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<バット1本で解る事>2
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「またか‥‥無視や無視!」
小声で冷たくあしらう健太にハカセは「そう言えばあの時、掲示板に居たのは光久君だったような‥‥」と見比べるが、聞き入れようとしない健太は「じゃあ、校門の入り口下に団旗置いたらどうやろ?」と何事も無かったかのように会話を続けている。
「確かに全員見てはくれると思いますけど、踏まれますよ」
健太に合わせて、光久から視線を逸らすハカセ。
「それは絶対アカン!団旗は守るべき誇りやからな!」
宣言のような健太の大きな声が辺りに響き、思わず笑うハカセ。
ただ見ているだけの光久は二人が笑い合う会話に入れなくても、嬉しそうに笑顔のままでいた。
「守るべき誇りやって~!!」
明らかに健太を馬鹿にした言葉と笑い声が堤防の上から聞こえてくる。
何事かと三人が見上げると「コイツ達や!俺達の自転車にイタズラしやがって」と駄菓子屋で揉めかけた二人含むブラスバンド部員五人が、自転車を停めて駆け降りて来た。
「自転車って何の話しかな?」
臆する事無く、しらばっくれる健太に「ふざけんな!絶対お前達や!」と五人は少しも聞き入れようとせず、健太とハカセの自転車を蹴り飛ばす。
「おいっ!何しとんねん!」
今にも殴りかかりそうな健太。
「二人の自転車にイタズラしたのは僕達ではないですよ」
ハカセが間に入り仲裁しようとするが「嘘つくなバレバレやぞ!」と更に自転車を踏み付ける。
「本当ですよ!イタズラしたのは、もう一人の方で僕達ではないです」
正直にハカセは説明するが「お前達の仲間なんは、どっちにしろ一緒やろ!」と一人が自転車を蹴り、それを止めようとした健太が相手に掴み掛かられる。
「オイ、離せや!」
叫ぶ健太に「ん~、何を離せって~」とニヤつきながらブラバン部員は、三人掛かりで健太を囲む。
残る部員二人はハカセの前に立ち、おどおどと無言で下を向いたままの光久は相手にもされていない。
睨み合う健太だが、流石に三人相手では手出し出来ずにいると「そう言えば、さっき旗が大事とか言ってたよな~」と相手の一人が白々しく思い出したようにほざく。
「そうや!団旗は守るべき誇りや!」
雰囲気を察したのか、健太は立てかけた団旗の前に立ちはだかる。
「俺達の大事な自転車が汚されたから、コイツ達の大事な旗を汚さなアカンな!」
相手は民主主義のまね事のように、仲間に同意を求め。
「オウ!そうやそうや!」
徒党を組んだ五人が声を揃えて叫ぶが、逃げようとはしない健太。
「悪ふざけも、いい加減にして下さい!」
ハカセは声を強めるが、止めようとしない五人と健太は揉み合いになっている。
「止めて下さい!」
ハカセの制止も虚しく、その場に倒される健太。
「大丈夫ですか!」
健太を助けに行こうとしたハカセは、相手二人に抑え込まれ。
たまたま居合わせた光久は、どうする事も出来ず立ち尽くしていた。
「さあ大事な旗を、踏み付けたろうや!」
小憎らしい部員達の笑い声が響き。
相手の一人が立てかけた旗を手に取ろうとした時、背後から光久が飛び掛かった。
「痛って~!」
相手は倒れた姿勢のまま睨みを効かせているが、光久はオロオロと辺りを見回し気付いてもいない。
見た目弱々しい光久の意外な行動に、その場に居た全員が目を見開く。
「やってくれるやないか!」
立ち上がった相手が凄みを効かすが、光久は振り返りもせず何かを探している。
「オイッ無視か!こっち向けや!」
背を向けたままの光久の肩に相手が手を掛けた瞬間、振り向いた光久の手には健太のバットが握られていた。
動揺して立ち止まる相手に、光久は叫び声をあげがむしゃらにバットを振り回す。
「コイツ頭おかしいぞ!」
なんとか避けれた相手が後ずさりながら喚く。
「ヤバいぞアイツ‥‥」
ざわめくブラバン部員達にも、バットを振り上げた光久が襲い掛かろうとした時「バカは病院行ってこ~い」と部員達は捨て台詞を残し走り去って行った。
まだ息を荒げたままの光久にハカセは「ありがとうございます、おかげで助かりましたよ」と礼を言うが、光久は呆然と部員達が去って行った方角を見つめていた。
「彼のおかげで団旗守れましたね」
大事そうに団旗を拡げる健太の肩を軽く叩くハカセ。
「もう少し時間が有ったら、俺の拳が炸裂しとったけどな!」
拳を振り健太は強がっているが、小石につまづき慌てている。
「ところで光久君は最近ココによく来ますが、何か僕達に伝えたい事が有るのでは?」
ハカセの問いに光久は小さく頷く。
「やはり‥‥、休み時間に掲示板を見ていたのは光久君だったのですね」
一人で納得した様子のハカセとは対照的に、健太はオロオロと二人を見ている。
「では応援団に入りたいという事ですね?」
ハカセの問いに満面の笑みで頷く光久。
「でも喋れんのじゃなかったか?」
光久は首を横に振るが、変わらず一言も喋らないままでいた。
「じゃあ、喋れるんや!」
健太は期待で瞳を輝かすが、再び首を横に振る光久。
「アカンやん!どっちやねん!」
意味不明な光久の言動に健太がキレかけていると「一時的とか精神的に喋れなくなっているのではないでしょうか」と助け舟を渡すハカセ。
「声出せれんのに応援団って、無理やろ!」
入団させるのを諦めたかの様子でソファーに座る健太に「彼の気持ちは応援してあげないのですか?」とペンを手渡すハカセ。
無言でペンを受け取った健太に、期待するハカセと困惑する光久の視線が刺さる。
考え込むように足元を見つめていた健太は「俺を誰やと思ってんねん、団長やぞ!応援したるに決まっとるやろ!」と立ち上がり団旗を手に取った。
「では入団決定ですね!」
嬉しそうに笑顔を見合わせるハカセと光久に「バット1本で解る事有ったやろ!」と健太は思い出したように笑った。
小声で冷たくあしらう健太にハカセは「そう言えばあの時、掲示板に居たのは光久君だったような‥‥」と見比べるが、聞き入れようとしない健太は「じゃあ、校門の入り口下に団旗置いたらどうやろ?」と何事も無かったかのように会話を続けている。
「確かに全員見てはくれると思いますけど、踏まれますよ」
健太に合わせて、光久から視線を逸らすハカセ。
「それは絶対アカン!団旗は守るべき誇りやからな!」
宣言のような健太の大きな声が辺りに響き、思わず笑うハカセ。
ただ見ているだけの光久は二人が笑い合う会話に入れなくても、嬉しそうに笑顔のままでいた。
「守るべき誇りやって~!!」
明らかに健太を馬鹿にした言葉と笑い声が堤防の上から聞こえてくる。
何事かと三人が見上げると「コイツ達や!俺達の自転車にイタズラしやがって」と駄菓子屋で揉めかけた二人含むブラスバンド部員五人が、自転車を停めて駆け降りて来た。
「自転車って何の話しかな?」
臆する事無く、しらばっくれる健太に「ふざけんな!絶対お前達や!」と五人は少しも聞き入れようとせず、健太とハカセの自転車を蹴り飛ばす。
「おいっ!何しとんねん!」
今にも殴りかかりそうな健太。
「二人の自転車にイタズラしたのは僕達ではないですよ」
ハカセが間に入り仲裁しようとするが「嘘つくなバレバレやぞ!」と更に自転車を踏み付ける。
「本当ですよ!イタズラしたのは、もう一人の方で僕達ではないです」
正直にハカセは説明するが「お前達の仲間なんは、どっちにしろ一緒やろ!」と一人が自転車を蹴り、それを止めようとした健太が相手に掴み掛かられる。
「オイ、離せや!」
叫ぶ健太に「ん~、何を離せって~」とニヤつきながらブラバン部員は、三人掛かりで健太を囲む。
残る部員二人はハカセの前に立ち、おどおどと無言で下を向いたままの光久は相手にもされていない。
睨み合う健太だが、流石に三人相手では手出し出来ずにいると「そう言えば、さっき旗が大事とか言ってたよな~」と相手の一人が白々しく思い出したようにほざく。
「そうや!団旗は守るべき誇りや!」
雰囲気を察したのか、健太は立てかけた団旗の前に立ちはだかる。
「俺達の大事な自転車が汚されたから、コイツ達の大事な旗を汚さなアカンな!」
相手は民主主義のまね事のように、仲間に同意を求め。
「オウ!そうやそうや!」
徒党を組んだ五人が声を揃えて叫ぶが、逃げようとはしない健太。
「悪ふざけも、いい加減にして下さい!」
ハカセは声を強めるが、止めようとしない五人と健太は揉み合いになっている。
「止めて下さい!」
ハカセの制止も虚しく、その場に倒される健太。
「大丈夫ですか!」
健太を助けに行こうとしたハカセは、相手二人に抑え込まれ。
たまたま居合わせた光久は、どうする事も出来ず立ち尽くしていた。
「さあ大事な旗を、踏み付けたろうや!」
小憎らしい部員達の笑い声が響き。
相手の一人が立てかけた旗を手に取ろうとした時、背後から光久が飛び掛かった。
「痛って~!」
相手は倒れた姿勢のまま睨みを効かせているが、光久はオロオロと辺りを見回し気付いてもいない。
見た目弱々しい光久の意外な行動に、その場に居た全員が目を見開く。
「やってくれるやないか!」
立ち上がった相手が凄みを効かすが、光久は振り返りもせず何かを探している。
「オイッ無視か!こっち向けや!」
背を向けたままの光久の肩に相手が手を掛けた瞬間、振り向いた光久の手には健太のバットが握られていた。
動揺して立ち止まる相手に、光久は叫び声をあげがむしゃらにバットを振り回す。
「コイツ頭おかしいぞ!」
なんとか避けれた相手が後ずさりながら喚く。
「ヤバいぞアイツ‥‥」
ざわめくブラバン部員達にも、バットを振り上げた光久が襲い掛かろうとした時「バカは病院行ってこ~い」と部員達は捨て台詞を残し走り去って行った。
まだ息を荒げたままの光久にハカセは「ありがとうございます、おかげで助かりましたよ」と礼を言うが、光久は呆然と部員達が去って行った方角を見つめていた。
「彼のおかげで団旗守れましたね」
大事そうに団旗を拡げる健太の肩を軽く叩くハカセ。
「もう少し時間が有ったら、俺の拳が炸裂しとったけどな!」
拳を振り健太は強がっているが、小石につまづき慌てている。
「ところで光久君は最近ココによく来ますが、何か僕達に伝えたい事が有るのでは?」
ハカセの問いに光久は小さく頷く。
「やはり‥‥、休み時間に掲示板を見ていたのは光久君だったのですね」
一人で納得した様子のハカセとは対照的に、健太はオロオロと二人を見ている。
「では応援団に入りたいという事ですね?」
ハカセの問いに満面の笑みで頷く光久。
「でも喋れんのじゃなかったか?」
光久は首を横に振るが、変わらず一言も喋らないままでいた。
「じゃあ、喋れるんや!」
健太は期待で瞳を輝かすが、再び首を横に振る光久。
「アカンやん!どっちやねん!」
意味不明な光久の言動に健太がキレかけていると「一時的とか精神的に喋れなくなっているのではないでしょうか」と助け舟を渡すハカセ。
「声出せれんのに応援団って、無理やろ!」
入団させるのを諦めたかの様子でソファーに座る健太に「彼の気持ちは応援してあげないのですか?」とペンを手渡すハカセ。
無言でペンを受け取った健太に、期待するハカセと困惑する光久の視線が刺さる。
考え込むように足元を見つめていた健太は「俺を誰やと思ってんねん、団長やぞ!応援したるに決まっとるやろ!」と立ち上がり団旗を手に取った。
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