アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

文字の大きさ
267 / 718
Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.1-56 じわりと染み込む、常識へ

しおりを挟む
…ドラゴノイドがすぐに実装されたことは広まったが、結果として一部の職業のプレイヤーが物凄く大変なことになってしまった。
 何しろ、種族説明としては人形に憑依したドラゴンとなっており…その人形に対して、特に物凄く制約がかかっているとかいうものがない。
 つまり、使用人のようなものにかぎらず、人形の該当しそうなぬいぐるみやおもちゃのロボットのような類でも人形扱いになるようで…

「『彫刻格闘家』、『裁縫糸使い』、『スチームタンクマン』などの、人形のようなものを生み出せるプレイヤーへ、滅茶苦茶生産依頼がかかっているか…」

 ネットでアルケディア・オンラインのニュースを確認すれば、人形のようなものを作り出せる職業のプレイヤーへ対して、ドラゴノイドの実装を知った人たちが生産依頼を押しかけているらしい。
 何しろ、どのようにして憑依するかはまだ解析できていないところもあるようだが、自分にとって好ましい人形がテイムモンスターとなれば、かなり嬉しい人々は多いだろう。
 ゆえに、その情報を確実に得る前に自分好みのものをまずは備えておこうということで、生産可能なプレイヤーへの依頼が一気に出てきたらしい。

 おかげでALは稼げるが、忙しくなってしまうプレイヤーも多かったようで、事態を甘く見ていたかもしれない運営は急遽ドラゴノイド対策用のショップを開設することを決めたらしい。
 それまでに憑依方法などの条件は出てくるだろうが…当分のあいだは、生産職のプレイヤーたちは物凄く忙しそうである。

 一応、ハル自身も「モンスター・アルケミスト」や「糸使い」などの生産系に関わる職業はあるとことはあるが、こちらは別に人形を作るようなこともないので特に何もない。
 しいていうのであれば、出回る人形制作依頼の完成予想図等を見たりする際に、黒き女神に近いものなどを見るのだが…気のせいだと思いたい。変な信者、獲得していないよな?




 そんなことはさておき、ドラゴノイドに関しての情報だが、誕生原因にも関わってしまった部分もあるので、少々性能に関して流したりはした。
 もとになった人形の性能に準ずるところもあるようで…

「というわけでシア、口からの濃縮レーザーとか、指から弾などは出さないようにしてね。割とシャレにならない威力で備え付けられていたようだし、使うとしたら本当に不味い状況の切り札で頼むよ」
【ピャァァイ!!】

 適当な人気のない星で、性能確認をしてみたが…運営のほうで調整などもされているだろうが、元々その体を改造しまくって生み出した中三病さんのせいか、無茶苦茶な武器が装備されていることが判明していた。
 あの人、下手すると本気でティラリアさんを葬る気だったのだろうか…それにしてはこの武器を使っていなかったことが気になるが、備え付けた本人自身が不味いと思って自重したのだろうか。

 何をどう改造したら、口から出るレーザーが山を貫通したり、某妖怪の指鉄砲みたいな攻撃で岩がハチの巣になるような代物へ仕上がるのか意味が分からない。
 ゴスロリ衣装の衣服のほうも仕掛けが施されているようで、裏面にあるボタンを押したりして隠し武器が飛び出たりするとか、何を目指していたのだろうか。
 
 ああ、もしかすると決闘としての形で完全勝利を考えつつも、相手を消し飛ばしたら意味がないと思って、多少は制限をかけていたのかもしれない。
 そう考えると使用しなかったのは英断だったのだろうが…もう少し細かいスペックを聞きしておけば良かったなぁと、現在姉弟水いらずの旅路のせいで連絡が取れない中三病さんに対して思う。
 もしもまだ命があるなら、再会の希望があるだろうし、それまで生き延びてくれるように願うしかなさそうであった…

【ふむ、使用人ボディ素体としても、性能が高かったものが使用されていたようですが…だいぶ調整はされてますネ】
「え?これで?」
【ドラゴン成分が混ざって、性能が向上したのものあると思われマス。まぁ、圧倒的破壊力の反面、使用したらバランス調整のためか、HPなどががっつり持っていかれるデス】

…強すぎる分、使うならではのデメリットも用意はされているのか。
 でもそれ、バランス取れているのかな?今後のアップデートで、調整されることを望みたい。


【ああ、それと主様。トーカ様よりメールが来ております】
「おや、妹から?珍しいような…え?父さんに関しての話?」

 あのウルトラ筋肉ゴリゴリマッチョ馬鹿な父さんに関しての話を、妹が出してくるのは珍しいような、何か嫌な予感が…
しおりを挟む
感想 3,603

あなたにおすすめの小説

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

(更新終了) 採集家少女は採集家の地位を向上させたい ~公開予定のない無双動画でバズりましたが、好都合なのでこのまま配信を続けます~

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
突然世界中にダンジョンが現れた。 人々はその存在に恐怖を覚えながらも、その未知なる存在に夢を馳せた。 それからおよそ20年。 ダンジョンという存在は完全にとは言わないものの、早い速度で世界に馴染んでいった。 ダンジョンに関する法律が生まれ、企業が生まれ、ダンジョンを探索することを生業にする者も多く生まれた。 そんな中、ダンジョンの中で獲れる素材を集めることを生業として生活する少女の存在があった。 ダンジョンにかかわる職業の中で花形なのは探求者(シーカー)。ダンジョンの最奥を目指し、日々ダンジョンに住まうモンスターと戦いを繰り広げている存在だ。 次点は、技術者(メイカー)。ダンジョンから持ち出された素材を使い、新たな道具や生活に使える便利なものを作り出す存在。 そして一番目立たない存在である、採集者(コレクター)。 ダンジョンに存在する素材を拾い集め、時にはモンスターから採取する存在。正直、見た目が地味で功績としても目立たない存在のため、あまり日の目を見ない。しかし、ダンジョン探索には欠かせない縁の下の力持ち的存在。 採集者はなくてはならない存在ではある。しかし、探求者のように表立てって輝かしい功績が生まれるのは珍しく、技術者のように人々に影響のある仕事でもない。そんな採集者はあまりいいイメージを持たれることはなかった。 しかし、少女はそんな状況を不満に思いつつも、己の気の赴くままにダンジョンの素材を集め続ける。 そんな感じで活動していた少女だったが、ギルドからの依頼で不穏な動きをしている探求者とダンジョンに潜ることに。 そして何かあったときに証拠になるように事前に非公開設定でこっそりと動画を撮り始めて。 しかし、その配信をする際に設定を失敗していて、通常公開になっていた。 そんなこともつゆ知らず、悪質探求者たちにモンスターを擦り付けられてしまう。 本来であれば絶望的な状況なのだが、少女は動揺することもあせるようなこともなく迫りくるモンスターと対峙した。 そうして始まった少女による蹂躙劇。 明らかに見た目の年齢に見合わない解体技術に阿鼻叫喚のコメントと、ただの作り物だと断定しアンチ化したコメント、純粋に好意的なコメントであふれかえる配信画面。 こうして少女によって、世間の採取家の認識が塗り替えられていく、ような、ないような…… ※カクヨムにて先行公開しています。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

つまみ食いしたら死にそうになりました なぜか王族と親密に…毒を食べただけですけど

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私は貧しい家に生まれた お母さんが作ってくれたパイを始めて食べて食の楽しさを知った メイドとして働くことになれて少しすると美味しそうなパイが出される 王妃様への食事だと分かっていても食べたかった そんなパイに手を出したが最後、私は王族に気に入られるようになってしまった 私はつまみ食いしただけなんですけど…

異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味
ファンタジー
※完結しました。感想をいただけると、今後の励みになります。よろしくお願いします。 これは、今まで暮らしていた世界とはかなり異なる世界に移住することになった僕の話である。 ようやく再就職できた会社をクビになった僕は、不気味な影に取り憑かれ、異世界へと運ばれる。 気がつくと、空を飛んで、口から火を吐いていた! これは?ドラゴン? 僕はドラゴンだったのか?! 自分がドラゴンの先祖返りであると知った僕は、超絶美少女の王様に「もうヒトではないからな!異世界に移住するしかない!」と告げられる。 しかも、この世界では衣食住が保障されていて、お金や結婚、戦争も無いというのだ。なんて良い世界なんだ!と思ったのに、大いなる呪いがあるって? この世界のちょっと特殊なルールを学びながら、僕は呪いを解くため7つの国を巡ることになる。 ※派手なバトルやグロい表現はありません。 ※25話から1話2000文字程度で基本毎日更新しています。 ※なろうでも公開しています。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

処理中です...