…」
なんだか、いつも紳士的な態度を崩さない杉崎さんが、普通の男性のような意見を口走ったのは意外だった。
杉崎さんとならむしろ…その女性の方が、羨ましいけど…
私はそんなことを思いながら、ここでも思わず、くすりと笑ってしまう…。
「あ… ここだ… 水無月さん、着いたよ…じゃあ、ここで…」
「はい… …」
お互いのドアの前で、顔を見合わせる。
何となく寂しい気持ちがしてきたが、何も、言えるわけがない…
もちろん、何も、言わない…。
「おやすみ、水無月さん…ちなみにさ、俺の場合…」
「はい…?」私はドアを開けようとしている杉崎さんをもう一度、見つめる。
「俺ならその展開で、他のホテルをわざわざ手配しないな…とりあえず探すフリはするかもだけど、やっぱ無理だったって説明して、その女性とちゃっかり同部屋に泊っちゃうかも…」
「えっ…、杉崎さん…誠実そうに見えて、実は…悪い人…なんですね…?…ふふ…」
私は深く考えずに、普通に言葉を返したつもりだった。
でも… その直後、身体がビクンと、跳ね上がりそうになる…。
そっと、
杉崎さんの手が、私の手首をつかんだ… からだ…
「…正解。 俺は悪い男、なんだよ… 」
「え… …?」心臓が、ドキリと音を立てる…。
「今だって…ここで、君と別れたくないって思ってる…少しだけ、君の部屋に…お邪魔しても、いい…?」
「え… … 」杉崎さんの真剣な眼が、私をとらえて、離さない…
私は驚きのあまり、次の言葉を発することが出来なくなった。
杉崎さんが笑う。
「ふふ…そんな展開、何度観たかなって、思ってしまって…現実はやっぱり、きちんと二人分、予約できちゃってますし…でも、恥ずかしいです…一人で勝手に妄想って…」
「いや、そんなことは…その展開、確かにあるあるだからね… でも…さ…」
「はい…?」廊下をゆっくりとした歩調で進みながら、私たちは小声で、話を続ける。
「それって、美味しい展開、だよね…その男にとって。」
「え…? 」一瞬、耳を疑った…
美味しい展開…
そんな言葉が、杉崎さんの口から出てくるとは想像していなかった。
「だってさ…その女性のことを好きな男にとっては、その状況って美味しい以外の、なんでもないよね…好きな女性と、運悪く…いや、運良く…同じ部屋に泊れるなんて、さ…羨まし過ぎ…」
「そ…そう、ですね、確かに…」
なんだか、いつも紳士的な態度を崩さない杉崎さんが、普通の男性のような意見を口走ったのは意外だった。
杉崎さんとならむしろ…その女性の方が、羨ましいけど…
私はそんなことを思いながら、ここでも思わず、くすりと笑ってしまう…。
「あ… ここだ… 水無月さん、着いたよ…じゃあ、ここで…」
「はい… …」
お互いのドアの前で、顔を見合わせる。
何となく寂しい気持ちがしてきたが、何も、言えるわけがない…
もちろん、何も、言わない…。
「おやすみ、水無月さん…ちなみにさ、俺の場合…」
「はい…?」私はドアを開けようとしている杉崎さんをもう一度、見つめる。
「俺ならその展開で、他のホテルをわざわざ手配しないな…とりあえず探すフリはするかもだけど、やっぱ無理だったって説明して、その女性とちゃっかり同部屋に泊っちゃうかも…」
「えっ…、杉崎さん…誠実そうに見えて、実は…悪い人…なんですね…?…ふふ…」
私は深く考えずに、普通に言葉を返したつもりだった。
でも… その直後、身体がビクンと、跳ね上がりそうになる…。
そっと、
杉崎さんの手が、私の手首をつかんだ… からだ…
「…正解。 俺は悪い男、なんだよ… 」
「え… …?」心臓が、ドキリと音を立てる…。
「今だって…ここで、君と別れたくないって思ってる…少しだけ、君の部屋に…お邪魔しても、いい…?」
「え… … 」杉崎さんの真剣な眼が、私をとらえて、離さない…
私は驚きのあまり、次の言葉を発することが出来なくなった。
0
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる