【完結】身代わりの仮婚約者になったら、銀髪王子に人生丸ごと買い占められた件

ななせくるみ

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第4話:冷徹王子は、甘いお仕置きがお好き

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(……どうしよう。本当に寝ちゃった……)

膝の上に乗せられた、一条様の頭。

想像していたよりもずっと重くて、でも、驚くほど温かい。
さっきまで私をリムジンで連れ去って「体で払え」なんて言っていた暴君とは、とても思えない。

私は息を殺して、彼の顔をじっと見つめる。学園で女子たちが黄色い声を上げるのも納得の、彫刻のように整った顔立ち。長い睫毛が影を落とし、スッと通った鼻筋が美しい。

(……まつ毛、長いなぁ……)

つい見惚れてしまい、無意識に彼の手入れの行き届いた銀髪にそっと触れようとした――その時。

「……俺の許可なく、触るつもりか?」

「ひゃっ!?」

寝たはずの一条様が、片目だけをうっすらと開けて、ニヤリと口角を上げた。

(……起きてたの!?)

「あ、あの! 寝たんじゃなかったんですか!?」

「……落ち着くと言っただろう。君の膝が、想像以上に柔らかくて……。それに、いい匂いがして、眠るのがもったいなくなった」

彼はそう言うと、私の膝に顔を埋め直すようにして、ぐいっと私の腰を強く引き寄せた。
あまりの近さに、頭が真っ白になる。 

「い、一条様……近いです……っ!」

「……様はやめろと言ったはずだ。……蓮、と呼べ」

「そんなの無理です! 雲の上の存在の人を呼び捨てなんて……」

「……なら、お仕置きが必要だな」

彼はクスクスと意地悪そうに笑うと、私の手を掴み、指先を一本ずつ愛おしそうに、けれど深く、自分の唇に含んだ。

「っ……ぁ……!」

指先に伝わる、熱くて湿った感触。
心臓が口から飛び出しそうなほど跳ね上がった。
驚いて手を引こうとしたけれど、彼の力は驚くほど強くて、びくともしなかった。

「……逃げるな。君は、俺の所有物だ。どこに触れようと、俺の勝手だろう?」 

そのまま彼は、私の手のひらに、ゆっくりと、熱いキスを落とした。とろけるような眼差しで見つめられ、体中の力が抜けていった。

「これから君は、俺の『婚約者』として、この屋敷で暮らすんだ。……逃げ出そうなんて考えるなよ。君の居場所は、もう俺の腕の中にしかないんだから。」

彼の瞳に宿る、逃がさないという強い執着。
それは甘い誘惑のようでもあり、鎖よりも重い宣告のようでもあった。

「……ひまり。今夜は、君が泣くまで離してあげないからな。」

耳元で囁かれた、名前。
窓の外では、夜の帳がしんしんと降りていった。
私の自由が奪われた初夜は、心も体も溶かされるような、
あまりにも甘く残酷な時間へと変わっていった。
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