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Ver.5.0 ~世界の焔と、導きの篝火~

ver.5.3-148 等しく訪れるものである

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…吸血鬼、神、ゴーレム、人魚の肉を喰らった者、プラナリア等々、外的要因を除けば不死に近い生き物はそれなりに存在しているものである。
 だがしかし、それでも死から完全に逃れられるわけでもなく、何かしらの要因で…規模が大きければ、世界そのものにまでも死が訪れることがあるだろう。

 数多くの解釈の中では、死も全てのものに等しく訪れるものとも捉えられており…だからこそ、命を失いし者たちが最終的に辿り着くこの冥界は、ある意味一番全てが平等にバレる場所と言って良いのかもしれない。

 けれども、そんな中でも流石に仕切る者がどうしても必要になることもあり…平等な死の世界であっても、例外というのは存在するものだ。


「…そして、その例外が…」


 冥界の奥底、とある豪華な屋敷。
 その中の客室にて、ハルたちはある人物と会っていた。

 あのおば、お姉ちゃんに先生と呼ばれ、この冥界を治めるもの。
 死の平等に対する例外とされる存在で…

「ええ、そうなの。わっちが、ここの主…冥帝シュキルナなの」

 冥界の女帝にして、死の上に立つ者。
 それが、目の前の相手。


「あなたたちのことは、彼女に聞いているわ。真祖に女神…どちらもまた、死からは少し遠いところにいる者たちね」

 冥府の女帝、シュキルナ。
 
 こんな冥界を治めるものならばもっとこう、おどろおどろしいような容姿をしているかと思えば、出てきたのは思ったよりも若い少女の姿だった。
 ただし、この邸の外観が古くとも中身が豪華だったように、外と中が一致しているわけではなく、話しているだけでも、強烈な死を幻視するようなプレッシャーを感じさせられるだろう。

 死の上に立つものだからこそ、いま生きる生者に対しても上に立っているかのような…それでいて、下手に動くのも不味い相手だと、本能的に理解させられる。

「まったく、彼女にも困ったものね。自分の孫の孫の…その子孫の先にできた女神の常識をどうにかしてほしいと頼まれるなんてね。でも、まぁ…うん、無理もないわね。彼女の唯一の失敗で、常識人部隊が構想されつつも作れなかったという話があるからね」

 何を作ろうとしていたのだろうか、お婆ちゃん。
 あ、しまった。


「ああ、大丈夫よ。ここは冥界、本来であれば死者しか立ち寄れない場所で、なおかつここはわっちの領域内で、容易く干渉させられないようになっているからね。邸の外までは無理でも、中ならば、普段言えないこともガンガン言い放題よ」
「よ、よかった…」

 ここでまた雷が落ちたりしたらたまったものではなかったが、幸いなことにこの邸の中限定になるが、外からの干渉を受け付けない場所になっており、うっかり心の中で思ったり発言したりしても大丈夫らしい。

 問題を言うのであれば、邸の外に出た際にたまった分がやってくるかもしれないということだが…今はまだ、一発ぐらいなので大丈夫はずである。

 とにもかくにも、すでに話は済まされているようで、この休みの間に僕らは目の前の冥帝シュキルナさんを先生と仰ぎ、これから常識等に関して学ぶことになるようであった…




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