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とある妖精の話 その4
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……あの時、私は確かに鍋に仲間たちと共に投入され、その生を終えたはずである。
妖精の死後はどうなっているのか、自分でもよく分からないが、とりあえずまた生まれ変わったりするんだろうなぁ、という程度の想像はしていた。
けれどもね‥‥‥
「王女様、今日の勉強はこれでございます」
「王女様、後でこちらの書類をお見通しください」
「王女様、この後午後からダンスのレッスンと、バイオリンの‥‥‥」
「‥‥‥そりゃ、逃げたくもなるなー」
ようやく手に入れたわずかな休憩時間で机にうつ伏せながら、王女・・・・・いや、その体に宿ってしまったディアはそうつぶやいた。
・・・‥‥あの日、あの時。確かにディアは仲間たちと共に大鍋へ投入され、その生は尽きたはずであった。
だがしかし、目覚めてみればどういう訳か、新たない人生と言うか、投入された相手‥‥‥病に臥せっていたはずの王女の身体に宿っていたのだ。
王女の知識も自動的に頭の中に入ったようで、今の所支障はない。
色々と忙しい生活ではあるが、なんとかぼろは出ていないのだ。
だがしかし、身体も知識も王女とは言え、中身は妖精のディア。
いつかは出てしまうだろうし、そうなった時を想像すると非常に怖い。
最悪の場合、王女を乗っ取ったとかいろいろ言われ、処刑されそうだが…‥‥こんなことになったのは彼女の意志でもないので、文句の言いようがない。
取りあえず、ひとまずは王女として過ごしているが、それでも非常に大変な日々である。
王女の意識とか魂とかはないようだが、それでも感じ取れる感覚は膨大な疲れであろうか。
一体何をどうやって王女に宿ったのかはわからないが…‥‥ひとまず言えることは、この生活ならば十分ぶっ倒れても不思議ではないという事であった。
元々、王女が倒れたという原因の根本にあるのは確実にこの疲労であろう。
そこから病にかかったというが…‥‥拗らせまくって悪化させ、その結果病になったともいえる。
つまり、元凶はこの生活であると、ディアは断定した。
……とは言え、理解できないこともある。
疲労で倒れ、そこから病を発症するまでならば別におかしくはない。
だが、おかしい点として‥‥‥何故、王女のこの病を治す方法が妖精を煎じて飲むことにされたのだろうか?
色々と知識も詰め込まされ、勉強している間に情報を集めてみたのだが、妖精が薬の材料になるような話はなかったのだ。
ならばなぜ、そのような治療方法がでたのか。
色々と聞いて見れば、王城にやって来たとある高名な医師がそう診断を下し、信頼できるところであったからこそ、妖精を国王は求めたらしい。
・・・‥‥その医師、どう考えても怪しすぎる。
今は城にはいないようだが、どうやら来週あたりに王女の回復を知って、診断するために戻って来るそうだ。
その時に話を聞ければいいが…‥‥どう考えても嫌な予感しかしない。
かと言って、この状況を普通の人に知られるのも不味いだろうし…‥‥どうすれないいのか?
そう考えていると、ふとディアの頭にある考えが浮かんだ。
成功率も低いし、バレるとそれはそれでかなり不味いかもしれない。
けれども、こういう状況であれば藁にもすがりたいし……話せば多分、なんとかなるかもしれない。
気分次第と言われる可能性もあるが‥‥‥‥それでも一度、その姿を見て、接触はしているので一度は遭遇したという事実の確認もできるはずである。
とにもかくにも、その医師が来るのが先か、それともその考えが成功するのが先か……ディアは駆ける事にしたのであった。
妖精の死後はどうなっているのか、自分でもよく分からないが、とりあえずまた生まれ変わったりするんだろうなぁ、という程度の想像はしていた。
けれどもね‥‥‥
「王女様、今日の勉強はこれでございます」
「王女様、後でこちらの書類をお見通しください」
「王女様、この後午後からダンスのレッスンと、バイオリンの‥‥‥」
「‥‥‥そりゃ、逃げたくもなるなー」
ようやく手に入れたわずかな休憩時間で机にうつ伏せながら、王女・・・・・いや、その体に宿ってしまったディアはそうつぶやいた。
・・・‥‥あの日、あの時。確かにディアは仲間たちと共に大鍋へ投入され、その生は尽きたはずであった。
だがしかし、目覚めてみればどういう訳か、新たない人生と言うか、投入された相手‥‥‥病に臥せっていたはずの王女の身体に宿っていたのだ。
王女の知識も自動的に頭の中に入ったようで、今の所支障はない。
色々と忙しい生活ではあるが、なんとかぼろは出ていないのだ。
だがしかし、身体も知識も王女とは言え、中身は妖精のディア。
いつかは出てしまうだろうし、そうなった時を想像すると非常に怖い。
最悪の場合、王女を乗っ取ったとかいろいろ言われ、処刑されそうだが…‥‥こんなことになったのは彼女の意志でもないので、文句の言いようがない。
取りあえず、ひとまずは王女として過ごしているが、それでも非常に大変な日々である。
王女の意識とか魂とかはないようだが、それでも感じ取れる感覚は膨大な疲れであろうか。
一体何をどうやって王女に宿ったのかはわからないが…‥‥ひとまず言えることは、この生活ならば十分ぶっ倒れても不思議ではないという事であった。
元々、王女が倒れたという原因の根本にあるのは確実にこの疲労であろう。
そこから病にかかったというが…‥‥拗らせまくって悪化させ、その結果病になったともいえる。
つまり、元凶はこの生活であると、ディアは断定した。
……とは言え、理解できないこともある。
疲労で倒れ、そこから病を発症するまでならば別におかしくはない。
だが、おかしい点として‥‥‥何故、王女のこの病を治す方法が妖精を煎じて飲むことにされたのだろうか?
色々と知識も詰め込まされ、勉強している間に情報を集めてみたのだが、妖精が薬の材料になるような話はなかったのだ。
ならばなぜ、そのような治療方法がでたのか。
色々と聞いて見れば、王城にやって来たとある高名な医師がそう診断を下し、信頼できるところであったからこそ、妖精を国王は求めたらしい。
・・・‥‥その医師、どう考えても怪しすぎる。
今は城にはいないようだが、どうやら来週あたりに王女の回復を知って、診断するために戻って来るそうだ。
その時に話を聞ければいいが…‥‥どう考えても嫌な予感しかしない。
かと言って、この状況を普通の人に知られるのも不味いだろうし…‥‥どうすれないいのか?
そう考えていると、ふとディアの頭にある考えが浮かんだ。
成功率も低いし、バレるとそれはそれでかなり不味いかもしれない。
けれども、こういう状況であれば藁にもすがりたいし……話せば多分、なんとかなるかもしれない。
気分次第と言われる可能性もあるが‥‥‥‥それでも一度、その姿を見て、接触はしているので一度は遭遇したという事実の確認もできるはずである。
とにもかくにも、その医師が来るのが先か、それともその考えが成功するのが先か……ディアは駆ける事にしたのであった。
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