35 / 50
本編
早まった結婚
しおりを挟む
◆ ◆ ◆
最近呪われた第三王子の体調が少し良くなっているという話が王宮ではされている。
実際、ルイスは元気になっている。
呪いはも無いのだから当たり前なのだけれど、それが気に食わない人間が多数王宮にはいるらしい。
「婚姻の儀を早める様にとの通達があったよ」
屋敷に帰ってくるなりルイスは言った。
「誰から?」
「さあ、だれだろうね」
第三王子に命令できる人間なのだろうか。
外交などがある場合婚姻を急ぐ場合もあると聞くが相手は俺だ。急ぐ必要はどこにもない。
ルイスを早く平民と結婚させて後継者レースから追い落としたい人間がいるとみるのが、まあ正しいのだろう。
呪いを受け、平民の男との婚姻を成立させ子は望めなくなる王子。
それを急かしている人間がいる。
「へえ」
お貴族様はどろどろしていて大変だと思った。
「で、早めるんですか? 結婚」
俺が聞くとルイスは「そうだねえ」と言った。
結婚後仕事はやめなくてもいいという手筈になっている。
なので婚姻の儀とやら自体は、正直どうでもいい。
「ねえ、魔法使いじゃない人間は素晴らしい魔法についてどう考えてると思う?」
ルイスが突然そんなことを言う。
「知識と技術じゃないですか?」
素晴らしい魔法の内容が分からないけれど、大体の特殊技能はそれだ。
「ん-。違うよ。奇跡だと思ってるんだ」
ルイスはそう言って笑う。
「そして人間ってやつは奇跡ってやつが大好きなんだよ。特に愛の奇跡ってやつが」
ルイスは笑みを深めた。
それはいつも自分に向けられる優し気な笑みではなく悪どいものだ。
「何か考えがあるんですか?」
「……うん。さすがに俺は第三王子だからね。婚姻の儀には両陛下も兄弟王子たちも皆参加するはずだから」
王子は言った。
「そこで少なくとも僕の件はカタをつけるべきだと思うんだ」
人間いつまでも警戒して暮らすことなんかできない。
精神がすり減ってしまう。
王様みたいな警戒を他人にさせることが可能な地位の人ならきっと別なのだろうけど、今の人員じゃ無理だ。
それに俺はどうしても平民の考えかたをしてしまうので、自分の代わりに誰かが毒に倒れるみたいなのは受け付けない。逆にそちらの方がストレスになる。
だから、ルイスが婚姻の儀でカタをつけたいというのならそうしようと思う。
多分こちらの仕掛けも早められた結婚には間に合うだろう。
「で、兄王子も覚悟を決められたんですか?」
「なんていうか、完全に騙されてたよね。
自分の兄があんな性格だって僕知らなかったし」
そう言ってルイスは笑う。
聖女が気弱な少女ではないように第二王子にもきっと別の顔があったのだろう。
「大丈夫。そちらもきちんと進めてるよ。
それに兄は何年も前から準備をしてきたみたいだから」
僕が呪いで卑屈になってる間も兄は一人で不条理と戦っていたのにね。
とルイスは言う。
「いや、あの状況では無理でしょ」
体を蝕まれる呪いと、あの貴族たちの蔑む目。誰がどう頑張ったって無理だろう。
俺が言うと「シキは本当に優しいね」とルイスは言った。
彼が何故俺に優しいと言ったのかはよく分からなかった。
「指輪の準備を早めないといけないですね」
「うん。それと婚姻の儀でいくつかお願いがあるので、準備をしてほしんだけど」
ルイスがこちらを見てほほ笑んだ。
最近呪われた第三王子の体調が少し良くなっているという話が王宮ではされている。
実際、ルイスは元気になっている。
呪いはも無いのだから当たり前なのだけれど、それが気に食わない人間が多数王宮にはいるらしい。
「婚姻の儀を早める様にとの通達があったよ」
屋敷に帰ってくるなりルイスは言った。
「誰から?」
「さあ、だれだろうね」
第三王子に命令できる人間なのだろうか。
外交などがある場合婚姻を急ぐ場合もあると聞くが相手は俺だ。急ぐ必要はどこにもない。
ルイスを早く平民と結婚させて後継者レースから追い落としたい人間がいるとみるのが、まあ正しいのだろう。
呪いを受け、平民の男との婚姻を成立させ子は望めなくなる王子。
それを急かしている人間がいる。
「へえ」
お貴族様はどろどろしていて大変だと思った。
「で、早めるんですか? 結婚」
俺が聞くとルイスは「そうだねえ」と言った。
結婚後仕事はやめなくてもいいという手筈になっている。
なので婚姻の儀とやら自体は、正直どうでもいい。
「ねえ、魔法使いじゃない人間は素晴らしい魔法についてどう考えてると思う?」
ルイスが突然そんなことを言う。
「知識と技術じゃないですか?」
素晴らしい魔法の内容が分からないけれど、大体の特殊技能はそれだ。
「ん-。違うよ。奇跡だと思ってるんだ」
ルイスはそう言って笑う。
「そして人間ってやつは奇跡ってやつが大好きなんだよ。特に愛の奇跡ってやつが」
ルイスは笑みを深めた。
それはいつも自分に向けられる優し気な笑みではなく悪どいものだ。
「何か考えがあるんですか?」
「……うん。さすがに俺は第三王子だからね。婚姻の儀には両陛下も兄弟王子たちも皆参加するはずだから」
王子は言った。
「そこで少なくとも僕の件はカタをつけるべきだと思うんだ」
人間いつまでも警戒して暮らすことなんかできない。
精神がすり減ってしまう。
王様みたいな警戒を他人にさせることが可能な地位の人ならきっと別なのだろうけど、今の人員じゃ無理だ。
それに俺はどうしても平民の考えかたをしてしまうので、自分の代わりに誰かが毒に倒れるみたいなのは受け付けない。逆にそちらの方がストレスになる。
だから、ルイスが婚姻の儀でカタをつけたいというのならそうしようと思う。
多分こちらの仕掛けも早められた結婚には間に合うだろう。
「で、兄王子も覚悟を決められたんですか?」
「なんていうか、完全に騙されてたよね。
自分の兄があんな性格だって僕知らなかったし」
そう言ってルイスは笑う。
聖女が気弱な少女ではないように第二王子にもきっと別の顔があったのだろう。
「大丈夫。そちらもきちんと進めてるよ。
それに兄は何年も前から準備をしてきたみたいだから」
僕が呪いで卑屈になってる間も兄は一人で不条理と戦っていたのにね。
とルイスは言う。
「いや、あの状況では無理でしょ」
体を蝕まれる呪いと、あの貴族たちの蔑む目。誰がどう頑張ったって無理だろう。
俺が言うと「シキは本当に優しいね」とルイスは言った。
彼が何故俺に優しいと言ったのかはよく分からなかった。
「指輪の準備を早めないといけないですね」
「うん。それと婚姻の儀でいくつかお願いがあるので、準備をしてほしんだけど」
ルイスがこちらを見てほほ笑んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
183
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる