審判を覆し怪異を絶つ

ゆめめの枕

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第一章 七不思議の欠片

新たな学園生活開幕

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「ねえ、他に目撃している人はいないの? 寝巻先生だけだと信憑性が薄くない?」
「確かに」

 沢村の言葉に、月島は暫く考え込んだ。

「ないな」
「ないのかよ」

 千堂が突っ込む。

「でも怪談話に信憑性がないのは当たり前なのよね、きっと。怪奇現象なんて所詮『気のせい』の産物よね」
「それはどうかな。実際目撃してみないと分かんねえし」
「そもそも目撃したとしても、それが本当に怪奇現象なんて分からなくない?」
「お前ら、むっずいこと考えてんなあ。誰かが信じてるだけでも存在しているって言えねえのか?」
「千堂のおつむに頼ってちゃあ、ダメってことは分かるわよ」
「……意外と沢村って言うよな」

 話し込んでいると、授業終了のチャイムが鳴り響いた。黒板の上の時計を見れば、かなりの時間をロストしてしまった。
 教室内が徐々に騒がしくなり、筆記用具を片付ける音がやけに大きく聞こえてくる。

「やべえ。よくわかんねえ話をしていた内に時間、終わってたわ……」

 いきなり千堂が頭を抱えだしたので、沢村が千堂の手元を覗き込んだ。月島も椅子を千堂の机に寄せて、同じように覗くと。

「うっわ。それって今日提出の課題じゃん。六限だから間に合うかもしれねえけど、結構難しかったんだよなあ」

 ――莫迦か、こいつは?

「それって古典の課題でしょ? あの先生は怖いからなあ……提出しないと、こってり絞られるわよ」
「だってさ! お前らがさ、寝巻先生が幽霊だって思い込みかけてたじゃねえか。それを聞いたら口を挟みたくもなるし、それよりも月島と黒川が話している時点で珍しいし」
「それ、私も思った!」

 沢村が嬉々として大きな声を上げる。
 俺と月島が話しているのが珍しい? なんだそれ。そんなことに興味を示して、何が楽しいんだ?

「沢村も意外と騙されやすくて、オレ、ビビったわ」

 いや、どこをどう見ても沢村は騙されやすいだろ。善人な面構えをしているし、そも表情から感情が読み取れるレベルだ。将来を考えるに、怪しい宗教団体に壺でも買わされ、金品財産も搾り取られてるんじゃねえかな。
 それに千堂だって素直な面がある。この場で胡散臭いのは俺たちといったところか。しかし、俺達以外にも奇怪な人間はまだいるのだから、意外とこの学校は曲者揃いだな。

「それを言ったら黒川くんでしょ。まさか天然だったとはね」

 どっから見たらそうなるんだ。俺は思わず沢村を睨んだ。

「ひえ」

 沢村が肩を竦ませて瞳をぎゅっと閉じるので、千堂が「まあまあ、落ち着けよ」と割り込んできた。その様子に苛立った俺は、千堂の机に置かれた真っ白の紙を指差して。

「つまりお前は野次馬根性で割り込んだ果てに、課題が終わらなかったってことだよな?」

 絶対零度の声を出せば、千堂も沢村共々固まってしまった。これ以上同じ空間にいれば莫迦が移る。さっさと次の授業の準備をするか。

「ハハハ、わたしも数学の準備をしないとな」

 そう判断して立ち上がろうとした俺よりも早くに、沢村が自分の席から素早く立ち上がって、俺たちの間を抜けていく。
 後に残された千堂は身を竦ませながら、古典の課題に手を伸ばした。

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