クラス転移で一人だけ地味スキル【回避】が無能だと判断され理不尽にも追放された男の復讐劇

Leiren Storathijs

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第2章 エリクシア

第55話 強敵

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 僕は何とか因縁の魔物を倒し地下51階へ下りる。この先の魔物はたまたま50階に居座っていた魔物が化け物だった訳か、黒騎士ガウェイン程に強くは無く、黒騎士の強さと比較する価値も無いほど手応えのない魔物ばかりだった。

 地下50階以降、地下60階までの魔物はゴーレム種で、ストーンゴーレム、ロックゴーレム、マジックゴーレムと続き、地下60階ではかつて戦ったエンシェントゴーレムが居た。
 全てのゴーレムは必ず体を形成・維持するための核が埋め込まれているので、攻略法は事前に知っていた。

 次に地下60階から70階までは異形種と呼ばれ、分かりやすく言えばクリーチャーだ。元の姿は人かも分からない程に変形し不気味な姿に成り果て、最悪なことに物理・魔力耐性持ちで単純な火力勝負となった。

 そうして最下層だと言われる地下100階まであと20階の地下80階にて、もしかしたら4体の魔物よりも厄介なのではないかと思う程の魔物が現れた。

 ガルムラルクでも名前は不明。
 見た目は全身金属で形成された骸骨だ。骨ではなく鋼鉄。造語で『鋼骸こうがい』と名付けても良いかもしれない。
 ただ魔物の墓場であるアルカーナ大迷宮にいる時点で地上に存在した魔物であるのも確か。
 レオンは、とりあえず呼びやすいように『アロイ』と名付けた

 アロイは僕らと対峙してもただ動かずじっとしており、鋼鉄の体からは確かな熱があった。それをまるで排熱しているのか、常に頭部の口から蒸気をプシューという音を鳴らしながら発しており、いつまでも続く沈黙がただの魔物では無いことを表していた。

「何なんだよコイツ。さっきから動かねぇぞ?」

「レオン、油断しない方が良い……あいつからは何故か不思議なほどに魔力を感じない。魔力を持っていない生物が存在するなんて……」

「つまり、物理も魔式も上等ってか? 面白えじゃねぇか」

 アロイは暫くすると遂に動き出す。アロイの体は全身鋼鉄だが、関節部だけは少しだけ隙間があり、全関節の隙間が急に赤く光り出す。
 次に全身の隙間から1回蒸気を勢いよく吹き出すと、両拳を構え戦闘態勢に入る。

「来るぞ!」

 レオンがアロイの戦闘態勢に声を上げた時だった。アロイは特に声を上げることなく、助走なしで突進を仕掛けてきた。

「俺様に任せろ! 来いやああああ!」

 レイはレオンの前に立ち大盾を構える。叫び声を上げながらアロイの突進を防ごうとする。
 が、その防御はアロイの突進に容易に崩されてしまった。

「は?」

 完全にガードを破られ、大盾を弾かれたレイにアロイの重い左拳によるボディーブローが腹部を抉る。

「がっは……!?」

 大盾の役割を持つ鍛え抜かれたレイの体でさえも、あまりの衝撃に宙に浮く。アロイは更に拳を叩き込む。
 アロイは宙に浮いたレイの体に一歩踏み込むと、左右の拳で交互に高速4連撃を入れ、最後にストレートでレイの腹部を打ち込んで吹き飛ばす。

「……ッ!?!?」

「レイ!? しっかりしろぉ!」

 素人の僕には辛うじて見えた綺麗すぎる一連の攻撃だった。その一連だけでレイは白目を向いて気絶していた。

「おいおい冗談じゃねぇぞコイツ……お前ら! コイツはマジのやべぇ奴だぞ! 魔物等級はSSSかその+も超えるかもしれねぇ……! 攻撃は避けろ!! 一撃でも食らえば死ぬぞ!」

「速さならオレも負けねえっすよ!」

 レイが吹き飛ばされた次はテツがアロイに攻撃を仕掛けた。懐に滑りこめば、ダカーで胸部を一閃。高い金属音と火花が散る。
 そこから攻撃を止めずにアロイの背後に回り込むと後頭部を一突き。ただしテツのダガーはアロイの硬さに弾かれまた火花を散らせる。

「まだだ!」

 それから更にトリッキーでアクロバティックな動きをしつつテツは何度もアロイに攻撃を加えるが、全て火花が散るだけに、アロイはその場から一切動かなかった。
 そして次の瞬間、突然テツは真横の壁まで吹き飛ばされる。僕は見逃さなかった。アロイが強烈な回し蹴りでテツのダガーごと蹴り飛ばす瞬間を。

 ははは、蹴り一発であの威力か。これは本当に黒騎士より厄介かもしれないな……。

「テツ!!」

「ゲホッケホ……リーダー。オレは大丈夫っす……」

 しかも基本動かないから次の攻撃が予測出来ないときた。そう言えば黒騎士戦の時に皆覚醒したよな? あれでもどうにかならないっていうのかい?

「レオン。黒騎士の時に使ったアレは? また使えるか?」

「あぁ、あれか。あれはエリクシアの活性化の時の魔力を存分に使った技だからなぁ。あれほどの魔力を補給できる他の方法があればいいんだがなぁ」

 ……。んーリアクターブレードが使えるだろうか。あくまでもこの武器は使用者の魔力値を威力に変換させる物で、逆変換は出来ない。
 ただし、変換できる装置だと考えれば、分解すれば或いは……。

「コール。これ、使えないかな?」

「リアクターブレード? まさか武器の機構を逆に利用するっていうのか? 出来なくはないと思うけどエリクシアの魔力に届くかは……」

「要は魔力を変換してくれるんだろう? ならそれをレオンの武器に装着すれば、直接魔力を渡せるんじゃないかなーって」

「なるほど……ガレオン製の武器とは僕らの知る技術を遥かに超えてるからね。素人の考えが通用するかわからないけどやってみようか」

 僕はコールにリアクターブレードを渡すと、コールはリアクターブレードの柄の部分を分解し、なんだかそれらしい部品を取り出す。
 形は丸く透明の球体でビー玉くらいのサイズ。ただプラスチックでもガラスでもない素材で、強いて言えばパチンコ玉の硬さがある。

「で? これをレオンの武器の何処につけるんだ? アクセサリーとか装着することを前提につくられていないからな。あの武器は……」

 僕はコールから玉を取ると、レオンに投げる。

「多分この硬さなら行ける! レオン! この玉を大剣に押し込んで!」

「は? 何だ急に。これを大剣に? 分かった……ふん!」

 玉は僕の想像したとおりになった。触るだけじゃ分かりにくいが、何れ莫大な魔力を変換出来るように、あの玉はとんでもない強度を持っているらしい。
 つまり、それだけ硬いなら大剣の腹に押しこむくらいなら、逆に大剣が凹むだろうと考えた。

 玉はレオンに大剣にめり込み、取り出せなくなってしまった。

「なんだこりゃ!? 外れなくなっちまったぞオイ!?」

「よし、コール! ありったけの魔力をレオンの大剣に!」

 そんな計画を立てた矢先、またアロイの体は赤く光りだし戦闘態勢をとっていた。まずい、早くしないと!

「全く……僕の魔力が尽きたら、レオンも失敗すれば離脱することになる! どうにでもなれ!」

 一体コール一人の魔力はどれだけあるのか。コールが魔式ではなくただ単純に魔力をレオンの大剣へ流し込むと、なんとエリクシア以上のオーラの輝きを見せた。

「おぉ、良いぜぇ。やってやるよぉ! うおおおおぉ!」

 レオンの大剣からは真っ赤な炎のようなオーラが吹き出す。そして上段の構えを取る。
 その瞬間、アロイもレイを吹き飛ばしたときのような突進を仕掛ける。

「ぶっ潰れろおおおおおぉぉ!!」

  レオンが大剣を振り下ろすと同時にアロイの鉄拳がレオンの鳩尾を打つ。
 直後叩き込まれるは、レオンの大剣がアロイの頭部をかち割ろうとする。

 これはどっちからくる衝撃なのか、赤い閃光を撒き散らしながら、僕たちの方へ爆発的な衝撃波が襲う。
 しかしその赤赤とした光は途中で中断される。残ったのは衝撃波で。ふとレオンの方を見れば、大剣は勢いよく弾き飛ばされ天井に突き刺さり、レオンは口を大きく開けて白目を向き、地面に倒れた。

 そんなアロイの拳はモクモクと煙を吹き、その様子で拳の一撃でレオンを沈めたのだと分かってしまった。

 マジで化け物の中の化け物だ。リアクターブレードも使えない。レイとレオンは気絶し、テツは重傷。コールは魔力切れで戦闘離脱。残るはジンとレイクしかいない。
 本当に勝ち目が見えない。突破口も真っ暗だ。どうしたらいいんだ……?
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