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25 失態に…
しおりを挟むやってしまった。忘れていた。
この身体は元々ごく一般的な深窓の令嬢とか呼ばれてしまう、普通の女の子の身体だった。
神殿にきて自由に働ける喜びに、必要とされる、褒められる承認欲求に己の欲望のままに、週に1日の屍になる日すらとらずに働きまくっていたら仕事中に……礼拝中に倒れる失態を犯してしまった。
それにこの日は、神官服の中に着るワンピースが乾いてなくて下着だったのも風邪を引いてしまった原因だった。
仕事が忙しくワンピースを深夜に洗ってしまったのが敗因で……。
服……神殿に着てきた一着しかなくてお給金で買いに行こうとおもってたけどつい、仕事を優先して買いに行かなかったそれも悪かった!
こんど町に出ることがあれば丈夫な作業着を2着は欲しい。
ちょっと暑いなとは思っていたんだでも気のせいかなって。
プロの訓練された社畜で元深淵の令嬢スカーレットは、己の失態に猛省する。
社畜にとって仕事中に倒れるなんてあってはならない事だった。
そんなことをすれば他の社員に迷惑がかかるし早退なんてしたくないし、無遅刻無欠勤という、勲章がなくなってしまうからだ。
それに自己管理出来ないと上司に叱責されるのも、とても苦痛だった。
体調不良で休むならせめて自己責任ではないインフルエンザとかがいい。
いっそのこと入院してしまうレベルなら許される気がする。
だがただの風邪で早退したり欠勤するなんてプロの社畜としての、プライドが許さなかった。
プロの訓練された社畜は、自分が社畜であることにプライドがあった。
社会の為に人の為ならず為に、誰かの為に生きたいと願う、この社畜は
自分が必死に誰かの為に働いている自分の姿が大好きだったのだ。
そして、ひとりで困難に立ち向かうのもなかなかに好きで、学生時代は、登山部に所属し、なるべく険しく辛い山に
登るのが喜びだった。
ゲームも、学生時代はよくやっていて、糞ゲーといわれるゲームが好きだった。
クリアほぼ不可能なんて口コミがあると、つい買ってしまうような変態だった。
簡単な楽な道には興味を示さず、難しく困難な道が大好物。
プロの社畜になるべくして、なったといっても過言ではないだろう。
そして、令嬢時代の生ぬるい生活がとても苦痛だった。
少し靴擦れする程度で、ダンスの練習をしているだけなのに頭がおかしいやつとしてとめられたり
やったらできる、できるまでやる
と、普通の事を言ったら馬鹿扱いされ
貴族は働いたりしないと、父に言われたときは絶望した。
働く喜びを、誰かに必要とされる喜びを、自分が死ぬ気でやったものが花開いたときのあの素晴らしき光景を
貴族令嬢では絶対に叶わないと知ったとき
社畜令嬢スカーレットは絶望した。
お金も大事だか、自分が認められたいんだ。
自分の頑張りを褒めてほしい。
社畜は誰かに必要とされたいだけだった。
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