僕の輝ける伴星

渡辺 佐倉

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本編

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翌朝、目を覚ますと、相変わらずそこは王子の寝台で彼は俺の横で眠っていた。

自分の恰好を確認すると、元々着ていた服は脱がされていて、ルイスのものであろうシャツを着ていた。
吐しゃ物が酷くて脱がしたのだろうと思った。

まさかこの横で寝ている王子様が? と思ったけれど、考えるのをやめた。
今更考えてもどうしようも無い。


寝ている婚約者の顔を見る。
文様の所為で顔がよく見えず、もったいない気がして、少しだけ彼の肌を覆う魔法を弱めた。

意識してそうした訳ではない。
何となく彼の顔をちゃんと見てみたくなって思わず自分のかけた魔法を少し外してしまった。

ルイスの顔はやっぱり絵本に出てくる王子様の様に整っていて美しい。

「王子様は悪い魔法使いと幸せに暮らしましたとさ……」

思わず口にして、それから馬鹿じゃねーのと自嘲する。
王子様はお姫様と幸せになると相場が決まっているのだ。


とはいえ、王子様がお姫様と幸せになる方法は平民の俺にはよくわからない。


ルイスが身じろぎをして目を覚ます。
瞼を開けた彼と目が合った。

「おはようございます」

俺がそういうと「おはようございます……」とふんにゃりとした声で、ルイスは挨拶を返した。
それから、真っ赤になって「あ、あのこれは不可抗力で……」と慌てる様に言った。

「不可抗力?」

なんの話かよくわからなくて聞き返すと、「その、服を着替えさせるために脱がしたので……」と言われた。
それが何故顔を赤くするのかとつながるのかが分からなかったので「ありがとうございます?」と若干疑問形でお礼を言う。
何か問題があっただろうかと考えたところで一つだけ思い当たるふしがあった。

「婚姻前の同衾って貴族的に何かまずいものですか?」

俺が聞くと、ルイスはさらに赤くなって、「だ、大丈夫だと思う」と言ったきり黙ってしまった。

「それよりも毒の影響は……」

ごほん、と場の空気を変えるように咳払いをしたルイスはその後俺にそう聞いた。

「おかげさまで、もう大丈夫です」

犯人捜しはしなければならない。
けれどルイスの様子を見る限り大々的にするべきではないのかもしれないと思った。
そのため、それ以上その時は詳しい話はしなかった。
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