僕の輝ける伴星

渡辺 佐倉

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本編

第二王子1

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第二王子の隣には聖女が、聖女のための正装をまとって静かに寄り添っている。

「陛下、この場で報告したいお話が御座います」

国王にむかって言う第二王子はいつもに比べて理知的な話し方をしていた。
王妃は驚いた顔をしていて、国王はふむと何かを考え込む表情を一瞬浮かべていた。

「第三王子の呪いの話か?」
「いえ。もちろんその話もございますが、第一王子と公爵令嬢が共謀してわたくしと弟を謀殺しようとした件でございます」


第二王子が婚約を破棄したあの令嬢の家門が屋敷で毒をもったことまではつかんでいた。
それが第一王子と関係しているとは今の今まで聞かされていなかった。

思わず第二王子をにらみつけてしまうが、彼はどこ吹く風だ。

「ほう。本日このめでたい日にわざわざ余に聞かせる話なのだな」
「勿論でございます。
……やはり、陛下は第三王子が望んだ婚姻だと聞かされているのですね」

最後に言われた言葉が引っかかった。
今ルイスがこの結婚を望んでいることは彼の言葉から理解してはいる。
けれど第二王子が言っているニュアンスは少し違って聞こえた。

まるで初めから第三王子が俺との結婚を望んていた様な言い方だ。

ルイスが俺に嘘をついていたとは思わない。
実際呪いを解かなければ今の様な関係性にはなっていないだろう。

彼が望んで婚約の話を俺に持ってきたとは思えない。
誰かに強制されたものが明らかなこの婚姻を国王はルイスの希望だと思い込まされていた。

陛下の体が一瞬固まりそれからルイスに向けられる。

ルイスは「婚姻は神の前で誓った瞬間なされております」と答えた。
それでルイスもこの事実に察しが付いていたのだと気が付く。

誓いの言葉の前に“奇跡”が起きてしまうと婚姻自体を白紙に戻されてしまう。
第三王子はそれに合ったどこかの貴族令嬢と再度婚約をするという流れになったのだろう。

ルイスはそれを阻止するためにこのタイミングにしたのだ。

「そんなに、俺と結婚したかったんですか?」

誰にも聞こえない程度の音量でつぶやくと、隣にいたルイスが「勿論」と答えた。
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