婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します

早乙女 純

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三話 昼下がりのお茶会①

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「そう、ついにアルベルトと婚約を解消をしたのね」
 
 私の親友であるカミラが知性的な瞳で私を見てそう言った。
 カミラは蒼い瞳と赤い綺麗な髪が特徴的な美少女でエンデルス伯爵家令嬢である。私たちはよくお互いの屋敷でお茶会をしていた。今回はエンデルス家の屋敷にお邪魔していた。

「えぇ、流石にあんな状態の彼とは結婚できないわ。あのまましていたら家を傾けられていたわ」

「そうね。彼は世間知らずなところがあったものね。それに愛人を作っていたのも頂けないわ。だけど、かなり長い付き合いだったと思うけれど、本当に未練はないの?」

 カミラは確かめるような目で私に問いかけてきた。

「付き合いが長かっただけよ。内容はスカスカよ。元々彼が余りにも他の子と馴染めていなかったから一緒にいてあげただけなのに、大人が自分たちの都合の良いように解釈して婚約させられただけだもの。それで、彼と会う機会が多くなっただけよ」

 カミラはため息混じりに言った。

「アデリナがそんなだから面倒臭いことになるのよ」

「……そうだけど、あんなに酷くなるとは思わないじゃない? それに愛人を作るなんて時代遅れなことを思いついて、実行しようとする人がいることの方が驚きよ。仮にしている人がいたとしても、入り婿でそれをやろうと思う人はいないと思うの」

「確かにそうね。それにしても祖父世代の価値観を持ってこられても困るわね。まぁ、そんな古い価値観から抜け出せないからベルツ家は没落しそうなんでしょうけど……。本当に陛下にも困ったものだわ。私たちのような成功している家に没落気味の家の尻拭いをさせようなんて……」

 私とカミラは深いため息をついた。

「えぇ、本当にそうね。いくら婚約解消が容易にできるからと言って、そんなほいほいして良いことではないのは変わらないもの。でも、お父様の話によると陛下の肝入りの婚約はかなりの数が解消されたらしいわ。だから、優良な家の方々は婚活で今大忙しらしいわ。確かに、平民が台頭してきた今日では貴族たちの纏まりが大切という陛下のお考えもわかるけれども、不良物件を押しつけられても困るわ。これじゃ共倒れになってしまうもの」

 私たちは深いため息を吐いた。
「まぁ、私の話はこれくらいで良いわ。カミラの方よ、問題は」

 カミラは首の力が抜けたように頭を下に向け、深くため息を吐いた。私は紅茶を飲み、今度はこちらがいう番だとカミラに話すように求めた。お茶会はまだまだ続く。
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