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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.1-118 どこかで似たような人は、量産されてまして

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 コスプレイベントが突然の襲撃によって、中断されてしまったのは悲しむ事件だろう。
 運営のほうに既に多くのプレイヤーから通報が入っており、現在全力で捜査中という話も聞く。

「元凶は運営のほうに任せるとして…今回誘われたのは、この海域か」
「ああ、そうだべそうだべ。ここはたどり着くまでにちょっと、大嵐が渦巻く海域にあるから、並の魔導船ではたどり着けないところなのだべ」
「一応、こちらも前線・攻略組を名乗る以上、乗り込めるだけのスペックを持った魔導船にしていたけれども…」
「最後のほうに、明らかに頑丈過ぎる壁があって、攻撃力が足りずいったん撤退している状態になっていたのよねぇ」

 宇宙空間を進む中、同行しながらグランプさんたちと通信を行い、確認していく。

 今回、イベントを邪魔された憂さ晴らしということで、暴れられる場所を探してみた結果…どうやら現在、彼らが挑んでいるとあるエリアに向かうことにした。

 こうやって一緒に目的地へ向けて進むのは、結構久しぶりの事。
 しかも、前とは違ってミーちゃんや増えたテイムモンスターたちがいるため、戦闘自体は楽に進む可能性はある。


 だがしかし、そうは問屋が卸さないというべのか、どうやら今回の目的地はそう簡単に辿り着けるところにはないらしい。




 宇宙空間で嵐というのは妙な話っぽいが、そう表現できる状態になっている場所があるらしい。

「それがこのエリアか…海の上じゃないのに、何か物凄く大きな竜巻がいくつもできていたり、紫電の様なものが見えたりと、中々荒れた様子だね」
【分析したところ、近くに…いえ、正確に言えば何光年か離れた距離にあるためここからでは視認が難しいですが、活動が活発な星がいくつも周囲にあり、それらの磁場などに影響されて、荒れた宙域が出来上がったようですネ】
『電磁波の大嵐…しかも、機械類に影響するだけではなくて、宇宙空間ではあまり感じない風の流れもできて、並の船だと耐えきれないものになってますネ』

 地上の嵐と似たような状態になっているようで、並大抵の船では巻き込まれ、あっという間に轟沈する可能性があるらしい。
 グレイ号自身も相当強化しているとはいえ、少しだけ舵を握ってみれば操船がはるかに難しい環境になっており、まともに動かすのは厳しいだろう。

『ですが、元海賊船にとってはこの程度、場所が海水の海から星の海に変わった程度でもこの嵐ならば問題なく、動けるのデス!!』

 ぶぉぉぉぉっと汽笛を鳴らし、グレイ号自身が操船し、嵐の中を突き進む。

 帆船ではないので風を受けず、エンジンの出力を上げて豪快に波に乗る。
 途中まではグランプさんたちの船も何とかついてきていたが、流石にこの先へ向かう前に消耗を避けるということで船に収納し、さらに先へと向かう。

「ふぅ、ここまでは何とか来れても、この先で何度轟沈したのやら…」
「今回はハルさんの船があってよかったのだぜー」
「この大嵐の先のエリアは、まだ未開拓になっているようで突破したかったのだけれども、本当に難しいのよねぇ」

 他のプレイヤーたちも何度か挑み、敗れ果てた大嵐の海域。
 進むだけであれば何とか行けたが、その最後のほうに大きな壁があるという。

『レーダーに反応有リ。どうやら、海域の出口に壁が確かにあるようデス』
【なるほど…どうやら、嵐の中で岩石等が混ざり合って、出来上がったもののようですネ。海域の流れの出口に塞ぐような形にあるようデス。ふむ、ワープなどの突破手段がありそうでしたが、あの壁自体が空間に影響を与え、出来ないようにしているらしいデス】

 目視できる距離にまで近づいてみれば、確かにこの大嵐の中、光が差し込むような出口には巨大な壁があった。

 回り込みたくとも周囲の嵐がさらに強く発生しており、ワープなどの回避手段も取れない以上、何の手立てもない船ならば勢いに乗って激突する危険もある。


…だが、それはまともな船であればの話。
 言いかた的にもうちょっとマシなものがあったかもしれないが、魔改造されまくって普通じゃない船だからこそ、やれることがある。


「グレイ号、主砲であの壁をぶち壊して進めるか?」
『…主砲及び、特殊兵装のラムを出し、エンジン出力全開で突っ込めば可能デス。激突と同時にぶっ放して、破壊できそうですが…まぁ、タイミングを間違えればこちらが粉々になる可能性があるでしょウ』
「なるほど…それで、やれるか?」
『おや、マスター。成功率は聞かないのですカ?』
「こういう時は、聞くのが野暮になるだろ」
『それもそうですネ。本当は半々と言いたいぐらいですが…信じられているのであれば、その期待に応えて見せましょウ!!エネルギーリング、エネルギーを推進力へ転換!!艦首付近艦艇部解放、突撃戦法用ゴッデスメタル製ラム用意!!」

 ガゴガンっと大きな音を立て、以前にも出した巨大なラムが解放される。
 周囲の星の流れも速くなり、艦の速度が上昇していくのが目に見えるだろう。

『エンジン出力全開、オーバーブースト作動!!艦首より強化攻撃用コーティングエネルギー放出及び主砲発射用動力伝達完了!!』

 すさまじい勢いで、まるで彗星のように船が輝きはじめ、嵐の終点の壁へ向かう。

『主砲回路接続、誤差修正+0.002、-0.001、次元カートリッジ弾も同時装填、エネルギー弾とほぼ同時に射出用意!!』

 主砲が動き、狙いを先へ定める。
 ラムでの突撃だけでは足りない突破のための一撃を、撃ちだすために。

『発射、3秒前、2、1…発射ぁぁぁぁぁぁ!!』

 直撃する、そのほんのわずか一瞬の間。
 そこに、主砲が火を噴き、強烈なエネルギーを放出し壁に着弾する。
 その着弾地点が爆裂する寸前に到達し…破壊されていく壁へラムが突き刺される。

ドッゴォォォォォォォォォォォン!!


 宇宙空間では音が鳴り響かなそうだが、確かに豪快な音を鳴り響かせ、船は壁を貫いた。

 いくにんものプレイヤーを阻んでいた、宇宙の嵐の先にあった出口の壁。
 そこを今、グレイ号は華麗に突破して見せたのであった…



『あ』
「どうしたの、グレイ号」
『えっと、壁から先のレーダーが妨害されていたので確認できなかったのですが…今、出口の先の目的地を観測しまシタ…すみません、勢いつけ過ぎまして…総員、衝撃に備えてくだサイ!!激突しマス!!』
「「「「「嘘でしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」」」」」

…華麗に決めればよかったが、出口の先まで見通していなかった。
 それゆえに、目的地が物凄く近くにあり…結果として、壁に激突するのと変わらないような衝撃が、すぐ後に襲い掛かってくるのであった…

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