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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.0-21 経費のくくりとは

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…神聖独立幼女讃美歌楽園島国家ロリタニアティスランド。
 それは、何をどうしてか無駄に技術やら財力やら、色々と持っている人たちが一つの目的で結集し、作り上げてしまった人工の島にして、一つの国としても成立してしまったところである。

 太郎丸の移籍した海外支店及び、欲望戦隊(現実の姿)がいる可能性の高い島国。
 そんな場所へ向かう予定はなかったのだが…本日はその予定を付けられて、出張の名目で今、鏡面ののじゃロリことアティの前に呼ばれていた。

 かくかくしかじかと話を聞き、どういう理由でここに出張の名目で呼び出されたのかと聞けば、その内容に頭が痛くなりそうだ。

「そんな場所への出張が上層部より何で来たのかと思えば…その、なんだ。変態神が原因だと?」
「うむ、そうなのじゃ…」

 頭が痛くなるというか、滅茶苦茶関わりたくなかったというべき事態がこの島国で起きていた。
 物凄く単純明快な話でもあるが…変態神がここに顕現し、封印されているらしい。

「何をどうして、現実の世界に出てこられたのかはわからぬ。ただ一つ言えるのは、現在進行形でこの島の奥深くに作った封印の間に、欲望変態ごと封じているのじゃよ」
「なんでそんな変態神が出ているのかなぁ…あと、それだと変態に変態が混ざって、蟲毒となってよりやばい変態が爆誕しないか?」
「その可能性は否定できぬ…やっちまったと思ってしまったのじゃが、後の祭りじゃよ」

 何をどうしてなのか、現実世界へ進出したという、ネットの海でも噂されていた変態の神、変態神。
 いや、別に言い直さなくても名前の通りの神らしく、関わること自体を極力避けなければいけない相手だという。

 だがしかし、何をどうしてかその神が顕現してしまい、変態の蟲毒という地獄のような状況が生まれているというのだ。

 これだったらまだ、人を呪うために作られた呪術濃度の高い蟲毒のほうが健全なのかもしれない。
 変態の蟲毒は毒を上回る凄まじいものになりそうだし、不健全どころか世界そのものにR18の烙印が刻まれそうだ。

「それ、下手したらさらに不味いことになりそう…世界を変態の腐海にでも沈める気か?」
「そんなおぞましい事態を引き起こす気なんぞ、さらさらないのじゃが!!」

 それもそうである。
 まぁ、この目の前にいるアティに関しては過去にかなりやらかしていたが…今はどうにか更生しているので、問題はないだろう。
 更生先が重度のロリコンどもが多い国になってしまったというのは、その時にやらかした代償というべき点は目をつむるとして。




 とにもかくにも、ここに呼ばれたのはそんな世界終末の事態が引き起こされかねないことの話だけではないようだ。

「それで、その変態神の強制送還のために…黒き女神の力を借りたいってことか」
「そうなるのぅ。悲しいかな、一応あの欲望変態戦隊共もそれなりの実力があるはずなのじゃが…それでも、封印の場所で一緒に封じられるザマじゃ」

 ふざけたというかあってほしくないというか、そんな名前の変態神とはいえ、神の名が付くだけあって無茶苦茶なものらしい。
 それゆえに、並大抵の者たちでは対応しきれず…ならば「目には目を、歯には歯を」の理屈で、「神には神を」あてるしかないと言うことになったようだ。

「その神系の中で、一番話が分かりそうなのは誰かと考えて…お主しかいないじゃろうと思ったのじゃよ。なぁ、黒き女神よ」
「…一つ聞くけど、そのことは他の変態共には?」
「わかっていないじゃろうなぁ。奴ら、何かと己の欲望に関するセンサーの感度は凄まじいというのに、近くにいる者には鈍そうじゃ。ああ、一応マッチョンも理解しているようじゃが、迂闊に話に出すこともないじゃろう」

 黒き女神に関しての正体を、彼女たちは理解していたようだ。
 欲望戦隊に悟られていないのは良いのだが、目的としてはその力か。


「幸い、フィギュアに関してとかは問題ない。既に、運営のほうに話を付けているのじゃ」
「なるほど…動作環境とかも、確保しているってことか。…一応聞くけど、使ってすぐにバレることはないよね?」
「大丈夫じゃ。万が一に備えて、記憶改竄手段もあるからのぅ。ほれ、これで後頭部をガツンと」
「物理的なそれはどうかと…」

 だが、四の五の言っている場合ではないというのは理解できるだろう。
 たとえ、欲望戦隊がいたとしても、変態の神が世に解き放たれるような事態は絶対にさけないといけないのだ。

「だからと言って、黒き女神でもどうにかなるかなぁ」
「むぅ、それもそうじゃよな。特に女神じゃと変態と相性が悪そうでもあるがのぅ…」

 人の業の果ての果てにある、変態の神髄。
 それその者だと言えるような神を相手に、黒き女神…女神が相手にできるのかと不安なところもある。
 正直、絶対にろくでもない目に遭う可能性もあるからなぁ…何とかして避けなければ。

「あ、そうだ。助っ人、呼んでもいいかな?」
「む?別にいいが、というかいる方がより助かるのじゃが…対応できそうなやつがそんな簡単に呼べるのかのぅ?」
「いるよ。偶然というか…あ、もしかしてこういう可能性があって、出てきたって…あり得そうな話かも」

 アティが疑問符を浮かべたが、問題はないはず。
 こういう時のために、もしかしたらアレは出てきたのかもしれない。

「カイニス、いるか?ここにちょっと来てほしい」
【---ハイ!!ココニ推参シタゼ!!】
「うおっ!?」

 呼びかけてみたところ、一瞬で天井裏からカイニスが飛び出してきた。
 出張の際に、家のほうにミーちゃんに任せておいて来たはずだが…眷属だけあって、どうやらすぐそばに潜んでいたらしい。

「詳しい説明は後にするとして…それじゃ、さっさと煮詰められた変態が世に出てくる前に、潰すか」

 事情を聴き、世へ蟲毒によって濃縮された変態が解き放たれるのを避けるために、春は動くことに決めた。
 相手が何であろうとも、絶対に避けなければいけない事態。

 それを防ぐために、すぐに行動に移すのであった…

「なんか、思ったよりもあっさり承諾してくれたのぅ」
「流石に、煮詰められた変態が世の中に爆誕するのは嫌だしね。そんなの、絶対に僕/が面倒な事態に巻き込まれるのが目に見えているからなぁ…」

「…ん?」

…ふと、アティは今の言葉に少しだけ、何か違和感を覚えた。
 けれども、聞き間違いかと思い、気にしないことにするのであった。
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