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【1章】断食魔女、森で隠遁生活を送る
5.神官様は誑しのようです(1)
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それから、男は三日と開けず、我が家を訪れるようになった。
「なに? 神官様って暇なんですか?」
歯に衣着せずそう言えば、彼は機嫌よさげにニコニコと微笑む。
「そんなまさか! 人々から寄付を得るための活動も必要ですし、朝夕のお祈りも欠かせません。神殿をピカピカに磨き上げる必要がございますし、マリア様のお世話も担当させていただいています。かなり忙しい生活を送っていますよ?」
「だったら、こんな所で油を売っていないで、早く神殿にお帰り下さい。あなたが来るたびに食事を抜くから、こっちは迷惑しているんです」
ハッキリ『迷惑』と言葉にすれば、彼はキョトンと目を丸くした。
「迷惑?」
「ええ」
「この私が?」
「そう言っています」
これまで女に邪険にされた経験が無かったのだろう。男の表情は、信じられないものを見るかのように見開かれていた。
「これでも神殿の稼ぎ頭なんですがねぇ……」
「稼ぎ頭?」
神に仕えている身の癖に『稼ぐ』とは何事だ。大体神官って言うのは国に雇われている公務員でしょう? 公務員って言うのは市民全体の奉仕者として、金稼ぎなんて考えちゃいけないって相場が決まっているでしょうに。
眉間に皺を寄せれば、彼はふふ、と微笑んだ。
「なに? 神官様って暇なんですか?」
歯に衣着せずそう言えば、彼は機嫌よさげにニコニコと微笑む。
「そんなまさか! 人々から寄付を得るための活動も必要ですし、朝夕のお祈りも欠かせません。神殿をピカピカに磨き上げる必要がございますし、マリア様のお世話も担当させていただいています。かなり忙しい生活を送っていますよ?」
「だったら、こんな所で油を売っていないで、早く神殿にお帰り下さい。あなたが来るたびに食事を抜くから、こっちは迷惑しているんです」
ハッキリ『迷惑』と言葉にすれば、彼はキョトンと目を丸くした。
「迷惑?」
「ええ」
「この私が?」
「そう言っています」
これまで女に邪険にされた経験が無かったのだろう。男の表情は、信じられないものを見るかのように見開かれていた。
「これでも神殿の稼ぎ頭なんですがねぇ……」
「稼ぎ頭?」
神に仕えている身の癖に『稼ぐ』とは何事だ。大体神官って言うのは国に雇われている公務員でしょう? 公務員って言うのは市民全体の奉仕者として、金稼ぎなんて考えちゃいけないって相場が決まっているでしょうに。
眉間に皺を寄せれば、彼はふふ、と微笑んだ。
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