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【第一章】第一次セトラ村攻防戦

【第十九話】決意

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 カラバ村長に押し切られるような形で、僕は報酬を受け取った。


 今の所、使い道は無い。


 次に、カシュカが槍を差し出してきた。


 見るからに重そうで、とても僕には持ち上げれそうにない。


「この槍は、カイトが倒れているそばに突き刺さっていたものだ」


 試しに持ち上げてみたが、全力を使ってようやく構えがとれるくらいの重さがあった。


 持ち手のところに、王国軍の旗印と同じ紋章が彫られている。


「おそらく、指揮官がカイトに渡すつもりで置いていったのだろう」


 ジラサ隊長が、この槍を僕に。


 なぜそんな事をしたのか。


 はっきりとは分からなかったが、強くなれと言われているような気がした。


 一騎討ちをしていた時、敵のはずなのに試されているような気がしたのを思い出した。


「僕は、槍なんて遣ったことがありません。剣でさえ、この前の戦いで初めて使ったのです」


「それは俺が教える。だから、カイトも自警団に入れ」


 カシュカが言った。


「自警団、ですか」


「初めて剣を触った者が、あんな闘いを出来るとは思えない。お前には才がある、と俺は見込んでいるのだ」


 束の間、迷った。


 しかし、村を守れるなら。
 そして、強くなれるなら。


「分かりました、自警団に入ります。僕に、武術を教えて下さい」


◆◆◆◆◆


 それから、一週間が経った。


 もうすっかり冬の気配は強くなり、いつ雪が降ってもおかしくない寒さだった。


 この季節になると軍隊は活発には動かなくなるので、春が来るまでは王国軍が再び攻めてくることはないだろうとカシュカは言っていた。


 冬の間、畑仕事でやる事は少ない。


 だから以前よりも自由な時間が増えたので、村長から学問を教わる他に、カシュカから修行を受けるようになった。


 しばらくは身体を鍛える事に専念し、機会を見て武器の遣い方を教えてくれるようだ。


 そんなある日、僕はカラバ村長の家に呼ばれた。


 村長の家にはカシュカもいて、夕食の支度がされている。


「さあ、座りなさい」


 空いた席に座ると、早速夕食が始まった。


 大きな鍋に、魚と野菜を煮込まれている。
 魚は、村の近くを流れる川で捕れたもののようだ。


 ひとしきり料理を食べると、村長が石版のような物を持ってきた。


「これは?」


 持ってきた石版は、下敷きほどの大きさである。


「この石版は、この村を興した先祖から伝わるものだ。表に刻まれている文字は相当古い文字なのか、読む事が出来ない。しかし、【紅い目】の人物に会ったら渡すように言い伝えられているのだ」


 石版を受け取り、刻まれている文字を見て僕は驚いた。





 日本語で【チュートリアル完了】と書かれていたのだ。
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