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31 いけないこ
しおりを挟む社畜はその身体の為にも決して閃いてはいけなかった事を、ただの屁理屈を、十代のスカーレットのぴちぴちの脳みそを社畜的に有意義に使用し、ひらめく。
夜泣きのお世話が駄目なら日中のお世話にこっそりといけばいいじゃない。
大丈夫……それは禁止と言われてない。
思いついたが吉日といそいそと用意し別に部屋から出るのは禁止されてないし?
と、屁理屈をこねくりまわしてから
ご機嫌に孤児院まで他の神官に、見つからないようにこそこそと移動して。
孤児院担当の神官に
「子ども達に会えないのが寂しくて、大人しくしていますから、子ども達とお喋りするだけだから……! ここに居てもいいですか? でも、神殿長には言わないで……。また閉じ込められてしまう……!」
と、悲壮感を醸し出してお願したら、神官になるほど善良な心の神官は簡単に騙される。
スカーレットは元悪役令嬢なので攻略対象者達や義理の妹と渡り合う為にそこそこに、ズル賢くなった。
そしてプロの訓練された社畜は孤児院に見事潜入を果たした。
社畜は部屋に閉じ込められてなどいないからここまで好きに歩いて来れたのだが。
まんまと職場に潜入することに成功した社畜は
お喋りだけ! と言いながらなにかある度に
、孤児院担当の神官のお手伝いをしたがり、孤児院担当の神官もつい忙しくて社畜に仕事を渡してしまう…。
そしてその状況が孤児院担当の神官の通常になり始めた頃に。
ここまで来ればこっちのもん! だと、言わんばかりに社畜はそろそろ本気出すか
……と、孤児院担当の神官の仕事を勝手にやり始めた。
スカーレットの、策略により
孤児院担当の神官はスカーレットが居るのが その頃には普通だと、認識し始めてしまいスカーレットがバリバリ働いていても、そうゆうもんか……と、錯覚しこの状態が簡単に常態化する。
それに元々孤児院の仕事は、やりだしたら終わりなんてないから社畜が多少仕事を奪った所で、子ども達が遊んでくれやらなんやらで、どっちにしろ仕事は増える。
もうここまで来れば、もう社畜を止めるものなど、ここには誰もいない。
孤児院長は昼の間は基本的に眠っており夜間の子ども達の世話を行っているためにスカーレットが日中働いているのに気付かない。
孤児院長が昼間起きているのは来客時か、王宮にいく時だけだと、社畜は知っていた為にその時だけはスカーレットは本当に座ってども達とお喋りして誤魔化していた。
だから勘違いの花を咲かしている孤児院長は子ども達と離ればなれ辛いものね……と、スカーレットが孤児院に通っていることを神殿長に報告しない。
そしてスカーレットは社畜は日中は孤児院で子ども達のお世話、早朝と深夜は聖書の暗記作業、という二足のわらじで欲望を満たし始める。
多少肉体労働は減ったかもしれないが…それで、休んでいるとは到底言えないわけで。
それに神殿長が気付くまで約一ヶ月を要した。
理由は簡単で大人しく部屋で休んでるはずのスカーレットが、まさか勝手に働きに行ってるなんて思わないし、来てるなんて報告もないし、わさわざ療養中の人間を呼び出したりしないし、女性神官の私室に男性神官である神殿長が赴くなど言語道断なわけで。
唯一スカーレットが神殿長と接触する機会がある食堂も、神殿長は利用せず神殿長室に運ばれる為に社畜が好き勝手していることに気付くのが遅れてしまったのだった。
そう神殿長はスカーレットと接点が全くなかったのだ。
それじゃ気付かない。
休養して順調に回復しているはずのスカーレットが未だに青白い顔をして、働いていたことに。
それに気づいたのも、本当に偶然神殿長が、たまたま気が向いて孤児院の子ども達に会いにきた事で発覚する。
私室で療養してるはずのスカーレットが、子どもの世話をして孤児院を駆けずりまわっていたのを、事前通告なしにやってきた神殿長が目撃することで。
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