クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第2章 エリクシア

第49話 古城クリュプトン

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 僕はガレオン魔道都市出発後、神聖皇国ロギアから手紙を受け取り、秘薬エリクシアの製法が残っていると言われている古城クリュプトンへ行った。
 エリクシアの製法を見つける理由は帝国で、ある日出会った帝国調合師のシアン・ヴィッセンからの依頼、エリクシアの製作を達成するためだ。

 秘薬エリクシアは、薬の中で最も神聖な薬で一瓶飲めば不老不死となり、一滴垂らせば万病を癒やすという効果で、依頼報酬はその人の全財産、100億オロ以上だという。
 ただ別に僕はそんな大金が欲しくて依頼を達成する訳では無い。普通にエリクシアが欲しい。特に不老不死になりたいという欲は無く、万病を治せるならそれまでだ。本当に作れたらだけどね。

 というわけで僕は今、その製法の写本が残されているという古城クリュプトンの内部をガルムラルク共に手分けして捜索している。

 ここで僕はふと思い出す。秘薬エリクシアは最も神聖な薬ということで、かつて帝国を支配していたノルデン皇帝は、呪の魔式によって掛けられた不老不死の力が、エリクシアによって浄化され、間もなく死亡した。
 何故、どうして帝国はそんな薬を一つでも所有していたんだろう?

 考えられるのは、ノルデンが不老不死の力を手に入れてからだと言うことだけど。神聖皇国ロギアでさえも製法はここしかないと言っているのにどうやって作ったんだろう。

「ハク、手が止まってんぞ。考え事か?」

「あ、あぁ。ごめん」

 まぁ、今考えも僕には無関係か。僕は考え事で止まっていた手を再度動かす。

 ここ古城クリュプトンは、700年前に栄えていた城だと手紙にあった。ただ僕が知る歴史はグレイブ皇帝やレオンから聞いた300年前の出来事までだ。700年なんて途方もない話だけど、意外と此処は老朽化の進みが遅く、元から頑丈な作りだったのか、まだ建物として役割を果たしており、此処で寝泊まりするという考えを起こしても申し分ない程だ。

 更に、この城で暮らしていた人々は恐らくとっくのとうに死んでいるんだろうけど、エリクシアの製法捜索中に別の様々なものが見つかる。
 何故ここがこんなに廃れているのかは思いもつかないけど、城に置かれていたであろう調度品もまるで最近人の手が行き届いているのかと疑うほどに綺麗だ。売ればいくらか良い値段になるんじゃあ無いだろうか。
 なんてことは決してしないけどね。例え綺麗な状態で置かれていてもそれは立派な墓荒らしだ。

 そんなこんなで僕は集合した時に一気に読むつもりなので目ぼしい本や骨董品を手に取っては鞄にぶち込む。
 骨董品には文字も何も書かれていないけど、何かの手かがりになるかもしれないからだ。

 そうしていると、僕は一つだけ他と比べてやけに小奇麗な扉を見つける。扉の周りだけ不自然に埃や瓦礫が無く、正に最近人が出入りしていることが分かる扉だった。
 僕はその扉のドアノブに手を伸ばし、そっと中を覗くようにして扉を開けてみる。

「え?」

 この古城は全体的に全ての部屋が廃墟のような汚さに対し、この扉の奥の部屋は本当に当時の城そのままが残っているかのように綺麗な部屋が作られていた。
 そして、中には一人のお爺さんが椅子に座って、片手にルーペを持ちながら、何かをまじまじと見つめていた。

「客人か……良い。入りたまえ」

「……君は誰だい?」

「ホッホッホ……外から勝手に入ってきた人間が、住人に対して誰? とは面白いことをいう者じゃのぉ」

 お爺さんは歳は既に100歳を超えているかのような皺の深い顔で、何十年も剃っていないであろう白髭が机の下まで伸び、白髪も背中から椅子の背もたれを超えて床に垂れ下がっていた。
 片手に持つルーペも小刻みに震えていた。

「儂は、マルクス・アンドレー。歳は既に730歳を超えておる。種族は人間じゃ」

「人間で730歳!? もしかしてこのクリュプトンが栄えていた時代より前に生きていた住人? でもどうして生きてるんだ?」

「簡単な呪いじゃよ。儂の生は80歳くらいで終わるはずだったんじゃ。しかし、60歳くらいの時に妙に研究に燃えてしまってのぉ。そうしたらいつの間にかこんなにも長生きしてしまった。
 呪いの元凶はエリクシアという不老不死の力を与えるとされる薬じゃ。
 エリクシアはクリュプトン最初の最高の宝であり、クリュプトンを200年という年月を掛けて終わらせた最悪の宝なのじゃ。
 もう詳しくは覚えておらん。だから儂らは、エリクシアの製法をクリュプトンの地下深く。アルカーナ大迷宮に封印した……。
 突然長ったらしい昔話をすまんのぉ。700年もの年を超えてもまだ残る古城に訪れた若者に、どうしても伝えたかった話なんじゃ……」

「あぁ、うん」

 お爺さんにとってはしがない昔話のつもりのようだが、僕は思わぬ所でエリクシアの製法保管場所を知った。クリュプトンの地下深くアルカーナ大迷宮。恐らく先程見つけたあの地下への入り口が大迷宮の入り口なんだろう。

「もし、この生を終えられるというのなら本望じゃのぉ……」

「ありがとう。丁度エリクシアを探していた所なんだ」

 僕はそそくさとその部屋をでて、古城クリュプトン前の集合場所へ向かった。

◆◇◆◇◆◇

「お前ら、何か見つけたか?」

「とりあえず役に立ちそうな本は掻っ攫ったっすけど、特に何にも見つかりませんでしたねぇ」

「僕は見つけたよ。エリクシアはさっきの地下の先に有るらしい。証拠になる本は無いけど、当事者から話を聞けた」

「は? 当事者? 何言ってんだお前……」

「えーと、そうメモ書きがあったんだ。当事者の」

 700年前のクリュプトンの住人が生きていたなんて話たら、説明が面倒そうなので、簡単に済ませた。ただそんな説明が最もしっくりくるようで、すんなりと信じてくれた。

 そういう訳で、僕とガルムラルクの皆とで、さっき入り口の瓦礫を吹っ飛ばした、地下への入り口。アルカーナ大迷宮へ行った。
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